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ドアの世界~少女は異世界ゲームで名を揚げる。~  作者: ゆめみじ18
第3章「ザ・ユニティ」西暦2037年11月19日〈水〉

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第37話「起・無力なままでは終われない⑫」

 ♪――キミだけに、笑顔のために、その先に、最後のために、終わりのために――♪


 亜空間歴6分20秒、地球防衛軍ゲート出入り口、護衛艦あきずき。


 そこはただのドアと部屋だった。

 秘十席群が眠っている寝室に、湘南桃花は呆れたようにただ入る。

「うわ、不用心ね。もっと厳重な部屋で寝てると思ってたわ、何もかいてない部屋とか、聖域とか、鍵穴のないスイカの部屋とか、不思議な部屋とか……赤ちゃんの部屋とか……」


 ムクリと、秘十席群は目覚めて上体だけを起こす、そして寝ぼけながら言う。

「……むしろここまで厳重な部屋なんて考えられないよ、何もしなくても皆が俺を守ってくれるぐらいには、想像以上に自動で厳重さ」


「……言えてる」

「身の回りは全部自衛隊さん達がやってくれたよ、こっちは四重奏の日曜双矢、京学文美を左右のドアに見張っててもらって出入りさせただけ。光の守護者達さえ入ってこれない」


 湘南桃花と秘十席銀は表裏一体、一心同体なのでお互い何をやっていたのか判っている。知識も共有してるし、感覚共有もしているし、痛覚も味覚も触覚も、何だったら共有したくない性欲も共有している。共有したくないとところまで共有しているので運命共同体、ただの人間、死ぬときも一緒に消滅する、故に桃花は群の事を〈腐れ縁〉と表現しているのだ。


 補足しておくと湘南桃花と秘十席群の設定はほぼ同じである、心と体が元の肉体にある、基本的に超能力や魔法は使えない、ただの人間、行った気分にはなるが実際には行っていない、今は薬を飲んでいる、指紋も整脈認証も網膜スキャンも全部一緒、記憶も一緒、ただ性別だけが男女で違っていた。反対側の世界とか鏡の世界とかではなく同じ座標であり、同じ位置(・・・・)に居る。作中では位置はズレているが真実は椅子の上だ。

 ただただ人間として人間にできる範囲のことを人間としてやる。ただそれだけの地面に足がついた無力な存在、故に本当の意味では空は飛べない。

 あと〈落とした分岐が呼んでいる〉の重要性もあまり解っていないのも共有して解っていない。

 月とか火星とか金星とか関係無くただそこにいるだけ……。


 片方が寝て、片方が目覚めている、とかの誤差調整は可能。ただ、痛覚だけはどこに行っても貫通するような状況下ではある。いい面もわるい面も一緒だ、もちろん今までの思想も知っているし、共有もしている。

 共有していない所としては、桃花は皆の教師で群は清掃員ということだろうか。


 偽類する特徴の持ち主としては。

 信条戦空の〈風や今〉と違う所とえいば、当初は桃花と群にそんな設定は無かったという所と。

 オーバーリミッツの心と体が1つに成った状態のプロセスを当時の桃花と群は知らなかった、みたいな違いはあるだろう。

 いずれにしても、今を生き、心と体が1つに成っている所は共通しているのだが、出自の時系列が違うだけで、ある意味〈心と体が元の肉体と同化している〉という意味では同じかもしれない。本当は差別化したい所だが上手く言語化出来ないので詳細不明。


 それでいて亜空間歴に居て、護衛艦あきずきに乗り、今回のボスの桜愛神武の制約と誓約による結界まで張っているのだから防護面ではやり過ぎにも程がある。


「可能性の光が光った時は目覚めて動けなかったの?」

「それはほら、こっちのタイミングが合わなかったんだ」

 なんとも説明不足な会話にも聞こえる。

「……」

「……」

 お互いに目を見つめ合って何も言わずに会話する。


「じゃ、ゲームのルールに従い寝かせてもらう」

「そうだね、挨拶だけ済ませて、あとはゲームマスターのゲームが進むように動くか……」

 そう言って再びドアを閉める。


「じゃあおやすみバカ」

「じゃあおやすみアホ」

 そう桃花と群は言って再びギイっと軽いドアが閉まる音がした。


 桃花はアリス、オーバーリミッツ、レジェンドマンの居る部屋へと戻って行った。

「わんわん!」

「なー!」

 そこには何故か守護霊獣の犬マイと世界種の亀クールマが居た。

「……え?」

 桃花はなんでこいつらここに居る? と思っていた、てっきり咲と姫のペットだから御主人様を守るために戦場にいるもんだと思っていた。


「危ないからって避難させたんだって」

「うむ、小動物には少々キツイ戦場には変わりあるまい」

「いや、むしろ御主人様達よりこいつらの方が強いまであるんじゃない?」

 オーバーリミッツとレジェンドマンとアリスは交互に桃花に向かって言う。

 咲と姫の影の中で寝てたほうが緊急時に対応できるとか、色々手はあるはずだろう。むしろそれを放棄してここに来たと……?


「わんわん!」

「なー!」

 犬のマイと亀のクールマは「大丈夫だよ! 咲ちゃんと姫ちゃんの影の中には月の輪熊の守護霊獣を忍ばせたから!」と、動物語で言っている。


「いや!? お前ら何やっとんねん! ダメだこいつら! やっぱ最果ての軍勢より問題児だ!? てか大型動物じゃねーか!?」

 元うさぎ獣人のような物体である湘南桃花は動物語が解ったし聞き取れた、好いとこ取りである。


 それはそれとして、犬と亀が今の咲と姫の影の中に潜ませた月の輪熊とは……、一体どんなステータススペックなのだろうか……? 流石にマイとクールマよりはスペック低いだろうが、それでも不安である。桃花にとっては不安材料がまた2つ増えた。


「ちなみに先に聞いておきたいんだけど、その熊霊さんにはどんな能力があるの?」

「わんわん!」

「なー!」

 マイとクールマは「とりあえず単的に言うと、咲ちゃんと姫ちゃんに対しての追尾効果と自動反撃能力だよ!」と簡単に教えてくれた。


「……この戦争が終わったらお前ら説教な」

「わんわん!」

「なー!」

 皆の教育係の桃花は、なんで喜んでんねんお前ら、となっていた。と犬と亀の嬉しそうな鳴き声が聞こえて響いた。


 始祖の闇のエネルギーが枯渇するまで4分00秒。


 ♪――その後に、命は巡る、流転する、最初のために、始まりのために――♪

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