短編「ばっちこい!」-元気をお見舞いしてやろう-
ふと平日の夕暮れに、布団に入りながらこんなことを考えてみる。
人類永遠の謎とも言える「男女間での友情は成立するか否か」……という議題だ。
……永遠の謎か否かは完全にオレの主観なのだが、まぁそこは置いて。
例えば。
現在風邪を引いて学校を休んでいるオレ、天条心二の元に、仮にだが同じクラスの女の子がお見舞いに来たとする。
そんで学校での出来事を女の子が話してくれたりしてさ、オレがこんなことを言うわけ。
「んっ……なんか汗ばんできたなぁ」
その一言と共に襟首なんかを摘まんで仰いでみる。
そしたら女の子が照れながら「……脱ぎなよ。拭いたげる……」って言ってくれるわけよ!
男女間の友情が成立するなら、変な気を起こさずに成されるがまま己の身体を差し出すことが出来るはず!
そんなオレの心中で繰り広げられる葛藤を止めたのは、室内に人が入ってきた気配を感じたからだ。
「…………。」
無言で入ってきた今西優璃は冷たい水の入った桶を両手に持ちながらゆっくりと座る。
ゆらりと桶に浮かんでいたタオルをギュッと搾り上目遣いで病人のオレを見つめた。
「……それじゃ、心二。」
優璃の唇が恥ずかしさのあまりプルプルと震えているのが分かる。
そう、これからさっき言っていた男女間の友情が成立するか否かが試されるのだ。
「汗!拭いたげるから……脱いで。」
……男、天条心二。清く美しい精神を見せる時が来たようだ。
すべての始まりは、オレが学校を風邪で欠席し、退屈な一日の記録を早々に日記に愚痴のように書き殴り、Twitterで暇よ暇よと呟いた中身の無い午前を過ごしたことによるものだ。
オレの暇人成分を多分に含んだツイートを見た優璃がこうして帰り道にお見舞いに寄ってくれたのだ。
「心二……早く、脱ぎなよ。」
水を搾られたタオルを広げてスタンバイしている優璃は未だ顔を真っ赤に染めていた。
やばい、何か変な気持ちになってきたよ。
「あ、あぁ。焦らして悪いな」
「…………ぅ。」
言葉のチョイスが意味深になってきてんよぉぉぉぉぉぉ!
下ネタ好きの優璃ちゃんも流石に戸惑ってんじゃんかぁ……
オレすらも気まずい雰囲気の重圧にのし掛かられ、トボトボと言われた通りに上着を脱いだ。
「……意外と……おっきいね」
「ひぇ⁉︎な、何が⁉︎」
優璃ちゃん曰く大きな背中なオレは大人しく優璃に背中を預け、目を閉じる。
直にオレの背中にはヒンヤリとした冷たい感触が、病気に侵されたオレの身体を浄化していくように、気持ちがよかった。
背中を濡れタオルで拭い終わると、桶に汲んだ水でタオルを濯ぎ、正面を向いて。と優璃が途切れ途切れの文字を並べて指示する。
お、おう。と平静を装うとするがやはり表情は固く、照れ臭さを隠し切れない。
「……よ、よぉし。まずは腋から……ね。はい!バンザーイ!」
「ば、ばんざーい!」
両腕が挙げられたことによって、優璃の目の前に晒されるオレの腋。
すると優璃はオレの腋をジロジロと見てることに気付く。
「……なんだよ、そんなガン見するなよ」
「あー、いや……」
優璃は一瞬口籠ったが、再び口を開いた。
どうやらストレートに言ってくるみたいだ。
「心二の身体って、案外まだ子供なんだね」
笑顔の優璃から飛び出された言葉は、オレの男のプライドにヒビを入れる言葉の凶器だった。
身体が子供なんて……言葉を軽く年頃の男に言うもんじゃない。
例えるなら夜の営みの際に服を脱いで相手の女の子に自分の身体を晒した時に「ぷふっ……お粗末な物をお持ちで……笑」と冷たい笑みで言われるくらい傷付く。
……いや、流石に例えの方は男辞めたくなるくらいのトラウマだっ!
