ペンギン と マシンガン と 女の子
哀れな姿で見つかったのは、一羽のペンギンだった。マシンガンは話の途中だったので、続けた。
「、、、わかったか兎瓦けい以上が、ETIATIAGXNOLOGYと呼ばれるお前たちの言葉で、言う学問だ。」
「なあ、ネギ。ネギ食べたいわたし、、。」
「たわけがっん?」
見れば、マシンガンの小柄な、身体に備え付けられた、これまた小型の背びれをつつくものがいた。
一羽のペンギンだった。
「なんだ、貴様は。」
だが、マシンガンはそれほど、苛立っている風でもなかった。どうやら、ペンギンを捕食しているわけでは、ないらしい。けいはほっとした。
「ペンギンだっ。すげえそんなに寒くもねえのになっ。」
「あ!赤道線にも住んでるんだ、確か!知ってっか?マシンガン~」
「やけに機嫌がいいな、けい。弁慶でも打ったか。」
「絶対にそれその対応はおかしい。」
ペンギン と マシンガン と 女の子
どん。
おかしな格好をした人魚は、高い岩の上から、マシンガンと女の子(名前はけい)を観察していた。単純に疑っていたのである。マウヅ、と言ったが、本当にその彼だという証拠はないし、女の子の方もどうやら、人違いのようであった。疑っていた。ひなた、と書かれた大層な酒の瓶を、ぐいっと喉に、アルコールらしきものを、飲み干し、一言発した。
「相変わらずまじー。」
辺り一帯の説明を加えておこう。ここは、マシンガンによると、G&Aと呼ばれる場所である。まばらに散らばるミニサイズ森林が、点々と存在し明らかに日本ではないだろうな、という印象を抱かせる。風は強くなく、波も静かだ。けいは、ほんとうになぜ、この初めて来たはずの場所がこうも、自分にしっくりくるのか、不思議でならない。ちょん、と寄せてくる、何十億回目かにやってきた同じ波に、けいは「新しい」少なくともここにとっては部外者である自分の、肌を、控えめに足の指先から、投じた。
「つめった!」
「馬鹿めっやめろ!!!!!!!!!!!!!!!」
マシンガンは叫んだ。
「え?」
一瞬のことだった。おろらく一つ間違えば、女の子はここで命を落とすところだった。マシンガンは、特に何をしたわけでもなかった。だが、とりあえず兎瓦けいの目の前には、実に、一瞬にして数えると、きりのない数の、ワカメとそれを取り押さえる、三匹のサメが出現したのである。その全ては、次の瞬間には、波が去るように消えていた。
ぽた。
自分の髪が、その先が、切られ、わずか10cm砂に落ちた。
「、、、。」
「言ってなかったが、けい(ごほん)」
申し訳なさそうに、マシンガンが顔面蒼白のけいに話しかけた。
「海には入るでないぞ?」
この場所は、日本ではなかった。
「弁天、と言うんだ。」
マシンガンが話すが、けいはさっきから一言も答えない。
「、、、。」
「さっきのあの、なんだ、お前たちの言葉で海草、、、か?」
あのマシンガンが気を使っている。
「、、、。」
マシンガンは、丸太を飛び越えけいに近付いた。 「うん?何か言ったか?今。」
けいは、答えた。
「帰りたい!っつったんだよ!ばか!」
けいは、顔面蒼白のままだった。マシンガンは困った。
「、、、あの、サメの方は?一瞬しか見えなかったけど、、、。」
マシンガンは、答えた。
「わたしの、何と言うのだ、!おお、あれだ部下だ要するにそんなところだな!はははさっき、もし助けが必要な時は、 S-2eaSuntwiceと言えと言ったろう?あの三匹が出てくる!お前の心強い味方だ、けい。」
けいは、笑った。だが、力のない笑いだった。
「次は、わたしが食われそうだっぺよ。」
周りの者すべてが、糞に見える。少年は、そう呟いた。そんなつもりは毛頭なかった。
一時間前に話を戻そう。
彼は、野球部だった。だが、もうやめた。おもしろくないからだった。おもしろくないのには、理由が、あった。おもしろくない理由だった。
「だってお前上手くねえもん。いらねえ。もう来なくていいよ。」
チームメイトにそう言われたのだ。少年は滅入った。確かに、少年は野球は初めてだった。だが、意欲はあったつもりだったのだ。買ってもらえなかった。
少年は今、一人で川辺にいた。
