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ドアの世界~少女は異世界ゲームで名を揚げる。~  作者: ゆめみじ18
第3章「ザ・ユニティ」西暦2037年11月19日〈水〉

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第25話「起・ザ・ユニティ発動!」

 とりあえず放課後クラブの天上院咲と天上院姫、四重奏の信条戦空と桜愛夜鈴、非理法権天の湘南桃花とレジャンドマン、最果ての軍勢の真城和季とキャビネットがこの場に居る。

 そして種族ならその種族のリーダー、国なら国のリーダー、軍隊なら軍隊のリーダーが1名だけこのテントの中に入ってきた。


 桜愛神武が各班ののリーダー達に口頭でまずこちら側、即ち敵側から出せる情報を言う。

「さて、まず天上院咲くんによって保存されていた記録(ログ)と言う名の盤面・局面・棋譜を読ませて貰ったが……。大規模戦の場合、中盤や終盤でGM姫自身が〈気疲れしている〉盤面が多い、最悪無理が祟って中止とか中断があって面白味が削がれて本末転倒な盤面が少なからず有る。まずはそこを潰したい」


 GM姫にとっても嬉しいし、全力をぶつけたい神武にとっても欲しい条件、いわゆるウインウインの関係の作戦会議から始まった。


「結論として亜空間歴を〈安全避難区域〉とする、敵側である我々もそこを攻撃しないと保証しよう」

 周りに居るリーダー達は驚く、敵側からそういう好条件を持ってきてくれるとは思ってもみなかったからだ。神武は続ける。

「だが、これだけでは弱い。所詮口約束に過ぎないので〈制約と誓約〉を使う」


 咲は超能力関係の漫画は読んでいたので言っている意味は解った。

「自らに強い制限を賭けて〈安全避難区域〉を強化するって事ですか?」

「そうだ、これをする事によって中盤や終盤でお前達は本当の安全と安心が保証される。私も全力を出したいのでこれでいい」


 GM姫も制約と誓約のことは知っているので話を続ける。

「して、お前が背負う代償とは?」


「……、私が亜空間歴という安全地帯に侵入しないという誓いを破った場合……」

「破った場合……?」

 咲は何だ何だと返答を首を長くして待つ……。


「そうだな……、私にとっても重要な〈変異体α〉と〈変異体β〉の体を四獣王ジゲンドンに喰われる。という重荷でどうだろうか? これなら私にとっても痛手だし、誓約を破りたいとも思わない」

 猿真似とかで〈自分の寿命の半分を〉とか言いそうな気がしたが、そこは自我を保ったまま己の意思を貫いたように見えた咲と姫。

 軽すぎず重すぎず、かと言って痛く無いわけ無い痛手。逆に桜愛神武にとって〈その程度の駒〉という解釈にも取れなくもない内容だった。

「オーケーのった!」

 GM姫はこれを了承する。


 つまり、桜愛神武が保健のために設置した。日本最古の歴史と吸血鬼大戦の歴史が、その時点から元滅種に喰われることを意味していた。

 これは神武本人が歴史を尊重しているからこその痛手である。〈だから誓約を破らない〉これで安全地帯は今より強固になった。


 そして、ここからいよいよ本題に入る。

「いいか、始祖の闇が解放され、インカージョンが発生したら。それは自然災害の洪水と同じだ。洪水相手に話し合いで解決しようと思うな。お前達がオリジンだ。そして同時に向こう側も自分達がオリジンだと思って自分達の宇宙を守ろうとしてくる」


 咲は今までの流れすぎて見過ごされがちだった疑問点を神武に投げかける。

「なぜ洪水なんですか? 例え話でも相手も人間のはずです、話せば解り合えると思うんですけど?」

 ここが厄介な所である。

「まず前提として時間の流れが不可逆なリアルタイム制で動いている、これだけなら何とかなる気がするが。問題なのは運命論が働いているということだ」


「え、運命論……?」

 声の先には湘南桃花が居た、運命の糸がどうのこうのはやったことは有るが、運命論の事は知らない……。運命の糸が他者に論理化され、派生され、世界樹クロニクルとかに根付いてしまったのだろう。だから彼女は変化した運命の事を知らない。漢字1文字違いでもわからないものはわからないのだ。


