第21話「起・桜愛神武」
第7の街ノットで、またもや精霊石の鑑定をする前に。その桜愛神武さんという人に会おう! というノリの流れになったので、そのプレイヤー桜愛神武さんを呼んだ。
犬のマイと亀のクールマは街の喫茶店の外で遊ばせておくとして。
「いやーあの時は時間取れなくて済まなかった! やっと時間取れたので話そうと思ってな!」
「……姿や雰囲気が全然違うが、まあ本人が神だって言うならそうなんだろうな。魔法で本性は判るが……てかそれとは別に、本当に丸くなったよなお前さん」
姫と神武は昔話に花を咲かせているが、所々ついていけるが基本的にはついていけない咲。
「てか桜愛神武さんって何年の人なんですか? 時系列がちんぷんかんぷんなんですけど……?」
「大事なのは何年に居たかじゃない、何をやったかだよ、若き少女神ちゃん」
その瞳は、魔法科学高等学校の白のガンダルフ校長先生にも似た熟練の技というか貫禄を持っていた。
桜愛神武は経歴書の紙を咲と姫にテーブル越しにスッと渡す。
咲はその紙をマジマジと見ている……、姫は補足するように桜愛神武のフォローをする。
「咲も経験・体験したようにこの世界の時間軸は6個あるが、今回は3個しか使っていない、極神速歴や虚裏闇歴を使おうと思えば使えたが、あんまり長居しなかったので、今回は省略しているって感じの時系列書じゃな」
「ふむ……なるほど、獣王ジゲンドンとの戦闘を経験してないと判らない時系列になっているわね……本人の時間が横じゃなくて縦に移動・ブチ抜いてる感じか」
流石に自由の悪神に振り回されているだけあって多少のことでは驚かないようになった咲だが、今回の神武の時系列というか内容には流石に心が動揺した。
「ふむ、なるほど解った」
善人か悪人かで言えば確かに海賊だから悪人だが、仁義は通っている人らしい。
少なくとも桃花先生には悪いが〈犯行動機〉は、人の心を蔑ろにするものではなかった。悔しいが、ちゃんと人間の心を重んじた格式がある。
簡素な履歴書だが、深堀りすれば、噛めば噛むほど味がするような、そんな濃厚な歴史が滲み出ている。
そのうえで家族の善神である咲は。
「あなたはとても優秀です、その上で。一緒に遊べる仲にはなれないと思いました」
「フフフ、それは心理的に? 感情的に?」
「感情的にです、どれだけ綺麗にまとめても、技術的に強力くても、何ていうかな。この紙からは〈心の叫び〉が聞こえなかったので……極端に言うと、桃花先生のバカさ加減の方が私は好きです。先生は共感や等身大は狙ってやってますが、何ていうかな。心はあるんだけど、あなたのは何か冷たいです」
格上相手に一歩も引かずにズカズカ言う咲、これが怖いもの知らずといった所だろうか。
「ふむ、流石。今と未来を背負っているプレイヤーなだけはある」
「まあ、場数は嫌でも踏んだので……」
こうして喫茶店での天上院咲と桜愛神武との初会合は進んで行った――。
◇
名前◇桜愛神武
希少◇SSR
分類◇インカージョン_ザ・ユニティ_魔法科学高等学校卒業生
解説◇時系列順、アース018、元の世界。世界種クールマの存在が知られていなかった時代。
1、今現在歴1949年5月14日〈土〉生まれ。日本国ルミネ市アドバンス地区は、第二次世界大戦後の混乱期にあった。
2、今現在歴1959年、10歳。桜愛神武、湘南竜尾と信条戦人の出会い、親友であり友達となる。後の桜愛夜鈴の父、湘南桃花の父、信条戦空の父。信条戦人は超人国際総合高等学校に行った。
3、今現在歴1967年、18歳、科学の塔と魔術の塔をクリアし魔法科学高等学校を卒業。科学と魔術を極めし者となる。そしてタイムジャンプを実行する。