「なんなんだよ、くそ。これから上手くなんだよ。」
川には、流れてくるものがあった。
巨大な桃だった。なんてことだろう。クラシックにも程があった。少年は、かえって驚いた。
「変化球なしかよ!普通に桃!」
野球部だっただけに。
桃は、少年の前であしに引っ掛かり、止まった。が、流れによって再び下流へと、連れ去られ始めてしまう。少年は声を出す。
「待て、桃太郎!」
それはまだ、言ってはいけなかった。
さすがに桃太郎では、なかった。拾って開けてみると、中には(そう、開けられてしまったのだが)桃太郎ではなく、別の生き物が入っていたのだ。
少年は今年で、高校二年生になる。いつの間にやら、歳を重ね、いつのまにやら、目立った苦労も恋愛などもせず生きてきた、と思っている。その彼に、桃が流れてきたのだ。少年は思った。冴えなかったおれの人生が一変する?実際、変化はもたらした。今、少年は川辺から引き上げ、ただ何を考えるわけでもなく、帰路についていた。何も覚えてなかった。なんと、桃のことをこの時点で忘れていた。中身のことも、よって、覚えているはずはない。
「はいはーい、安いよ安いよ!」
商店街は、月曜からバーゲンである。とにかく絵に描いたようなにぎやかさだ。仏頂面で、その中を歩く少年がいた。ただいま、朝の7時半である。少年は登校中だった。なんてことはない。いつもの日常だ。
「召しませ召しませ。」
声がした。少年は振り返った。誰もいない、ということはない。人行き交う街の中で、この中の誰かの声が、やけに響いたのだろうか。
「召しませ召しませ。はいはいはい咲かしましょう桂の花!」
おかしい。
辺りを見回す少年は発信源をさがした。携帯屋の売り子さん?ヘルメットをかぶったあの、おっさん?あの奥のパン屋の店員さん?いや、どれでもない。
少年は、耳の病気というわけでもなかった。明らかに普通の聞こえ方ではない。形容しようのない妙な方向感覚。あえて言うなら、頭上_______。
少年は思い出し、しかしその前に声を上げた。
「わあっ!」
昨日、川辺で発見した中身を今更思いだした。目の前に居たからだった。
「ぎゃああああああ!」
叫んだ少年は、走ってそこを辺りの視線を受けながら、抜け出した。少年は、また忘れた。何も覚えてない。
「あれ?」
今、自分は商店街で何を見、ここまでかけてきたのだろう全く思いだせない。認知症、その言葉がよぎる前に、再び声がした。
「召しませ召しませ。」
「誰だ!」
少年は、指を指した。目の前に現れたのは、不思議な生き物だった。ネッシーのイメージに近い。今、思い出した。こいつだ、おれが桃の中で見たのは、、、。だが、思い出せない。そのあとおれはどんな行動を取った。次の瞬間、少年は学校に着いていた。
「、、、いくらなんでもおかしい。」
どん、と後ろから来る他の生徒たちに、舌打ち付きで、ぶつかられながら、少年は思考を止めなかった。
「なんだあの動物、、、。」
明らかに、自分の記憶が操作されている。気味が悪いにも程があった。若干の、吐き気がした。うつろな目で、校庭に咲く桜を見た。板には、『さとざくら』と書いてあった。ああ、この木のことは覚えている、と思った。
それにしても、少年はまた思考を開始した。今は、下駄箱付近である。ぶつぶつ、と独りごちた。おそらく、おかしい、おかしい、と早口で言ったに違いない。声をかけるクラスメイトの声も、全く耳に入っていない様子だった。
「坂口くんってねえ!」
「は!」
少年は驚かされた。相手は、驚かすつもりはなかった。
「無視してんなよ、もう!」
「わるい」
吐き気は治まらない。
声がした。今度は今までで一番近かった。
「召しませ」
ざん。
少年の、頭部が断たれた。少年は絶命した。気がした。
「わああああああああああっ!」
保健室だった。
「なんっなんだよ、これもう!」
飛び起きた生徒に、保健室の先生は声をかけた。
「大丈夫?」
悪くもない先生を睨みつけた。
「あの!おれべつにどこも悪くないんで行っていいですか?すいませんでした失礼しますっ。」
少年は身体を起こした。すると、
「いや、大丈夫って聞いたのは、あなたの体のことじゃなくて」
