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異能者の学園に潜入したので、異能を使わずに学園最強を目指します  作者: sei10


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17 エンガチョ

最重要任務の前半戦.... ありていに言えば死体泥棒を三日後に控えた昼食の時間に、事件は起こった。


「随分と逃げ回ってくれましたね.... ですがそれもここまでです」


そう言い放ったのはいつぞやの縦ロール。連れている取り巻きは、哲郎を逃すまいと円形の陣を敷いている。


そんな中、咄嗟にこちらへ視線を送った哲郎に対し、俺は両手の指でエンガチョした。右隣で胡坐をかいている光輝も、中指を立てて哲郎を煽り散らかしている。


そういえば.... いつも一緒にいる守は? と思い周囲を探すと、ヤツは知らぬ存ぜぬの姿勢で淡々と麺をすすっていた。


やはり長くツーマンセルを組んでいただけあって、哲郎も守に期待できないことを悟っているのだろう。守の方には目もくれず、必死の口パクでこちらに助けを懇願している様は滑稽だった。


『た、す、け、て』


『む、り、ぽ』


隣の席に座る光輝は俺の肩にそっと手を置き、ゆっくりと首を横に振った。なので俺もそれに応じ、哲郎に口パクで返事をする。


一連の流れで遂には天を仰いだ哲郎。しかし、意外なところから助け船は現れた。




「すまないが、彼の行為を不問としてはいただけないだろうか?」


そう言ったのは、これまた何時ぞやのサムライ娘。彼女は取り巻きーズの陣に割って入ると、哲郎を庇うように縦ロールへと相対した。


「邪魔をしないでいただけますか? それに、決闘に横槍を入れられたのはそちらも同じはずでしょうに。それとも、貴方に譲れと?」


少しの沈黙の後、サムライ娘は自戒するように言葉を吐く。


「いや、思うところが無いと言えば嘘になる。それに、我々貴族階級の面子の大切さも理解しているさ。しかし、生徒会長の言葉に気づかされてな。「乱戦だということを忘れてないか....」あの場は私たちの決闘を行う場所ではなく、全ての生徒が互いに競い合うバトルロワイアルだった。であれば、戦いの最中に第三者が現れることも想定して然るべきだろう」


「.......そうですわね」


客観的な視点から問題を指摘したサムライ娘の言葉によって、縦ロールも渋々といった様子で矛を収める。


普通はどんなに正当性を欠いていても、どこぞの馬の骨な哲郎が華族のボンボンに報復されるのは当たり前。しかし、公衆の面前で同じくらいの立場を持つサムライ娘がその正当性を指摘した時点で、馬の骨 VS 縦ロールという本来であれば成り立つはずもない構図は、縦ロール VS サムライ娘という拮抗した構図に塗り替わっていた。


「うーん、セーフ?」


「グレーだな。様子見」


哲郎はどうやら首の皮一枚つながったらしい。


サムライ娘の正義感に助けられたな。とはいえ、今後も何かと因縁付けられることは増えるだろう。南無三。


そうして、昼休みの終了の5分前を告げる予鈴(よれい)が鳴ったのも相まって、周囲の野次馬は白けたように散っていった。


「....ぁ、ありがとうっございまっす!」


「いやなに。士族として最低限の道理を守っただけだ。礼には及ばんよ」


そう一言を残して、サムライ娘はその場から立ち去った。


周囲に人が少なくなり食堂から退出した哲郎に、俺と光輝、そして守が追従する。


「よかったな。まだ首は切られずに済みそうだぞ」


「随分と目立ってくれたんだ。その分任務はきちんとこなしてもらうからな。覚悟しとけ」


「テッちゃんさ~ 危なかったね。けど助かってよかったよ」


そんな風に、俺と光輝は辛口な発破をかけ、守は先ほどの態度など無かったかのように味方面をする。しかし、当の本人はその声がまるで聞こえてないかのように沈黙を貫いていた。


「どうしたんだよ」


上の空だった哲郎が、その疑問を耳にして一言...


「コレが恋.... って、やつなのかなぁ...」


「「「は?」」」

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