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最終章

後日談という訳ではないが、その後のみんなの話を少々。

 鳥谷記念動物園は、一日の閉園こそしたものの、今となっては普通に営業している。あれだけの騒ぎがあったとはいえ、犯人がいたという事で、責任問題は問われなかったようだ。園長曰く、

「これも鮫島君のおかげだよ」

 だそうだ。また俺の株が上がってしまったようだが、別に悪い事ではないので、ありがたく受け取っておくことにした。

 俺は、ミミが消えた事によって、少しずつだが、動物の言葉が分からなくなっていった。とは言ったものの、例えば道行く野良猫の愚痴だとか、野鳥の喧嘩などが聞こえなくなっただけで、俺に関わりの深い連中とは未だに喋っている。

 例えば、動物園のみんなだが、彼らは相変わらず元気だ。ウキ丸は、先の一件でさらに権力を手にしたようで、鷲津が来れば、自動的に糞を投げるように躾たようだ。それについては、鷲津も音をあげているので、いつかやめさせようと思う。

 虎さんは、今まで通り俺の良き相談役をしてもらっている。

『もう、鮫島に教える事はないけぇの』

 と、俺の事を評価してくれているようだが、俺的にはまだまだ未熟だと思っているので、人生の先輩と尊敬している虎さんから、何かを学ぼうと日夜励んでいる。

 一番変わったのは、やっぱりライナだろう。

『私、ミミさんみたいな素敵な女性になる!』

 と言い出したのは、あの後すぐだった。それからというもの、俺にガツガツ迫りくることはなくなったが、心が来た時に限っては、いつも通りのライナに戻っていた。

 こんな感じで少しずつ変わって行く俺の周りにも、変わらない奴はいた。

「ボーイミッツガール! 俺は今、君に愛を伝えるぜ!」

 そう。鷲津海斗だ。

 あの時は俺と一緒に涙を流してくれたが、その後すぐに調子を取り戻した鷲津は、未だに心にアタック中だ。

「うるさい」

 一蹴されても、また次の日にはヘラヘラして告白。その繰り返し。非常に頭が悪いが、それでこそ鷲津だ。いや、よくよく考えたら、俺を思っていつもの調子を保っているのかもしれない。

 いや、そこまで頭が回るはずはないか……。

 そう言えば、次郎とミケは、二人で旅に出た。よく猫と雀が一緒に行動するなと感心したが、今のところは仲良くやっているようで、たまに帰ってきては、俺の元に遊びに来ていた。

「いい加減、離れなさいよ」

「心が離れろ!」

「私は、湊と散歩デートをしている最中なんです」

「あたしだって、湊とランニングデートしてんの!」

 変わってほしい二人は、未だにこの調子だった。あれ以来、心との朝の散歩は日課になっていた。それに先日、ランニングという形で彼方が参加してきたのだ。果たして喜んでいいのか分からない状況なのだが、

『湊さん。最高よ!』

 確実に一人。いや、一匹。喜んでいる奴がいるのは、言うまでもないだろう。




 さてさて、そんな俺にも新生活が始まった。今まではミミがいたから、色々とだらけた生活を強制されていた部分があったが、今は俺一人。どうにか自分で早寝早起きをしなければならなかった。

 というのは、単なる建前というやつだ。大事なのはここから。

「兄ちゃん! お客さん!」

 我が血を分けた妹、鈴葉が、玄関から俺を呼んだ。

「俺に客だって?」

「いや、兄ちゃんにかは分かんない」

 何言ってんだこいつ?

 俺は、半分呆れながら玄関に向かった。そこには鈴葉が開けたであろう扉と、その横に立つ鈴葉がいた。

「おいおい。誰もいないじゃねぇか」

「いるじゃん。下に」

 下? そう思い、俺は目線を下の方に流した。すると、そこには信じられない光景が映っていた。

「いやさ、動物のお客さんなんて、兄ちゃんしかありえないっしょ」

「おい鈴葉! こいつが見えんのか?」

「なんだよいきなりぃ。見えるよ。黒猫でしょ?」

 そう。扉の向こうに座っているのはまさしく黒猫。というよりミミだ! でも、鈴葉に見えてるってことは、幽霊じゃないのか? じゃあ輪廻転生を繰り返し、ここまでたどり着いたという事か? いやいやいや、そこまでいくと一種のホラーだ。

『突然訪ねてきて申し訳ありません。私、リリィと言います。生前の母、ミミの言葉を思い出し、訪ねてきました』

「あぁ、妹よ。この黒猫は、うちで飼う事になった」

「え? やっぱり兄ちゃんのお客さんか。この前のライオンさんといい、兄ちゃんってやっぱちょっと変?」

「ほっとけ!」

『あの、まだ事情も言っていないのに、いいのですか?』

 良いに決まっているだろう?

「飼うのは良いと思うけど、この黒猫さんの名前は?」

 こうして、俺は新しい家族を迎え、新生活を開始することとなった。まだ右も左も分からないリリィに、俺が最初に教えることは、駅前への行き方でも、美味しいお店の場所でも、男の口説き方でもない。

 そう。まずはあれだ。

「ん? クロだ」

『違います!』


 俺が何故、動物と喋れるようになったか――。


 だな。

最後までご愛読していただきありがとうございました。今後もこの作品の欠点を編集しながらより良い作品へと変えていきたいと思っています。その為のご意見やご感想は受け止め、さらに成長していけたら良いと考えています。ちなみに、この話の外伝を今後執筆させていただきたく思っていて、その時はまたよろしくお願いいたします。

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