麻酔
掲載日:2026/03/18
足に小さなトゲが刺さった。
歩くたびにチクチクと痛む。
だから少しだけ麻酔を打った。
これで大丈夫、痛くなくなった。
今度は、腕にトゲが刺さった。
肘を曲げるとズキリと痛む。
だから麻酔を打った。
よし、それじゃあ遊びに行こう。
そうこうしてたら、お腹に長いトゲが刺さった。
息を吸うだけで苦しく痛む。
だからたくさん麻酔を打った。
さぁ、そろそろ寝ようかな。
胸に無数の、トゲが刺さった。
耐え難いほど、焼けるように痛む。
だから大量に麻酔を打った。
効かなかったからまた打った。
もう1回打った。もう1回。もう1回。
体が慣れて、麻酔はもう効かなくなっていた。
誰かが言った。
トゲを抜けばいいじゃないか。
抜いて出来た傷には薬を塗って、しばらく待てば治るだろう。
嫌だよ。だって痛いじゃないか。
抜く時も、抜いた後も。
それに、もしかしたら治らないかも知れないだろ。
とにかく。僕は、今痛いのが嫌なんだ。
高価で、もっともっと強力な麻酔を買った。
躊躇うことなくそれを打った。
これでいい。
さて、今日は何をしようかな。