オレまだマシな方じゃぁないか……。
「……ほ、ほう。何でそう思うんだい?」
ガラスのハートを必死で庇いながら、それでも尚詳細に聞き出そうとする。
「え?だって腋毛生えてないしぃ。てっきり高校生男子は生えてるものだと……」
そんなことないぞ!とオレは一瞬の間を開けず食い気味に主張する。
「言ったってまだ高1だぞ⁉︎まだまだ少年なわけ」
「それじゃ下の毛は?」
「そんぐらい生えてるよっっ!」
ゴホゴホ咳き込みながら自分の第二次成長の果ての体毛事情を叫ぶように応える。
上半身を一通り水タオルで拭き終わった優璃は一息ついて視線を一点に集中させていた。
「ありがとな……って、優璃さん?どこ見てんの?」
「次にタオルで拭いてあげる部位。」
「文章だけでもわかりやすく言うと?」
「下半……デリケートゾーン。」
優璃から返ってきた答えに対して、オレは自身に敷かれている柔らかい布団をバン!と叩きつけ、その勢いで突っ込む。
「何で言い直したの⁉︎下半身でよかったじゃぁん……」
頭を抱えるオレにお構いなく、優璃は布団を引き剥がしてズボンをずり下げよう……
「ちょ、優璃さん⁉︎なにしてっ……ってあれ?」
……とはしなかった。
オレの股関節部分をチェックしただけで、それ以上の行動は起こさなかった。
「……?な、何そんな慌ててるの?別にデリケートゾーンまでは世話見れないよ」
「……べ、別にそんな事思ってない」
二人同時に気まずさのあまり視線を逸らす。
……ふと、オレは頭にハテナを浮かべてもう一度優璃をチラリと視界に入れる。
「んじゃ何で被ってた毛布剥がしてまで股間見たんだよ」
え?と優璃はさっきまで気まずさで歪められていた眉に綺麗な孤状を取り戻し、平然と答える。
「何でって……立ってたらからかおうかと。」
「この野郎……もし立ってたらどうすんだよ」
会話を続かせるため……その程度で発したオレの一言に、優璃は再度顔を赤らめる。
「……え!……そ、そうなったら……うん。あたしに出来ることなら手伝ってあげても……」
「ンんんん⁉︎」
予想外すぎる優璃の反応にオレは目をひんむきながら驚く。
いや、よくよく考えてみれば。
今西優璃という女の子は、オレこと天条心二をどう思っているのか。
例えば、恋愛対象……とか。
さっき優璃が取った行動を思い返してみる。好きでもない男の股間を毛布を引き剥がしてまで見るだろうか?
もちろんその場のノリ的な感じで勢いでとった行動の可能性も否めないが……
頭の中で考えるオレは即座に今、この場の雰囲気を敏感に感じ取った。
「……手伝ってくれるって……そ、それはぁそのぉ。」
まずいまずいまずいまずい!
何かいやらしいムードになってきたぞ!
焦りを感じ始めるオレのスボンに優璃の両手が添えられる。
互いの目が合う。
二人とも赤面を浮かべながら互いが互いに惹かれるように身を寄せ合う。
「……ゆ、優璃」
「心二……」
ごめん、男女間で友情とか無理無理。オレは……男になる!
