血迷地下鉄
地下鉄揺れて帰路に着いていた途中のこと、
そう、
私がまだ若造の未熟者だった頃、
いつも通りの地下鉄に乗っていて、
この時間帯に乗る人間は意外にも多く、
毎日に乗るので見慣れた顔ばかりの車両の中で、
だが、
いつもとは違うことがあり、
それは、電車が止まらないということで、
それは各駅停車なのにも関わらずに、
ここ一時間ほどずっと止まっておらず、
走り続けていて、
私は少し前にそれに気づき、
戸惑っていたが、
他の乗客が何も反応せずに至って冷静なのを見、
まあ疲れているだけだろう、
もうそろそろ着くだろう、
そんなことを考えていたが、
やはり電車が止まることはなく、
そうしていると窓の外に別の電車が見えて、
隣を通るが、
その中に、
私とこの車両と全く同じ乗客が乗っていて、
だが、
少し違い、
窓の向こうの私は、
まだ乗り込んだばかりの、
何も気が付いていない顔をしていて、
次の車両には少し前の私が、
そして次の車両には、
少し老けた私が、
通り過ぎていき、
皆私を見ているが、
その顔は驚き、
絶望、
諦念、
そして考えてしまうこと、
まさかずっと出られていない、
出られないということを考え、
私は脱出を試みるが、
扉も窓も開かず傷も付かず、
ずっと走っている電車を見て、
他の乗客にも話しかけるが、
うんともすんとも言わず、
そうしているとまた車両が通り過ぎ、
白髪の痩せ衰えた自分が見えて、
その人は私を見て、
にまにまと君の悪い笑みを浮かべている、
そんな光景を見て私はもう、
どうしようもないと思い、
深く眠りについた。
そう、私は今も車両にいる。
そうしてまた、車両が通り過ぎて、
昔の若い自分を見て、見続けている。




