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ドアの世界~少女は異世界ゲームで名を揚げる。~  作者: ゆめみじ18
第1章「エタニティー・サーガ」西暦2037年11月18日〈水〉

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第4話「結・魂で体を治す」

 ギルド本部で温泉からあがり、食堂で戦空が狩ってきたミノタウロスの牛丼セットを食べ終わったあと。

 信条戦空も交えて5人、ギルドの和室で軽くお互い座り、リラックスしながら談笑する。

 話題は、鈴が桃花の治療を開始する話からだ。


 開始すると言ってもお互いの認識を再定義するためのものだ。

 桜愛鈴がため息混じりに愚痴を零す。

「私は神経科の医者でも無いんだけどね。ついでに神様は信じてない派だけど、こうやって姫ちゃんと仲良く話をしてるし。別に信じてない派が悪だと断ずるつもりはない……」


 とは言えだ、桃花の体調があとに戻れない所まで来ているのも事実。

 何故なら、彼女は国から病気認定を受けてしまった後なのだから。


「ああ、ごめん鈴ちゃん、私の思考がこんなばっかりに……」

 自分を軽んじているのは事実だが、だからといって【あんなに頑張ったのにその結果がコレ】では、あまりにも不幸だ。


 鈴が助け舟を出す。

「いいって、お互い様だから。じゃ、魂で体を治す。その方法を再認識しましょうか」

「……うん」


「まずは、魂を心、それと命の大小について再認識・再定義しましょうか」

 鈴が桃花と皆に言う。


 一般的な魂、心、命の関係性。


 魂と心◇魂が個人の本質的な部分であり、心はその魂の働きや現れである、と捉えられることがあります。あるいは、心は脳の機能であり、魂とは異なる概念として扱われることもあります。

 魂と命◇魂は命の源や、命が終わった後に残るものとして考えられることがあります。一方で、魂の存在を認めない立場からは、命は単なる生物学的現象として捉えられます。

 心と命◇心は、生きている状態〈命〉を持つ生物、特に高度な神経系を持つ生物に見られる機能と考えられます。心の働きは、生命維持や活動に深く関わっています。


 鈴は医者じゃないのに医者のように話を進める。

「まず、今までの他の作中で観られる答え合わせとしては〈命に大小はない〉〈心は魂に宿る〉〈感覚の先で意識と物質が出会う〉〈思考が現実を作る〉とかですねあとは。〈極低温では我々の常識的な世界観そのものが崩壊する〉が魔法っと……」


 桃花は現状の体調不良改善中の状態から改めて魂の認識を再確認する。

「そうだね、その中で私が解るのは。黄金魂。ソウルの部分で、1週間かけた絵と意識と意思決定が合わさって。ソウル、つまりこれが魂だってことで方程式に固定化されたと思われる。前の氷魔法の定義を流用するのなら。この絵はもう何度も使える不動のレンタルショップみたいな感じで。それと合わせると、この動画時間を使って〈魂で体を治す〉という意味合いになっていると思われる」


 鈴が更に補足する。

「そうだね。で、桃花先生は薬という薬品物質しか信じなかったせいで。どうしても良い薬が必要だった、必須条件だった事がうかがえる。本来魂で治せるはずなのに。そこに居るカメさんのせいか、お陰もあってか。〈人間の願いを世界が叶えてくれる〉っていう作用も相まって、桃花先生は見事病人扱いになってしまったと……」


 何もかも空回りの滑りまくりである。

 じゃあこのあとどうしようか? という定義に入ってくる。桃花先生が言う。

「病人扱いはもう国が認定しちゃったし、補助金も貰ってるから戻すのは難しいとしても。魂による治療で、これ以上の悪化は避けられる、共存は出来るって認識でいいのよね?」


 鈴は鈴なりの返答をする。

「まあそんな感じ。つまり、今後は物質的な治療だけでなく、魂の可能性を信じ、その力も活用して方法を探り、認識を改める。かな」


 そこまで来て、桃花は呟く。

「それが、魂で体を治す。……か、うーむ……」

 ちょっと考える時間が必要そうだった。

それからしばらく間が発生したが、やっぱり目に見える物質がなければあまり信用できないようである。言っている意味も解るし、実際何が悪くて何をすれば原因は解決するのか解っていてても受け止めづらいのが現状である。


 簡単に言うと、そこまで自分を軽んじているのだ。

 そこまで桃花先生の状態を知った戦空は1つの提案をする。

「そこまで魂で体を治す、に抵抗があるのなら。まずは自分を軽んじる所からやめれば良いんじゃねーか?」


 自身可愛さのあまり、なら解るが自分の価値がかなり低いと思い込んでいるのが桃花先生の弱点だ。そのことは本人も解っている、なら具体的にどうすれば良いのか? という話だ。

「わかるけど、何か案があるの?」


 戦空はさとすように言う。

「お金の問題ではないのは解ってるけど、具体的に自分の価値を上げるなら日給いくら貰ってる、の方が解りやすいはずだ。自分の命も魂も価値も軽んじているのなら、まずは日給上げたほうが手っ取り早いし。望めば叶うのならやったほうが良い」


 というわけで、戦空は、まず0円信仰をぶち壊すための対策を始める。

「まずは桃花先生の年収は108万円超えね、もちろん徐々に年収は上げていく」

 桃花先生はその言いたいことが解る。

「……、日給3000円か……、月9万円ね……」

 本来の会社員ならこれでも少ない方なのだが、まずは背伸びをしない方向で、命の価値を上げていく。


 姫は戦空がやりたいことがなんとなく解ってきた。

「つまりキャラクター全員に給料をあげるところから始めるわけね。そして自分を無価値で無意味な0円存在だと、自分で軽んじる所を避けて、魂で体を直しながら、金銭的にも治すと」


「そゆこと、まずは自分を価値ある存在だと認識しなくちゃ。物理的にも精神的にも」

 目に見えようが見えまいが、まずは自分を価値ある存在だと認める所から始める。そのためには給料をあげるのが一番早い。そういう認識だ。


 桃花先生もそこには一定の理解を示す。

「ふーん、なるほどね、で誰が払うのそのお金? どっから出てくるの?」


 姫は、自分が会社として払うことも出来るが。と念を押した上で言う。

「〈魔法〉でよくね? 問題は自分を価値ある存在だと認められる事に有るんだから、詳細な金額も、どこからお金が流れてくるかの説明義務はない。ドラえもんの4次元ポケットのアイテムも値段なんて決まってないだろ? つまりはそういうこと。給料をちゃんと全員にあげているという結果がけあればいい。あとは大人達の仕事だ。会社としてはキャラクターに【魔法で給料を】ちゃんと払っていて、それによりキャラ達は自分の存在価値を持てている、その設定だけあればいい」


 こんな感じか? とGM姫は戦空に視線を送ると、戦空は姫に頷く。


 桃花は「ふーん」と感心し、我が生徒達の成長度合いに感心する。

「つまり目的は〈自分の存在価値を軽んじないこと〉そのための手段が給料面でのバックアップであり、魂で体を治す、のきっかけ、信じる心に繋がるわけね。なるほどわかった」


 とりあえず、この場の共通認識として。

〈0から1を生む能力〉は良いとして〈0円信仰はまずい〉というのは、咲、姫、鈴、戦空、桃花の共通認識として一致した。

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