『ピンポーン』
させねぇぇぇぇよ⁉︎とばかりに天条宅に来客を知らせるインターホンが鳴り響く。
「「…………。」」
冷静を取り戻したオレと優璃は間抜けな顔を浮かべて、相手の間抜けな顔を見合わせる。
「……この尻軽男。」
「うるせ、誘ってんじゃねーよ。」
互いが息を吐くように毒を吐き捨て、オレは来客を出迎えるため布団から起き上がる。
「あ、心二は寝てなよ。あたしが見てくるから」
え、とオレの言い分も聞かずにさっさと部屋を出て玄関へと階段を降りて行ってしまう。
……数秒後。
インターホンを鳴らした主らしき人物が優璃と一緒にオレの部屋へと戻ってきた。
「あー、しんくん〜ご気分いかがぁ?(姉声)」
「は⁉︎姉ちゃん⁉︎」
予想外の来客者にオレは寝込む上体に鞭打って起こす。
そんなオレを見て姉ちゃんは首を傾げるが、
オレの姉である天条紅空が、オレの部屋を訪れることに驚いた訳じゃなく、家族の一人である姉ちゃんが何故に我が家のインターホンを鳴らす……なんていう他人行儀な行動をしたのか……ということだ。
「あたしも驚いたよぉ。ドア開けたら紅空ちゃんがすっごいゲスい顔してたもん」
「私もしんくんが出てくるかと思ってたのにまさかゆりっちが出てくるとは思わなかったわよ。」
「とりあえず姉ちゃんは何でインターホン押したんだよ。」
オレの問いに姉ちゃんはにっこりと笑みで返し、言葉で補足する。
「いやぁ、あたしいつもしんくんの分もお弁当作ってるでしょ?早起きで頑張ってるわけ。たまにはゆっくり寝たいの。
そんな心境の私に風邪を訴えて一日中グータラ過ごそうとか……イタズラされても文句は言えないじゃない?」
「意味わからんけど最低だなこの姉!」
よくもそんな真っ黒な心根をこんなにも屈託ない笑顔で申せるなっ!
「なるほど。つまり風邪で寝込んでる心二にインターホンを押すことでわざわざだるい体を起こさせ、階段を降りさせ、来客者を出迎える……という嫌がらせを仕掛けたってことだね!」
珍しく察しのいい優璃がドヤ顔で姉ちゃんの単純な魂胆を紐解いていく。
まぁそんなことより……、と姉ちゃんは腰を下ろし、両の目に怪しい光を宿しながら話題を変える。
「二人っきりでな〜にをしてたの?」
オレと優璃の肩が分かりやすいくらいにビクリと震えた。
なにをしていたか……その問いにオレは数分前を思い出す。
優璃さん「お背中拭きます」
心二くん「いやーん」
優璃さん「わぁ、おっきぃ」
心二くん「ひゃーん」
優璃さん「溜まってるでしょ?手伝ってあけよう」
心二くん「ばっちこい!」
「………………っ。(あかん)」
頭を抱えてオレは再生されていた回想に停止ボタンを押した。
優璃を横目に見ると、真っ赤な顔で目線を泳がせていた。
出来れば隠し切りたい。
オレは目の前の歩く嘘発見器こと天条紅空に視線を向ける。
今までオレは、姉ちゃんに嘘をつき通せたことはない。
「ん?どうしたの?早く答えなさい。」
笑顔の裏に宿す邪悪なオーラをだだ漏らしながら姉ちゃんは返答を急かす。
やってやるさ。
バレなきゃいい……なんて言葉があるけど、本当その通りだ。
嘘ってのは隠し通してこそ善人。見破られた時点で悪人だ。
ならオレは、善人になる!
「別に、優璃はオレのお見舞いに来ただけだよ。なぁ優璃?」
同意を求めるオレの言葉に優璃はブンブンブン‼︎とすごい勢いで頭を振る。
「そ、そそそうだよ紅空ちゃん!」
言いながら忙しなくうねうね動く優璃の足元を見て姉ちゃんが何かに気付く。
「……その水が入った桶と濡れタオル。」
ギクリ‼︎とオレは冷や汗を垂らしながら引き笑いを浮かべる。
流石姉ちゃん……。嘘を瞬時に見抜くが故に持つその洞察力は侮り難し。
「風邪を引いてるしんくんのおでこに当てるようのタオルにしては大きすぎる。それに見たところしんくんのおでこに濡れタオルを当てていたであろう形跡がほとんど感じられない。もっとおでこや前髪が湿っていたりしてもいいはずなのに……。」
え、怖い怖い。何この人探偵?
次第に聞き取れない呟きがブツブツとお経のように聞こえてくる。
このままじゃ優璃に火照った身体を拭いてもらっていた、というラッキーイベントが露呈してしまう!
何か……何か話の筋が通ってる言い訳を…!
