16 チーム結成 バカ四人
休日をゆっくりと過ごした俺含めた生徒一同は今、週明けの朝のホームルームの最中だ。Dクラスの担任は前と変わらず気の強そうな..... あれ、何先生だっけ? そういえば、俺は先生の自己紹介を聞いていなかったな。異能は探知だか感知だかなのは覚えているが、肝心の名前は思い出せなかった。
ま、いっか。いまは先生の話を聞いておこう。
「今日の放課後から課外任務が解放される。そして、今日の授業ではその課外任務についての説明を行なう」
そのHRでの要点は、一番初めに先生が言ったこの一文に尽きる。しかし、それ以降の話が長いのなんのって.... もう、話し終わる時間には昼休みの飯時間が半分潰れていた。
正直なところ寝てしまいたい気分だったのだが、俺の立場ではそうもいっていられない。きちんと先生が3時間近くも垂れ流していた説明は効いていたさ。ノートにまとめると... こんな感じ?
1.課外任務は3~5人のチームを組んで行わなければならない。
2.月に一度以上のノルマが課される。
3.任務を達成すると、金銭報酬とランキングポイントが支給される。
4.校内序列戦とは別に、チームごとにランキングもある。
と、全体の1%にも満たない内容だが、重要なところをまとめてみた。この中でいい話は、任務達成での金銭報酬があるという所。あまりお金に余裕があるという訳ではないので、素直に嬉しいポイントだ。あとは、ランキングポイントが稼げるというのも大きい。
とはいえ、俺にとってはデメリットとなる項目があるにはある。その.... 唯一にして最悪のポイントが、3~5人のチームを組まなければいけないという所だ。
同学年でチームを組める人は...... 光輝は誘える、あとの一人。神楽木? 誘えるのか俺に。前提として、俺と神楽木にはチームを組めるほどの関係値は存在するのか?いや、もしくは先約があったりするのかもしれないし....
というか、課外任務は学園外に出られる貴重な時間だ。しかし、神楽木のような一般人をチームに誘えば自由な行動が出来なくなる。いや、だが先輩を誘うにしても、哲郎を切り捨てる結果になった場合にはそのチームメイトが真っ先に疑われる立場にもなる。うーむ.... 悩ましい。
そんな、頭の中を不安要素が駆け巡っている中で、周囲のクラスメイト達は気の合いそうな人にチームを組もうと声を掛け合う。その雰囲気が、さらに俺の思考にノイズを走らせていた。
「.....光輝に任せるか」
そんな熟考の結果として、俺が変に頭を使うのは性に合わないという結論に至った。つまるところ、丸投げである。
そうして短い昼食時間で光輝と密談をするに至ったわけだが、彼はこんな言葉を返してきた。
「まずはその課外任務について、直接先輩に話を聞きに行こう」
いやコイツ、さんざん先輩二人に振り回されたのに懲りていないのか? とも思ったが、死んだような眼からしてもう諦めているのだろう。完全にあの二人との関係を、面倒だが必要不可欠な情報源かつ労働資源として割り切っている。死んだ魚のような眼だな。
だが、そんな悠長なことを言える時間は俺たち二人に残されていないのも事実。スマートバンド... 略してスマバのアプリを見ると、既に7割方の生徒がチームを結成してしまっていた。
「え? いや、誘える人がいなくなっちゃうんじゃないか?」
「いくらでも方法なんてあるさ、3人でチーム組んでる所に入れてもらうのも出来るしな」
教室内カースト上位の発言だな、俺とは格が違う。その一言で今までの心配は吹き飛ぶほど、やっぱり光輝は頼りになるな。流石こうエモン。
「なんか変なこと考えてないか?」
「いや? そんな事より、早めに先輩にメールを送っておこう。あとは電話もかな? 保険は掛けておこう」
「それもそうだな」
一応事前に連絡をしておいて、集合は学校内にあるショッピングモールの喫茶店で集まることになった。場所は寮の隣で、校舎からはそこまで離れていないので、予定時間より少し早く着くことができた。
「健人、何にする?」
「ちょっと待って、メニュー見てるから」
悩んだ結果として、俺は抹茶ラテを頼むことにした。色々と悩みすぎたせいで糖分が足りなくなったので、サイズはLで。その後に待ち時間もなく完成した抹茶ラテをズゾゾッと吸うこと5分ほどで、先輩たちは喫茶店に入って来た。
二人は手慣れた様子で注文をしている。ほどなくしてドリンクを受け取った先輩二人は、おっかなびっくりで俺と光輝の向かいに座った。
「今回先輩1と2に聞きたいのは、課外任務についてです。報告書に一応目は通してあるんだけど、本人の口から聞くのも大切だと思ったんで」
「「先輩1と2って..」」
二人は不服そうな顔をしていたが、すぐに口を開いた。
「これからはよろしくな」
「足引っ張るんじゃないぞ」
「「はぁ?」」
その二人の発言に、思わず疑問符が浮かぶ俺たち二人。しかし、先輩二人は話を続けた。
「実は、俺たちがチームを組んでたヤツが試験で落ちて退学したんだ。だから俺たち二人とお前たち二人を合わせて4人でチームを組もうってこと。前から言ってただろ?」
「初耳なんですけど」
「あー ってことは初めて言ったからだ、忘れてた。すまん」
うん、キレそう。俺の6時間分の心配と焦りを、利子も含めてしっかり返してほしい。しかし、その発言に光輝は否を唱えた。
「結論付けるのはまだ早い。まず、課外授業において俺たちはどれくらいの自由行動が許されるのか。あとは俺達四人がパーティーを組んだ場合に、一人が下手こいたら他三人も芋づる式に疑われるってこと。その二つを天秤にかけて、どっちの方がより良い選択かを考えろ」
「うーん... でもまぁ、四人で組んだ方が良いと思うよ? 課外授業は公欠で一週間近く学校にいないこともあるし、裏で行動するなんて訳ない。実際、去年は僕たちも任務に協力できてたでしょ?」
「そうそう。それに、俺らは学生とはいえ訓練兵だ。学年内の半分くらいは常に出払ってるから、変に疑われるようなこともないだろ」
「哲郎、盛り過ぎだよ。せいぜい3割くらい」
「だとよ」
そんな上級生二人の発言を元に考えた結果、光輝は先輩二人とパーティーを組むことが最善と判断した。
「よろしく。問題は起こすなよ」
「「わかってるって」」
「特に週末.... 気張っていくぞ」
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感想 歓喜
レビュー 狂喜乱舞
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