 桜愛神武は高校生に教えるように丁寧に説明する。

「運命論とは。世の中の出来事はすべて、あらかじめそうなるように定められていて、人間の努力ではそれを変更できない、とする考え方だ」

 桃花はあらためて言語化されて、自分の脳内に噛み砕いて吸収する。ソレを理解した上で桃花は神武に声を返す。


「それって今から変更出来ないの? コントロール出来ないの!?」

「残念ながら今回のイベントに関しては手遅れだ。インカージョンは発生する、時間の流れは止められない、その運命の中でオリジン以外のお前達、アナザーなお前達はは、自分達の手を離れ、勝手に動く……」


 つまり、アナザーな自分達は運命を変えられないということだ、オリジンである自分達を除いて……。だから自然災害に例えられた。

「なるほど、今はそういう状況下だって理解したわ」

 疑問に思っていた謎を言語化出来たので話がすとんと理解出来た咲はイスに座った。


 桜愛神武は作戦を続ける。

「いいか、これから襲ってくるモンスターは、あらゆる可能性のお前達だ。制限時間は10分、それまで持ち堪えろ。始祖の闇のエネルギーを限界まで放出させる」


 そこまで聞いて咲は眉間にシワを寄せた。

「てか元はお姉ちゃんの闇なんでしょ? 何とかなんないの?」

「て言われても~、それじゃつまんないじゃろ?」

 面白い方向に話を全振りする悪神の悪いクセが出ている天上院姫。


「わんわん!」「なー!」

 マイとクールマも、もの申したそうに鳴いているが、話を聞きたい全員が釘付けになって聞き耳を立てていて動物の鳴き声が気にならない。


 神武は咲と姫に最後のシメの仕事を依頼する。

「咲と姫、それでだ。10分間で始祖の闇のエネルギーを使い果たしたら、姫に弱った始祖の闇を吸収してもらおう」

「おお! なるほど、つまり食事ってことだな! わかった!」

 イベントが終わった後のお片付けを頼まれた事だけは噛み砕いて理解出来たGM姫。


「私から話せる情報は以上だ、あとは出たとこ勝負になる」

 敵さん側からの情報は以上ということになるらしい。


「では封印を解く、準備いいか? 始めるぞ」

 神武は胸の中央部の〈闇玉〉に両腕を構える……。


「お父さん……」

「大丈夫、すぐ終わる。お前に罪は被せない」

 娘である桜愛夜鈴が父である桜愛神武の心身を心配するが、神武は夜鈴に重責を押しつけたくないのだ……。

 そんなシリアスな空気をぶち壊すような声色がポップコーンのように弾けた。


 GM姫が演出の準備を考え始めた。

「て、一口に始めるって言っても。海軍の警報音や花火大会だと味気ないよな~? 何か音楽でも流すか!」

 何故か悪ノリしたのは色々原因がある湘南桃花。

「いいねそのアイディア! 流行の曲でも流す? この際!」


 何故か戦場の音楽を何流すかで味方陣営は盛り上がり始めた。

「ちょっと待って。こういう大々的なイベントなら著作権切れてる古い曲にして。自衛隊で使うワルキューレとか、新世界とか、天国と地獄とかさ~~」

「天国と地獄って小学生の運動会の喜歌劇じゃん、シーンに合ってなくない?」

「いや、イベントの主催者が放課後クラブだからむしろ〈ポイ〉よな……」

「じゃあ天国と地獄を今風にアレンジして歌詞付けて歌おう!」

「アイドルユニット作って音楽メドレーを戦場で歌うとかどうだ!?」

「いいね! それいただき! 歌ってるアイドルはバフ担当な!」


 桜愛神武と桜愛夜鈴は根が真面目なので話の流れに置いてきぼりを食らった。

「何か気が抜けるな~」

「まあ放課後クラブだし良いんじゃない……?」


 味方チームの作戦はこうだ、まず〈古来の深海図書館〉と〈未来の宇宙図書館〉と〈第7の街ノット〉が戦場になり。〈亜空間歴〉が避難場所として機能する。

 魔術師アリスを1人第7の街に配置し、オリジン時間軸の運命の糸の調律を行う。


 4箇所の防御チームは4チーム。重要度の高い順に……。

