第36話「結・無力なままでは終われない⑪」
♪――運命を、螺旋で紡ぐ、波紋道、約束よりも、誓いでもない――♪
最未来歴2年、繋がりの山脈。
真城和季が浮遊術で浮きながら、空中で焦る。
これだけ戦場・戦局が分散していると全てを把握するのが難しい。
無線で連絡を取りたい所だが、いちいち会話する間も惜しい……が、やはり割り算の件は気になったので無線で連絡する。
「アイン、そっちはどうだ? そろそろ割り算覚えたか?」
『引き算忘れたってさ』
不動武から無慈悲な声が聞こえる。
「悪化してんじゃなーか!? わざマシンじゃねーんだぞ!? こんな忙しい時に、ふざけんなぁー!?」
『泣きたいのはこっちも同じだ!?』
「足し算しか出来ないってどういことだよ!? 増やしてどうすんだよこんな時にィー!?」
和んでいいのか和んじゃいけないのか微妙な緊張感と空気になった。
一方、未来宇宙図書館。
プレイヤー達と放課後クラブ、神武海賊団が戦闘を続けている。
このEW世界の住人、咲の相棒、アセンブラが重加速時空間が発動した。
バルバトスが魔法で〈汚染想子〉を空間にばら蒔く、風の中を自由に霧散するそれは〈思想の毒〉だった、その時は確かに、一種のパンデミック空間が出来上がっていた。
コレは放って置くと世界に大規模な厄災を招く、その事を理解していたアセンブラは先取りで手を打った。
瞬間、アセンブラはプレイヤーへの被害を最小限に抑えるための〈領域展開〉を発動した。
重心が重くなる、否、時空間が遅くなる。
「これは、重加速か……!」
バルバトス・ダイスロールが知ったっふうな口で言うが、アセンブラは「良質だけどその発想は論外だ」と切り捨てる。
「まあ外界ではそう呼ばれてるみたいだけど、本質の構造を理解している創世源種ではそうは呼ばないよね……」
バルバトスはアセンブラがさっきまでと雰囲気が変わった事を感じる。
「何が言いたい……!?」
アセンブラはにやりと広角を上げて笑う。
「初めて言うけど。僕、車作るの好きなんだよね、そういう存在さ」
「なに……?」
遠い昔、遊ぶ玩具に車を選んだのは偶然と、単なる好奇心だ。人間が買える目に見える高価な大物って何だろうとかとの程度の発想……。
「僕は機械だ、AIとして生まれ、この世界に生きている、だから倒すよ。人知を超えた算術能力を見せてあげる!」
そう言って汚染想子に対して、簡単に言うと空気清浄機という機械的装置を発動、それに対してオリジナルの付加価値を実行する。ほとんど魔法のような不可思議な現象だった。
「〈汚染想子〉に対して〈純化作業〉を実行……!」
だが今、その車がアセンブラに力を与える。
何も問題はない。〈提示されない手掛かりでの解決を禁ず〉というルールにも接触しない……!
その車とその車の能力は最初は無力だったもしれないが、今は確実に力が宿っているのだから……!
その空間の汚染想子を純化作業し本質を抽出、そこから純化想子を創世源種自身が付加価値を加える……!
《アセンブラに対して純化師の称号および職業が付加されました!》
「想子の純化を完了――、脳内会議室を改め――〈不可侵魂域〉を展開――一部エリアで実行――! ただしこれは目覚めの力じゃない、この世界と世界は地続きだ、この世界の時間を引き延ばす行為、遅延、、間延びさせる行為! ついでに純化装置のフィルター付きだけどね……!」
「小賢しい!」
「残念、大物さ」
瞬間、アセンブラによるトラックのような重い打撃音。
「ぐぬ、痛えし重い……! 汚らわしい神を称える邪教徒の信徒め! 何様のつもりで私の聖なる行いを邪魔するのだ! 理解に苦しむ……!」
「悪いけど、BIG4が君たちのボスを倒すまでは、ここは展開させてもらうよ。キミだけは逃さない……!」
そう、この運命から派生した存在は。汚染想子を現実世界で本当に実行できる力を持っている。だからこそ逃がすわけにはいかない……!