と、そんなオレに姉ちゃんは確信を得たのかビシッと人差し指をこちらに差し向けて宣言する。
「しんくん、まさかその濡れタオルでゆりっちに身体を拭いてもらってたんでしょう!」
はい、ばれました。
自信満々の姉ちゃんの言葉に一瞬だけ浮かべた驚愕に染まったオレの顔を見るなり姉ちゃんはフフフ、とドヤドヤなドヤ顔を浮かべる。
すると姉ちゃんはスカートからすかさずiPhoneを取り出し高速の右指が何やら文字を打ち出していく。
「ちょっと?何急に弟を目の前にして携帯いじってんだよ」
少し間を置いて、文字を打ち終わったらしい姉ちゃんはようやくオレに視線を戻した。
「うんうん、それで?身体を拭いてもらって何をしたの?」
「なにもしてないよ、見ればわかるだろ」
そうだ、オレはパンツを脱いでもゴムを用意してるわけでもない。
自分の性欲くらい自分で歯止めを利かせられるんだ。
『ピンポーン』
本日二度目のインターホンが天条家の住人を呼び出す。
「んん、今度は誰だ?」
オレの反応に姉ちゃんは「来た来た」と立ち上がり部屋を飛び出して階段を降りて行く。
「誰だろ?」
すかさず出て行った姉ちゃんのせいで開きっ放しのドアをぼーっと見ながら、優璃は呟く。
「だっれだろな。姉ちゃんの奴、弟が風邪引いてんのに友達と家で遊ぶ約束なんかしてないよな……」
やがて階段を登る音が聞こえてくる。姉ちゃんと来客者……多分2人分の足音だ。
開かれたままのドアから姉ちゃんが戻ってきて、気になる来客者もまた、何の迷いもなくオレの部屋に入ってきた。
金髪を揺らしながら何の遠慮もなくどっこいしょー、腰を下ろすこの野郎の名前は垣峰守郎。優璃と同じくクラスメイトにして中学の頃からの付き合いの悪友だ。
「おっす心二。」
「何の用だ。」
守郎のご挨拶にすぐさま切り返すオレに守郎は口角を下へ引きつらせる。
「なんだよ、紅空さんに呼ばれたからお見舞いに来てやったんだろが」
何の気なしに言った守郎の言葉……オレにとっては少々信じられない言葉だった。
「何で姉ちゃんとの接触手段をお前なんかが持ってやがるんだ⁉︎」
「接触手段とか言うな。」
いやいや、ほんとに何こいつ。姉ちゃんもいつの間に守郎と絡むくらい仲良くなったんだよ。
「あれれ?もしかして妬いてる?」
「妬いてはないよ!ただ気分が悪いだけだ!」
吐き捨てるオレを姉ちゃんが「ふーん」と意味深な笑みを含みながらiPhoneの画面を見せてくる。
「普通にLINEだよ。ほれほれ」
見てみるとつい数分前まで連絡を取り合っていたようだ。どうやらさっき姉ちゃんがiPhoneで文字を打っていた送信先は守郎だったらしい。
「会話内容を見させてもらおう!」
「おもしろそー!あたしも見る見る!」
姉ちゃんのiPhoneを引っ掴み今までのメッセージ記録を確認するオレと優璃。
「っ!おいやめろバカ!」
奪い取ろうとする守郎がうざったいので、オレは優璃にiPhoneをパスする。
「優璃!なるべく胸の前にiPhoneを持ってくれ!」
「任せて!」
こうすることによってiPhoneを奪い取ろうと伸ばす守郎の手に、優璃のお胸が触れるかも?……という危険を孕んでしまうために、奴は手が出せない。
完璧だこれ!おっぱい最強じゃん。
「うわー!守郎ってば顔文字使ってる!あたしには使わないのに!」
「だーーー!優璃テメェ黙れーーー‼︎」
こうも守郎が弄ばれるなんて光景、今まであっただろうか。
否!実に清々しい光景だ。
……しかし。いつまでもやられるがままの守郎じゃなかった。
「しゅーくん、これ!」
姉ちゃんにしゅーくんなんて呼び名で呼ばれるている守郎の元には見慣れたスマートフォン。
姉ちゃんがロングパスで守郎に渡したみたいだが……っておいおいおい!