 亜空間歴を四重奏が防衛、第7の街ノットを最果ての軍勢が防衛、古来の深海図書館を非理法権天が防衛、未来の宇宙図書館を放課後クラブが防衛。


 攻撃チームはBIG4のメイン4名に、それのフォローが4名の合計8人。

 メインが信条戦空、湘南桃花、真城和季、天上院咲。

 フォローが桜愛夜鈴、レジャンドマン、キャビネット、天上院姫。

 このチームはラスボスである暴走した始祖の闇&桜愛神武の迎撃にあたる。


 光の勇者である咲は、それでも現実味が無いようで、他人事のように口走る。

「簡単に言うね」

「もっと簡単じゃないぞ。これだけの時間軸の流れだ、四獣王ジゲンドンが現れる」

 桜愛神武は軽く言ったつもりだが、咲にとっては嫌な元滅種までもが来る事が判った。

「げ!? このタイミングで!? 厄介なのが来るわね!?」

 無限の自分達がモブモンスター、四獣王ジゲンドンが中ボス、始祖の闇&桜愛神武がラスボスという構図に皆が驚くが、信条戦空の頭には半ほどの情報しか入ってこない。

 最果ての軍勢、真城和季は数々の訓練は受けていたが、自分の実力以上の強者とぶつかる機会が無かった。本当の実戦は初めてなので頭を抱える……。

「俺……ちゃんと指揮出来るかな……いきなり自信無くなってきた」

「大丈夫だくぎゅう! そのためのフォロー! そのための最果ての軍勢だくぎゅーう!」


 どこかの国の軍隊長達が言った。

「そこは五獣王、命王蟲(メイオーム)とその他大群に参戦して貰えればよくね?」

「マジかよ怪獣大決戦じゃん」

「ジゲンドンは我々各国の軍隊が対応しよう、そういうのは得意分野だ」

 そこまでを聞いて、各々の班のリーダー達が自分達の役割分担をワラワラと自由に話し始めた。


 改めてGM姫が大事なことなので皆にもう一度言った。

「改めて言うが。王道サイドの闇の力に対抗できるのは、同じく王道サイドの光の力だけだ。このチームにその力を持っているのは信条戦空と天上院咲の2人だけなのを覚えて置くように!」


 どうやら準備はまだだったようで、桜愛神武は仕切り直す。

「……では1時間猶予を与える」

 GM姫は各リーダーに伝令する、と共にテントを出て良いよ、と言う。

「では各リーダーは書類と共に皆に伝えろ!」


 4つの拠点、亜空間歴、第7街ノット、古来の深海図書館、未来の宇宙図書館を、各50隻の軍隊が取り囲み。

 各地には今まで出会ったプレイヤー・NPC・その他、総勢約10万人の精鋭がにじりよるインカージョンを待っていた。

 戦局のカギを握るのはギルドBIG4、四重奏、非理法権天、最果ての軍勢、放課後クラブ。

 それら創造しうる無限の可能性の宇宙の世界線が。このオリジン世界線に激突するのが〈インカージョン〉。こらら全てを〈手助け〉調律して捌くのが〈ザ・ユニティ〉である。

 自分達の世界線を1とした場合、9999以上の世界線が激突する大自然災害という決戦である……!


 1時間後……。

「……、時間だ。始めるぞ……」

 そう言って桜愛神武は闇玉の封印を解放した……。

 始祖の闇が桜愛神武に憑依し、現実世界の金星と同期した星が出現する、自転と公転を始める〈金星の力〉がエネルギー源として動き始め、世界線が分岐し始める……。

 この世の光景と思えない流動を、地響きを、皆が感じていた。


 誰かが言った。

「……この世の終わりだ……」

「蒼スズちゃんの時と比較にならないな……」

 

 GM天上院姫が開戦合図を出す。

「作戦名! ザ・ユニティ! 発動ぉー! ミュージック! スタート!」


 ~♪~


 ――戦場に音楽と――歌姫達の歌声が鳴り響き始めた。


《インカージョンが発動しました! イベント名「無力なままでは終われない」が進行します――!》

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