「??」
自分の腰付近に何かを発見した。
「ええええ?」
それは魚のようであった。魚のような生き物が、自分の腰に付着していた。わけがわからない。
「??ええっちょっとこれ先生!取ってください!なんなんですかこれ!」
暴れ出す少年。すると、目の前にいたはずの先生の姿は消えていた。代わりに、先ほど見たネッシーが登場していたのだ。
「こんにちは!」
ネッシーは、あいさつをした。
少年は、保健室のベッドで、魚のような生き物に、腰にて付着されながら、なおかつ、目の前のイスに腰掛けたネッシーにあいさつをされた。言葉を失った。しかし、彼の手は力を失いながらもまだ、魚のような生き物を引きはがそうとしていた。
ネッシーはしゃべった。
「しほ、と言います。よろしくね?」
窓の外で、物が落ちる音がした。
どっっ
見るでもなく、少年はイってしまった目をしながら、窓の外を、見た。
カメだった。大きなカメだった。
「いやね?本当はこっちも、百通りくらい、私たちの登場の仕方っていうかパターンはあったんだけどね?結局、無難なところに落ち着いちゃった。恥ずかしかったから、こっちで、あなたには直後にそのことは、忘れてもらっちゃったけどっ。」
少年の耳には入っていなかった。カメは本当に大きかった。今はどのクラスも、室内で授業中。校庭には誰もいなかった。
「あなた坂口浄介君が、求喰川構築のための、最後の一ピースよ!」
少年は、やはり、聞いていなかった。
ゴミ捨て場が、アフリカ産肥料がばらまかれていた、場所である。キリン発生5分前。
声がする。
「絶対おかしいと思うんだけど!ねえ、ちょっとレノン!」
どういうわけか、二人のおそらく、この学校の生徒ではない私服の若者二人が、言い争っていた。周りに人はいないようである。もう一人が、反発する。
「こんくらいインパクトあった方が、いいんだよバカ!」
そしてこの二人が、のちに、起こる大混乱の元凶である。
ペンギンは、ケガをしていた。けいは、マシンガンにほんの一瞬だけ、目で確認し、こう呟いた。
「恩返しの時間だべ、マシンガン。」
「その通りだ。 兎瓦けい。」
辺りを見回すと、ここは見渡しのいい緑まばらな高山植物の茂りに茂った、おかしな角の山羊でもいそうな、丘の上という形容が正しいだろうが、ずばりそうではない。マシンガンと兎瓦けいは、自分たちについてくる、健気なペンギンの存在に、今、たった今気付いたのである。
「ごめん、気付かなかったよ!こんな高いところまで、歩かせて悪かったな、アルマジロウ。」
「今、何と言った? 名付けたのか、今? 瞬時にして!お前、天才か!」
「あはは!おい、アルマジロウっ今すぐ、お前のケガ治してやっかんな~?」
しかし誰も、名前の由来が不鮮明であることは、聞かなかった。そのペンギンは、アルマジロではなかった。
「出でよ、ギター。」
ギターは出てきはしなかった。
「肝心なこと忘れてたべ、これ。」
けいは、マシンガンに顔を向けた。もうさっき死にかけたことは、忘れてるとしか思えないあっけらかんとした顔つきだった。
「ギター、どこいったんだべ。」
坂口浄介は、今、見知らぬ人間に会わされていた。
「逢」
坂口は、言葉が発せられた方へと、顔を向けた。 「神」
別の声へと、耳を傾けた。
「坂口くん。頼みがあるのよ。」
花瓶が、その奥で微笑む5人の人物と、浄介との間にあった。背後には、ネッシーと魚とカメである。
話を戻そう。
「わああ!」
上がり込んできたカメを、両腕で制止する浄介。ここは保健室である。
「わあ!うわあ!」
パニック状態に陥ってしまった少年は、無理やり窓から上がり込もうと、身体を上下左右に、ただぐいぐいとのた打たせるカメに、決死の抵抗をする。腰には、魚のようなものがくっついて、いる。ネッシーが、デスクのお茶をヒレですすっていた。頭部にある呼吸孔から、ふう、と煙を出した。異常事態発生とは、このことであった。さらに、近づく声があった。どんどん、と保健室のドアが、廊下から、中に入れるようノックが響いていた。
「た!助けて下さい誰かあ!か、、、!カメが校舎の中に入ろうと」
浄介は叫んだ。たまらない気持ちだった。
ばっこ!