「それオレのーーー!いつの間に⁉︎」
守郎の表情には趣味の悪そうなにやけ顔が浮かべられていた。
「サンキュー紅空さん、これで心二の恥ずかしい秘密を暴いてやるぜ!」
電源を入れる守郎。
しかし、オレはそこまで心配などしていなかった。
「くっ……パスワード設定してやがる」
そう!今時携帯端末にパスワードを設定しないなんて若者がどこにいるというのだ!
してるに決まってんだろバーカ!
「しゅーくん!パスは1919(いくいく)だったよ!」
「何で知ってんだよぉぉぉぉ⁉︎」
ほんと姉ちゃんこわっ!
すぐさまパスを攻略し、守郎は真っ先にシークレットモードを開いた。
……シークレットモード、主に人には見られたくない画像を難解なパスワードで保存できる機能だ。
「……っ!ダメだ、パスが1919じゃねぇ……!」
シークレットモードの攻略に挑む守郎の前に、早くも硬い巨壁が立ちはだかる。
「ざーんねん金髪バカ、シークレットモードは8文字までの数字を設定可能なんだ。そう簡単に解かれてたまるかよ!」
ふっふっふ、8文字までのパスコードが果たして何通りあると思ってやがる。
鉄壁……いや硬壁。
必死に何回もパスを入れる守郎を横目に、オレは優璃の手元のiPhoneへと視線を写す。
「見てこれ心二っぶふふ……!守郎がてへぺろ(・ω<)とか使ってるよったはは!」
「こっちはキリッ(`・ω・´)だってよ!ひゃははは‼︎」
「くっそ……絶対このシークレットモードの画像を暴いてやるっ!ってか紅空さん!シークレットパスはわかんないんすか?」
「さ、さすがに8文字のパスを順当に試して行くのは気が滅入るよ……」
……え、姉ちゃんまさかオレの待ち受けのパスって盗み見たわけじゃなくて可能性のある数字を試して知ったのか……。
姉ちゃんこっわ……。
一方、守郎は苦い表情で吐き捨てると同時に、何十回目かのパスワードを打ち込んだ。
「……って、あり?お……おぉ!解けた!解けたぞ‼︎」
「なにぃぃぃぃ⁉︎」
「しゅーくん!パスワードを教えて」
すかさず姉ちゃんはパスを手に入れるため情報提供を求める。
「07214545(おなにーしこしこ)です!」
「くっ、この程度のパスも思いつかないとは……成績優秀者失格ね。」
「心二のパスって下ネタばっか?」
うわぁぁ、と頭を抱えるオレ。
本当死にたい。だってオレのシークレット画像がこいつらの目に晒されるってことだろ?
うわぁぁ、高層ビルから飛び降りたい!
姉ちゃん、優璃が守郎の元へと集まる。
シークレットフォルダの画像を確認するため。
「……ん?」
「……あれ?」
「……おぉ?」
しかし、三人の反応はやけに間抜けなものだった。
「これって……」
優璃がようやく何十枚もの予想外な写真の内容を理解する。
そう、オレのシークレットフォルダに保存されてる多くの写真は、乳首丸出しの女の子でもなく、局部丸出しの女の子でもなく、ましてやAVでよくみる夜の運動会画像のような画像でもない。
「……へぇー、いい趣味してんな。心二よ」
守郎の言葉が意味するもの、それは。
入学からの約二ヶ月の優璃や守郎。クラスメイトの皆の写真の数々だった。
少ない枚数ではあるが、当時知り合ったばかりの1年4組の狭山陽志や弥富深海も写っている。
「そ、そうさ!オレは思い出を大事にするからなぁ!これからもこのシークレットフォルダにはオレたちの青春の一枚が保存されていくであろう!」
そ、だからはやくシークレットフォルダを閉じて……
「ま、やっぱり下の辺りには本命の画像が隠されてたりするんだよなぁ?」
「あ、ほんとだ!胸大きいお姉さんがいっぱい!」
「まったくしんくんったら、胸の大きいお姉さんなら近くにいるのに(ちらっ)」
「お、お前ら……」
もっと、病人に優しく……しろっ。




