14 新歓という名の蹂躙劇
精神を撃沈された光輝は放っておいて、俺はチャンネルを次々と回していった。
「ここで! なんと生徒会書記と生徒会副会長の一騎打ちが実現しました! これは目が離せませんよッ!」
ハイテンションな解説役の上級生は、画面に映る二人を指してそう言った。つまり、あの真面目そうな女子生徒と、ヤンチャそうな男子生徒が、それぞれランキングの9位と5位というわけか。
そうして映像を凝視していると、その闘いは静かに始まった。
「最大風速で行かせてもらうわ」
「望むところォッ... だァ!」
呼応するように男子生徒は応え、同時に拳を地面に向かって叩きつける。衝撃で男子生徒と女子生徒の間の地面がめくれ上がるが、その防壁は一瞬で消し飛ぶことになった。
「うォ!?」
木々のざわめきが次第に音量を増し、その風圧は周囲の森を薙ぎ倒すほどに極大化される。虎視眈々と一騎打ちの成り行きを見守っていた周囲の生徒たちは、そんな木々と土砂の雨にミキサーされて脱落していった。
しかし、副会長と呼ばれた男子生徒はその役職の通り、一味違うらしい。彼はいつのまにやら姿を消しており、風が勢いを弱めたタイミングで地面から躍り出る。
「喰らえやァ!」
その手に握られた得物は、刺突剣と言うには短く、短剣と呼ぶには細すぎる。そんな、中途半端な剣だ。その切っ先を矢面に、副会長は弾丸のごとく書記の体を刺し穿つ。
が、そちらも一桁ランクの手練れ。副会長の刃は届かず、それを察した彼はすぐさま距離を取った。
「貴方にはいつも辛酸をなめさせられていたけれど、今日は土を付けさせてもらうわよ.... モグラ野郎!」
そう威勢よく言った書記の女子生徒は、両手で空を包むようなしぐさを取る。そして、周囲に逆巻く暴風が一瞬で凪ぐと、続けて副会長の全身に螺旋を描くような歪みが生じていた。
【真空獄】
予想するに、書記の異能は風に関する物。それも、周囲一帯の森を吹き飛ばすほどの高威力。そんな風圧を人一人に集中させた結果として、副会長は空中で身動きを封じられていた。
「ぐ..... 動けねぇ。マジかよ!」
「当然、逃がすわけが
しかし、その言葉を吐き切る前に、生徒会書記は脱落していた。
「これが乱戦だってことを忘れてない? 嵐山書記....」
「逃げッ
拘束が解けた直後に、何の迷いもなく逃走を選択した副会長。しかし、彼もまた即座に脱落することになった。
「だ~め」
周囲の光景が黒に塗りつぶされる。そして、次の瞬間には巨大な隕石が周囲一帯を押しつぶした。地面を掘って隠れた副会長でもすらもその圧倒的質量の餌食となり、周囲の生徒が脱落したことを示す電子音は止まることなくなり続けていた。
「ひゅ~ マジか。規模広すぎだろ」
周囲の生徒が一掃されたことで、Live配信の視点は自動的にその下手人へと切り替わっていた。そして、右上に映るのはその生徒の名前と称号。
「生徒会長、早乙女 輝夜.... 事前に聞いてはいたが、ここまでとは思わなんだな」
本任務における”特別危険人物”のリストに上がっていた唯一の生徒。黄金世代の中でも頭一つ抜けた寵児と噂の彼女は、その名に違わない圧倒的な異能を見せつけてくれた。
「既に”星辰”の後継者に内定したって噂も、あながち間違いじゃないのかもな」
隕石を降らせる異能... それだけでも異能評価Aはありそうだが、隠し玉もあるんだろうなぁ。
くわばらしているうちに生徒会長による蹂躙はどんどん進んでいき、遂には彼女の一人勝ちで試合は決着してしまった。馬鹿二人も天災の前には成す術も無いらしく... というか、成す術を見せてはいけないと自覚していたらしく、隕石に押しつぶされて脱落していた。
「終わったぞ光輝」
「はッ.... バカ1は?」
「少ししたら帰ってくると思う」
「.....コロス」
「俺は止めない」
そうして、やり切った感を出して帰ってきた哲郎は、呪詛を吐く光輝によって血祭りにあげられた。南無三、強く生きてくれ。
リアクション 喜び Lv.1
ブックマーク 喜び Lv.2
評価 喜び Lv.3
感想 歓喜
レビュー 狂喜乱舞
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