黒影の襲撃
### 黒影の襲撃
東京の夕暮れ。
街の灯りがゆっくりと点灯し、雑踏が夜に溶け込んでいく。
しかし、俺たちの足取りは重かった。
「春日、気を抜くな」
渋谷の声が背中を突く。
「秩序派の動きだけじゃない。新しい敵が動いている」
その言葉通り、ビルの影が不自然に揺れた。
――人影ではない。
黒いスーツの男たちが、空間を裂くように現れる。
「奴ら……」
俺は刀を握り直す。
黒影は数名。姿は人間だが、刀を持つ刃が異常に光る。
空気が歪み、重力の感覚が狂う。
混沌派でも秩序派でもない、未知の力だ。
「春日、渋谷、退路を確保しろ!」
渋谷が叫ぶ。
俺たちは瞬時にビルの屋上から隣の建物へ跳ぶ。
黒影たちは空中を駆け、追いかけてくる。
「避けるだけじゃ……持たない」
俺は刀を構え、黒影のひとりと対峙する。
「――行くぞ」
刃が交わる。
火花ではなく、空間そのものが裂ける衝撃が指先まで届く。
黒影の動きは速く、正確だ。
しかし、俺も欠番。
制御を意識するだけで、重力と空間を刃の前後で調整できる。
「なるほど……欠番の力か」
黒影が、刃を一瞬止める。
それでも、攻撃は止まない。
「渋谷、援護を!」
渋谷が背後から飛び込む。
小型の刀が光の軌跡を描き、黒影を一時的に押し戻す。
「よし……!」
俺は息を整え、再び攻撃に転じる。
欠番の力で、空間の重力を操作し、黒影の一歩を遅らせる。
しかし、その瞬間、別の黒影が側面から襲いかかる。
「くっ……!」
避けながら、俺は思う。
――奴らは組織的に動いている。秩序派や混沌派の手ではない。
「春日! 中心を狙ってくる!」
渋谷の声。
黒影は、俺自身を標的に動いている。
欠番の力を封じるか、奪うか……狙いはまだ不明だ。
「負けられない……」
俺は刃を握り直す。
欠番として、中心に立つ以上、逃げることはできない。
ビルの屋上で、黒影との戦いが始まった。
東京の夜風が、刃の軌跡を揺らす。
光と影が交錯するその中で、俺は決意を新たにした。
――欠番として、誰も犠牲にせず戦う。
たとえ新しい敵が未知の力を持っていても、東京の中心で立ち続ける。
戦いは、まだ序盤に過ぎなかった。
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