インフルエンザ
詩という名のエッセイです。
15歳になった翌日にインフルエンザに罹った。
7日のことだ。
おかげで冬休みがだいぶ延びた。
まず、手が重くて、四肢が布団の繊維に沈み込むような感覚で、ああこの前もこうだったなと記憶がワープして、気がつけばマスクの中が燃えるように発熱していた。
きつくないなんてことは毛頭ないのだが、不思議なことに気持ちはいつになくポジティブだった。
熱が40度近くをじれったく移動しているときとお腹が痛い時、水が苦いとき以外は、案外悪くない?布団生活だった。
でも始めの2日間は、くだんの、熱が40度近く〜の状態だったから、厳密には9日以降の布団生活が至福だった。
体を、布団の一番あたたかい、一番心地よい場所に据えて、眠っているようないないような絶妙な境地に浸るのが良かった。
水を飲みたい、でも取りに行くのはもう少しあと…という先延ばし生活もはまる。
でもそのせいで怠惰な性格を植え付けられたのは事実で肯定しかねない。
とりあえず、眠っていると幸せで、どこまでもパタパタと昇華していきそうな気分になる!のだ。その分、病み上がりの布団との別れは辛いです。
時々、発症してから何日目か数えてみる。
別に学校に行きたくはないけれど。
そして、かなり経ってしまった日数にひとしれずうなだれる。
ああー、もう布団生活ができる正当な理由がないな。
インフルエンザという切り札は、発症6日目のこの際無効だろうなー。
と本来は快癒をよろこぶべきなのに、唇を噛んでみる。
今日の昼に、処方された薬の最後の1錠を飲んだ。
冷たい水を飲み下して、もう正気になった頭で、治った、かなしいな、と思った。
高熱にあえいでいたあの時から見たら、正気の沙汰じゃない考えだ。
ここまでインフルエンザをやや美化して書いてきたので嫌なところもひとつ。
前述したが、水が苦い…。
昨日まで平気な顔で飲んでいた水なのに、苦くて苦くてたまらない。
水分補給が苦行になる。
苦虫を噛みつぶしたような顔で一口飲んで、あまりの味に食欲減退。
この症状は1日弱続いて、ピタリと止んだ。
そして、今痛感しているのが、何日間も寝込んでいたせいで、咄嗟のときに言葉が出てこなくなったということだ。
こういうときのこと何て言うんだっけ…
快哉を叫ぶ?歓喜雀躍?
この前覚えた言葉なんだっけ…
垂涎のまとじゃないし…
とりあえず、辞書を読まないといけない。
辞書を読んで、言葉とその意味を熟知したうえで、何も知らない子どものような詩を書きたい。
もうすぐ布団に入れます!
たのしみ。
お読みいただきありがとうございます。