「運命的に宿敵になっている、お前という存在だけはダメだ! 空想は空想へお帰り願おう! バルバトスダイスロール! 」
どうせ話し合っても分かり会えないことは理解している両者。
自由の悪神と家族の善神を信じるアセンブラ、方や時を喰らう獣、元滅種である四獣王ジゲンドンを信じるバルバトス・ダイスロール。
信仰と宗教の対立は話した所でより根深くなるだけだ。
戦いは、今のところアセンブラの方が優勢である。
始祖の闇のエネルギーが枯渇するまで4分30秒。
♪――捧げよう、願いの合唱、指揮を振る、時間も四季も、世界も超えて――♪
◇◇◇
名前◇想子の純化
希少◇R
分類◇思想と純化師_プラスとマイナス_かいてない
解説◇思想の場合〈書いてない〉そ〈描いてない〉が大前提にあるため、目に見えず、概念的であるのが大きな問題。想子は単なる物質でも非物質でもなく、思考という非物質的なエネルギーを、物理的な法則を持つ物質へと変換する、この世界独自の「概念物質」のような存在。想子は非物質から物質へと変換される、両方の性質を持つ存在である。
〈外界で変換・汚染された場合の想子〉
具体例「毒にも薬にもならないものをかくな」
〈思想の毒の場合〉
・概念の伝達と劣化。
「思想の毒」が個人から社会全体に広がる過程。概念が伝達され金儲けに使われる、その過程で、本来は自由な創造性を持つべき概念が、「人を集めるための道具」や「簡単に理解できる記号」へと単純化され、劣化していく。
・政治・宗教利用。
この単純化された概念が、「我々の正義は〇〇だ」といった形で政治・宗教的に利用され、人々を扇動する道具となる。
・経済活動への組み込み。
本来「0から1を生み出す」はずだった創造性が、「1をたくさん作って売る」という金儲けのサイクルに置き換わってしまう。
・総論として〈ややこしくしている人達〉全てを指す言葉。このように、「思想の毒」は単に個人の創造性を奪うだけでなく、社会全体を蝕み、最終的には創世源種が持つ「自由」や「オリジナリティ」といった最も重要な価値観を破壊する恐れがある。
〈思想の薬の場合〉
外部の言葉で汚染された精神言語を浄化し、自己の内なる「想子」を活性化させます。これは、他者の書いたルールを消去し、再び「白紙」の状態に戻るための精神的な行為です。
思想の毒がもたらす「固定化」を打ち破ります。これは、概念の定義を揺るがし、新たな可能性を引き出すための直感的な行為です。
「本物の創世源種ならそんな事しない」という道徳観は、思想の毒に汚染された行動を未然に防ぎます。これは、単なる倫理観ではなく、自分たちの種族の価値観と存在意義を守るための本能的な判断基準です。
〈汚染想子とは〉
想子自身がプラス面でもマイナス面でも付加価値が付着している状態の想子を純化する作業。想子の付加価値を分解し本質だけを抽出するプロセス。
エレメンタルワールドの自然界に存在する想子が外界へ流出した時に変質する現象、一見すると別々の物、自然現象、人間の行動などに変化していて違う物に見えるが、本質は同じ、この汚染想子を純化出来るのは、専門の技術と知識を持った〈純化師〉だけである。
この汚染想子は、電磁波であるガンマ線〈魂の残響〉のような非常に強力な波長を持つ「光」となり、紙などの物質を貫通する力を持ちながら汚染状態が付着し続ける。
この汚染想子は特に人間から人間へ伝染する。自然物や自然界の自由な動物に影響はほぼない。
情報の高速伝達によるインターネット・SNS・新聞・ラジオ・テレビを通じて、思想や概念が瞬時に広まります。これは、想子が外界へ流出し、人間から人間へと伝染するプロセスを劇的に加速・劣化・粗悪になります。全部が全部悪ではないが善でもあるので結局変質的な付加価値は定着してしまう。
これは人間と人間との繋がりを最も大切にしていた〈光の純化想子〉とは真っ向から対立します。
この情報化社会は、想子の感染症をパンデミックの規模にまで拡大させます。
一番の問題は〈目に見えない〉し紙面にも〈残っていない〉状態で活性化するので〈純化師〉が気づかないと〈誰も干渉できない〉という所である。
