秩序派との直接対峙
### 秩序派との直接対峙
中央区――昼でも夜でもない、黄昏の街。
人通りはあるが、空気は張りつめていた。
「到着」
渋谷が小声で言う。
俺は刀を握り直す。
手が、微かに震える。
「春日、準備」
「分かってる」
秩序派の指定場所――廃工場の屋上。
周囲には誰もいない。
でも、背筋に視線を感じる。
「欠番、ようこそ」
声。低く、整った口調。
スーツ姿の男が三人、手を組んで現れた。
「……こんにちは」
俺は答える。
警戒を忘れないように、刀を少し前に構える。
「話し合いです。
戦闘は不要」
「本当に?」
男の一人が、ゆっくりと頷く。
「今回は、秩序派の意志です」
「なるほど、でも油断はできない」
渋谷が言った。
「そう。春日、立場は“中心”だ」
「……欠番として?」
「その通り」
背筋が、自然と伸びる。
俺は欠番だ。
戦う理由も、守る理由も、すべて俺次第。
「まず、提案を聞きましょう」
俺は刀を下げつつ、警戒を解かない。
「我々は、刀の力を秩序下に統合したい」
「統合?」
「欠番を含む十二振りを監視下に置き、東京の秩序を保つ」
「……俺を縛るってことか」
「縛る、というより管理です」
「管理されると、どうなる?」
「欠番としての行動が制限されます。
同時に、東京の混沌の影響も最小限に抑えられる」
なるほど。
要するに、戦わずに秩序を優先するか、自由に戦うか。
「……選択は?」
「欠番自身に委ねます」
「だから、俺に?」
「はい。中心だから」
渋谷が小さく笑った。
「怖くても、自分で決めるの。春日」
「……分かってる」
俺は刀を握る手に力を込めた。
自由か管理か。どちらも逃げではない。
「では、提案します」
秩序派のリーダー格が、ゆっくり歩み寄る。
「欠番としての力を、
東京のために使いませんか?」
「……それって?」
「自由に動くより安全です。
しかし、欠番としての中心性は失われません」
心の中で、思考がざわつく。
俺が欠番である限り、自由は危険。
でも、自由であることは、街を守るチャンスでもある。
「……俺は」
俺は刀を握り直す。
決めた。
「自分で戦う」
「……!」
渋谷が少し驚く。
「話し合いは、ここまでです」
秩序派の男たちの目が変わる。
警戒、疑念、少しの尊敬――混ざった表情。
「理解しました。欠番の選択を尊重します」
「でも、監視は続けます」
「……当然だな」
背筋に緊張が走る。
欠番としての道は、自由だけど孤独でもある。
「春日」
渋谷が、そっと手を置く。
「怖い?」
「……少し」
「でも、正しい選択」
「そうだな」
廃工場の屋上に、風が吹き抜ける。
街のネオンは、遠くで瞬いていた。
東京は、まだ混沌としている。
でも、俺は中心に立った。
――欠番として。
逃げずに、戦うことを選んだ。
その時、遠くで影が動く。
新たな敵か、別の刀使いか。
いや、まだ分からない。
だが、もう後戻りはできない。
東京の運命は、俺の選択次第だ。
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