決断と戦い
### 決断と戦い
東京の夜は、いつもより重かった。
ネオンの光も、雑踏も、すべて裏側で渦巻く意志に染まっている。
「春日、準備は?」
渋谷の声に、俺はうなずく。
刀を握り、肩の傷を確かめる。
もう痛みは気にならない。
「行くぞ」
俺たちは、東京タワー近くの屋上へ向かった。
秩序派、混沌派、そして……新宿。
すべての中心が、この夜に集まる。
「欠番、ようこそ」
新宿が低く笑う。
その刃の影に、混沌の香りが漂う。
「もう、逃げない」
俺ははっきりと言った。
刀を構え、視線を逸らさない。
「そうか……面白くなったな」
新宿が刀を抜く。
世界が、微かに歪む。
距離、時間、重力……すべてが、混沌に染まる。
「春日!」
渋谷が叫ぶ。
「自分を信じろ! 欠番として、拒否だけじゃなく制御だ!」
その言葉が、俺の中心を貫く。
――戦う理由。
――守る理由。
――逃げない覚悟。
刃が交わる。
火花。轟音。
世界が、ねじれる。
新宿の攻撃が、全力で迫る。
だが、今の俺は違う。
――拒否ではない。
――制御する。
刀先が、空間を断ち、攻撃を反らす。
世界のルールを、俺が再構築する。
「これが……欠番の力か」
渋谷が、遠くで声を上げる。
でも、俺の集中は、刃先だけにある。
――誰も消させない。
――俺が中心なら、世界を止めることも、守ることもできる。
新宿の笑みが、少しだけ揺れる。
「……やるな、欠番」
俺は、一歩踏み込む。
刀を振る。
空間が裂け、混沌が薄れる。
「止まれ、これ以上は!」
世界が、応える。
攻撃が止まり、時間が一瞬静まる。
刃は、新宿の目前で止まる。
「分かった……!」
新宿が、一歩下がる。
笑みは消え、真剣な眼差しに変わった。
「欠番……お前次第だな」
「……そうだ」
俺は、刀を下げる。
勝利ではない。
でも、戦いを制御できた。
渋谷が近づき、手を肩に置く。
「春日……やったな」
「まだ序章だ。
でも、これが俺の決断だ」
東京のネオンが、静かに瞬く。
混沌も秩序も、少しだけ、俺に従う。
――欠番として、逃げずに戦った。
誰も犠牲にせず、選択の責任を背負った。
そして、東京は、まだ眠らない。
だが、今夜だけは、欠番の意思が街を守った。
未来は不確定でも、俺は知っている。
――戦う理由も、守る理由も、
――すべて俺の手の中にある。
刀を握り直す。
夜風が、冷たく背中を撫でる。
そして俺は、前を向く。
――欠番として。
――東京の中心に立つ者として。
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