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【教育調査官、田島晴人の事件簿】其の一 白衣の沈黙

作者:せつな
最新エピソード掲載日:2025/10/25
昔勤務していた高校で生徒を一人失った過去を持つ元教師、田島晴人。
今は文科省の臨時調査官として、「教育現場の改善」という名目で各地の学校を巡っている。
外見は穏やかで“昼行灯”のように見えるが、心の奥にはまだ贖罪と疑念がくすぶっていた。

そんな田島が次に派遣されたのは、香蘭医療看護専門学校。
実習中の学生の不祥事と、学内の評価制度をめぐるトラブル――それが調査の名目だった。

しかし、そこには偶然とは思えない再会が待っていた。
かつて但馬の高校で教えていた教え子、小谷百花がこの学校の三年生として在籍していたのだ。
穏やかな笑顔の裏に何かを隠しているような彼女。
そしてその傍らには、彼女を強く守ろうとする恋人の谷口蒼太の姿があった。

調査を進めるうちに、田島は少しずつ学校の内部に潜む“沈黙”に気づいていく。
優秀で知られる佐久間准教授の研究室、なぜか口を閉ざす学生たち、
実習先で起きたとされる“ある事件”――。
その事件の裏には、医療倫理を巡る判断と、誰かの罪があった。

やがて田島は、
かつて守れなかった生徒と同じ「選択の瞬間」を再び目の前にする。

「真実を明かすことが、誰かをまた傷つけるとしたら――
 それでも、教師は声を上げるべきなのか?」

“白衣”は清らかな象徴であると同時に、
沈黙の中で汚れを隠す仮面でもある。

鳥取の静かな町で、
田島はもう一度、教えるという意味と向き合う。
昼行灯、医療の学舎へ立つ
2025/10/25 20:11
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