乙女ゲーム本編がスタートしちゃいました。でもストーリーは全く異なっています。
要望があったので続きを書いてみました。全く話は進んでいません。
腹黒と毒舌は違いますよね?なぜか同じようになる。文才が欲しい……いやそれよりチートが欲しい。攻略対象者に転生したい。
続きを書くとしたら時間が飛ぶ。連載化の要望もあったんだけどまだ連載にする自信がない。何故なら連日更新が私には不可能だから。
とりあえずクリスマスプレゼント用に書き貯めてはいる。
というわけで、どうぞ!!
高さおよそ五メートルほどの白い門。両開きで、きらびやかな装飾が施されている。
……考えてみると校門だけで結構な値段するんだろうなあ……。
どうも。青木ヶ原 玉藻です。彩白学園の副会長を務めてます。学園中の皆から『蒼の君』なんて厨二臭い渾名をつけられています。今世でも黒歴史ができるなんて思っても見なかった。
転生して乙女ゲームの攻略対象キャラになっちゃった私です。イケメンになっちゃった私です。が、本日からなんと!
本編が始まるんです!!
……ま、どうでもいいんだけど。
王道という王道を詰め込んだゲームなので、転校してくる主人公を迎えに行くのは私の仕事。
いや普通転校生は自分で理事長室まで来るもんじゃない?じゃなかったら教師が迎えに行くもんじゃない?何で生徒に迎えに行かせるの?
ゲームをのっけから壊そうと思ってそんな反論した私です。あ、勿論こんな聞き方してませんよ? なぜか皆の顔をひきつらせてしまう私の笑顔。それを綺麗に浮かべながら言ってやりましたよ。
「……なるほど。先生方は我々生徒会を学園の便利屋と勘違いしていらっしゃるのですね? ああ、反論は結構。ことあるごとに生徒会生徒会。確かに我々は学園の代表として学園行事をまわして来ました。が、いささか仕事の量に問題があるのではないですか? いえ。別に仕事量の多さに不満を持っているわけではないですよ。ええ、決して。しかし本来ならば貴方方教師がすべき仕事のほとんども私たちに来ているように思えてならないのですよ。新入生歓迎会のイベントに体育大会の運営。文化祭の出し物にクリスマスパーティの準備? 別にまわすなとは言いませんよ。現に先生方がなさるより我々だけでした方が遥かに仕事のまわりが良いですから。……まさか。別に先生方を侮辱などしてませんよ。ただ私が言いたいのは、教師の貴方方は授業をしてテストの採点・返却とその他諸々だけですよね? いえ、ですから侮辱しているわけではありません。私が知らないだけで先生方が陰ながらまわしてくれていることも知っています。ええ、ですが些か我々生徒会を特別扱いし過ぎてやしませんか? 授業免除、食堂の特別席に体育大会の出場枠の多さ。確かに授業は免除しなくてはいけないほどの仕事量の多さですし、騒がしい一般席でなど落ち着いて食事など出来ませ……先生、まだ話は終わっていません。食事など出来ませんから、特別扱いは分かります。しかしそれは元を辿れば生徒会の仕事の多さが原因ですよね? こないだ書類整理が終わらず残って処理していたんですよ。ようやく終わったのが夜の八時。おかしいですよね。ちなみにその日どこぞの先生は『今夜は飲みに行きましょう!』なんて言って学園を出たのが五時半。これ明らかにおかしいでしょう……おや。身に覚えのある方がいらっしゃるようで。まあそのようなことがあってからしばらく先生方を監視ゴホンゴホン観察させて頂きました。はい? 監視? まさか。私がそのようなことをおっしゃるわけがないでしょう。とにかく観察させて頂きましたが、まああまりにも教師の皆さんは我々生徒会に任せっぱなしのこと。こういう時授業免除は有り難いですね。いや職権乱用ではありませんよ。丁度提出書類があってたまたま先生方がなんともまあ大きな声で『本当生徒会の奴らには助かってますよねー』『本当ですよ。……実は僕、こないだ自分用に当てられてた書類コッソリ生徒会用書類と紛れこませたんですけど、しっかりやってくれてたんですよ! 僕なんかがやるより完璧ですからね』『あ、それ俺もあるわ』なんて話しているのを聴いてしまい……ええ、事実です。我々は先生方の便利屋なのだと実感しました。なのでこないだ……ああ! もうこんな時間ですね。転校生の迎えに行ってきます。……は? いや結構です。私に当てられてた仕事ですからね。先生方の便利な道具である我々生徒会に任せられた、ね」
そう言って職員室から出てきたのだ。なぜか誰も何も言わなかった。皆忙しいのだな、うん。
さて。五月も始まって間もない今日に転校してくるのは勿論主人公である――が。編入届けが二枚きていること、二人の転校生の名字が同じことから解るのは。
――私と同じ異物がいる。
転校生の名前は『桃園 遥』と『桃園 愛華』。二卵性の双子なので全くと言っていいほど似ていない。
主人公の名前は遥なので、愛華という女は転生者だろう――
「――来た」
転校生を待たせてはいけないため時間の十分前から門の前にいた。ゲームでも『門の前に佇む青が似合う王子様がいた』なんて表現をされていたし、とりあえずゲームとは違わないだろう。
というか青が似合うどころか外見に青があるしな。私の髪はダークブルーで、目も深い海を思わせるかのような蒼色だ。流石ゲームクオリティ。どこぞの物語の王子様のような外見だ、と私も思ったが、いざ自分がその外見になると、毎朝鏡を見る度に「うわーイッケメンー」と思わずにはいられない。まあイケメンになったんだからこの外見を維持しよう、顔だけじゃなく肉体も鍛えよう、と元(腐)女子ならではの発想で見た目は完璧だが。……中身? 知らん。私だが何か問題でも?
「うわーおっきな門」
「うわ何この装飾。ゲームでもあったけどこんなのが現実にあるわけ?」
はい。転生者確定。
聞こえてきた二人の声に姿を現す。
「ふふ」
「え?」
「来た!」
含み笑いをしながら現れると、あからさまに愛華ちゃんは喜んだ。
「失礼。素直な感想に微笑ましくなってしまいましてね。初めまして。彩白学園、生徒会副会長職を務めています、青木ヶ原玉藻と申します」
――さあ。茶番劇を始めようか。