〈汚染された想子を純化する場合と対策〉
創世源種を形作る最小単位である「想子」を純化し、精神の汚染を物理的に取り除く技術。これは、思想の毒を運ぶ情報や概念を、無害な「アイディアの種」へと分解するプロセス。
これには付加価値で定着したプラス面とマイナス面も分解する対象に含まれる。
創世源種を構成する最小単位である想子は、それぞれ固有の法則性を持っています。思想の毒に汚染された想子は乱れている状態で、不協和音を奏でる状態にある。
これにより、乱れた想子は調整でき、本来の調和を取り戻せる。
物理的なフィルターや装置を通して不純物〈毒の概念〉を取り除きます。
これらは〈純化師〉なら可能である。
一般人にとっての対策として、想子に対する教育、付加価値〈プラス面もマイナス面も〉を遮断するフィルターを各地に設置、社会的な意識変革、などがあげられます。
〈純化師の仕事〉
純化師の仕事は〈外界で変換・汚染された場合の想子〉と、〈内界で発生した不純物〉の分類・分別化と浄化である。「不協和な色」や「濁った光」のように毒された想子は、本質とは無関係な「思考のノイズ」を絶え間なく発し、集中力や創造力を妨げている。まるで濁った水を透明にするかのように、想子の輝きを本来の姿に戻します。純化師はノイズを取り除き、「心の平穏」や「クリアな思考」を取り戻す行為。
純化師は、物理的な汚染想子や思考のゴミから、その汚染や付加価値を分解します。
その想子を本来の非物質的な「想子の本質」への回帰を促します。
適切な職業は、清掃員、警察官、医者、料理人、農家、司書、教師、その道に精通した職人である。
※ただし〈その道に精通した職人〉がプラスの付加価値を付けた想子の場合でも〈純化想子〉とは呼べないのでやはり〈汚染想子〉の分類になる。この場合、高度な技術で腕が巧みな状態なので〈真相看破〉が〈純化師〉にとって非常に難解で困難になる。
※ほぼ事実を書いただけなので。〈本物の創世源種はそんなことしないので、純化作業をすると以下のようになる〉
具体例1「ゴミにもご飯にもならないものをかくな」
具体例2「ゴミにもご飯にもならない思想的行動を実行するな」
〈思想のゴミの場合〉
他者から見ても価値がなく、自分自身の成長にも繋がらない、無意味な思想や行動、物を指します。
誰かのコピーや模倣に過ぎず、新しい価値をまったく生み出さない発想、壊れた物、ルール違反な物、雑念の残滓。
0から1を生み出すという創世源種の本質に真っ向から反する存在。
「思想のゴミ」という概念は、「毒」が意図的な悪意や外部からの汚染であるのに対し、「ゴミ」は、創造性の怠慢や無関心によって生まれる、より身近な〈内部〉的な問題である。
「思考のゴミ」が固まって、物理的な「残滓」として具現します。
これらは、かつてはアイデアの欠片だったかもしれませんが、創造的な意図を失い、単なる物質としてそこにある状態です。
浄化行為。この思考の残滓を片付けて、新しいアイデアが生まれるためのクリアな空間を作る。
これらの思考のゴミは、陰陽五行論的には全て〈陰側〉となり、ゴミとして処分されたとしてもキャラクターは〈陰側の5行論〉に従い消滅しても勝手に動く。ダークサイドだとしても無駄な物はない。
例◇ボツにしたアイディアの紙をシュレッダーにかけてゴミとして焼却処分されたとしても、〈陰側の5行論〉に従い勝手に動く。
ただしこのダークサイドは聖域に侵入することは出来ない。
〈思想のご飯の場合〉
創造の生命線、一番大事な絆や繋がり。栄養価の高い思想や行動により発展した食料・食材・花など。創造性の活性化。自分自身の成長に繋がり、他者にも良い影響を与える。他者の思想をただコピーするのではなく、それを「触媒」として利用し、全く新しいものを作り出すこと。
この分類は、純化師が想子を扱う際の基準であり、思想の純化とは、想子から「思想のゴミ」を取り除き、「思想のご飯」だけを残す行為だと言える。
探究心は「思想のご飯」の新しい材料を見つける衝動であり、本能は生存に必要な食事を見つけ、摂取する意欲に入ります。