4、今現在歴1500年、湘南竜尾は止めたが、神武は大航海時代へとタイムジャンプし、新大陸・アメリカ大陸で遊び海賊ごっこを始める。
5、今現在歴マイナス660年。〈変異体神武α〉を分裂させ現実世界の日本国を統治する王〈天皇〉として配置する。これが後の日本国の基盤となる。
6、今現在歴2008年。桜愛神武は桜愛詩歌と結婚し、その子供の名前が桜愛夜鈴となる。
7、最古来歴2010年、吸血鬼大戦勃発。桜愛神武は自然に身を任せて何もしなかった。この時、創造神は本能に身を任せてあるがままに受け入れた。念の為にこの時代の〈1日目〉にも〈変異体神武β〉を設置、その後の状況を観測するように使命を与えた。
8、今現在歴2018年、桜愛夜鈴10歳はちょっと怒って家出して、最古来歴8年に行き異世界人達と交流する。その後、夜鈴は吸血鬼大戦の余波をモロに受けて、何が起こったのか理解も出来ず、もちろんコントロールできず、そこでピンクスズと蒼スズに分岐して、別次元からの侵略と衝突〈インカージョン〉を引き起こす。伝家の宝刀、赤い短剣〈過去に戻って誤差修正〉も使ったが、経験が浅く扱い切れなかった。
9、最古来歴8年。インカージョン発生。数%の確率で吸血鬼大戦の多元宇宙迷宮を生き残った湘南桃花と秘十席群が緊急で対処に当たろうとするが時間が不可逆的でコントロール出来ずに手がつけられなくなる。簡単に言うと現実世界の時間の止め方を覚えていなかった。
10、最古来歴9年。吸血鬼大戦とインカージョンによる〈内乱〉が終結へ向かった時〈神武海賊団〉が助けてくれた。この時の創造神、後の天上院姫は神武海賊団の勧誘を「依り代のキャラがダサい」という見た目だけで判断し勧誘を蹴った。それと他にも行く用事があると言って別の次元へ霊体として見に行って消えた。だがこの時、吸血鬼大戦の〈波動〉は時間が経過しても収まらなかった事を創造神さえも知ることは出来なかった。よってこの〈波動〉は時間が経過しても収まることはないことを意味している。元の世界であるエレメンタルワールドで対処しない限り変化することはない。0から1を生み出す世界でちゃんと対処しないと他の世界では変えられない事を、当時の桜愛神武は科学と魔術に精通していたので知っていた。インカージョンの危機はまだ終わっていない。
11、最古来歴10年。桜愛神武は吸血鬼大戦の余波〈波動〉を科学と魔術でコントロールできたので、自分が大罪や責任、桜愛夜鈴や湘南桃花の過去の世界線や〈始祖の闇〉を一身に受けて、その代償として湘南竜尾の運命寿命が消耗し死亡する。結果、桜愛夜鈴や湘南桃花に大罪や責任の意識は芽生えなかった。理由や動機は大罪や責任、戦争の傷跡を次の世代の娘たちに引き継がせたくなかったから。見聞を広めることは許したが。
12、最古来歴1年。このあたりで「もっと力が必要だ」と桜愛神武は思うようになり、最強の能力者軍団による分類化と、治安維持部隊〈最果ての軍勢〉の原型と陰陽五行論思想が出来上がる。神武はその後の発展には関与していない。
13、今現在歴2025年、よってこの時間には桜愛夜鈴、ピンクスズ、蒼スズ、夜鈴の弟であるヨシュアが生存している世界線として現存している。
14、最未来歴1年、桜愛神武76歳。後に宇宙種や神の存在となる天上院咲や天上院姫、特に願いを世界規模で叶えてくれる世界種クールマの存在を知り。桜愛神武は咲と姫を認識する。※今ここ※
15、最未来歴2年、この状態でも運命の糸、世界線は保ち続けているし〈インカージョンの波動〉は止まることはないと考えると。湘南桃花とオーバーリミッツの理解が追いついた状態により条件は整った。1人の魔術師を皆で手助けする。作戦名「ザ・ユニティ」が始まる。