ドアは、蹴破られた。蹴破られたのではなかった。ばちばち、と電気が辺りの、いろいろを拒むように、ほとばしっていた。
「あのさ、別に壊さなくても良かったと思うんだけども。」
「ああ!?時間がねえんだよ!早くしねえと、ゴミ捨て場の、キリンが見つかっちまうだろうが!」
「まあ、そうね。とりあえずは、あの、ギターを奪うのが先決だものね。」
入ってきたのは、生徒ではなかった。
「、、、は?」
坂口浄介は、ずるずると窓縁にもたれかかる恰好になった。
「いやもう間に合わねえよ、あれをこっち側にすんのは、、、ん?いや、待てよ。」
説明して欲しい気分だった。坂口は、今自分は何星にいるのだろう。
「地球だよ」
坂口は、肩を震わせた。偶然だろうか、心を読まれた気がした。
「、、、。ああ、読んだぜ?」
現れたのは、二人の少年少女。歳は、おそらく自分と同じくらいであろう。マシンガンのように、二人でトークを繰り広げている。坂口は、彼らの恰好に目を、見張った。_男の方は、こともあろうか着ぐるみだった。ガチャピンのような腹に、背中にはつけ羽、おそらくは鳥類のものに近い形だ。もう一人の女の子の方は、男に比べれば控えめな、衣服だがやはり、異質さは、間違いがなかった。非常に、長めのローブのようなものに身を包み、頭上、頭のてっぺんからは、二本の太いピアノ線のようなものが、伸び床まで、30センチ手前のところで糸の先は、安っぽいアクセサリーのように、まが玉が両方に付着していた。
何の冗談だろう、と思うような恰好である。
坂口浄介は、カメを瞬間忘れた。あれから、一人また一人と、意味の解らない人物に連続で会わされ、坂口浄介は、わけがわからなかった。自分が求めていた非日常は、こういうものではない。
ここは、ミュージシャン達が、バンド等で練習用に使うレンタルスタジオである。アンプなどが置かれている他、ステージから距離を取って休憩用のテーブルが置かれており、その上には花瓶が。坂口浄介と他、見知らぬ5人は、これを囲む形で着席しているのだった。付け加えると、言葉を話すネッシーと、魚に似た爬虫類、最後に巨大ガメが、室内には共に時間を過ごしていた。
「いろいろと混乱しているかもしれないけど、私達を助けて欲しいの、坂口浄介くん。」
「、、、はあ。」
しかしだ。
この、自分と同じ制服を着た女の子には、見覚えがあった。確か、親友の彼女である。なんでこの変なメンバーの中にいる、そして溶け込んでいるのか全く掴めなかったが、確か名は、うさぎ、、、。何といったろう。その制服の女の子は、自身を名乗った。
「わたしの名前は、兎瓦けい」
レノン。かや。ツチノト。はんだあさり。桂。 坂口浄介。 は、一緒に居た。 とりあえず、坂口浄介が、親友の彼女だ、とピンときている、その目の前の女の子は、ただただ自分には、理解不能の内容を喋り続けている。もうたくさんな気分だった。あいつ、彼の親友、奈良さとしは、こんないかがわしい彼女といて何が楽しいんだろう、と、けいらしき、女性と目を合わせながら思って、演技で真面目な顔を続けた。
「何か質問は?」
質問だらけだった。だが、要求は一つだった。ウチへ帰して欲しい。
「えっと、、、。あのさ、確かその、奈良の彼女だよね? あなた。」
「うん。質問は?」
ぎくりとしてしまった。余りにも、流された。坂口浄介の質問は、余りにも流されてしまった。どうしよう、と浄介は思った。それにしても、後ろのネッシーしゃべったなあ、と思っていた。
「おーい!ギター!どこいったー?」
ペンギンを連れて、2頭は歩く。幾分、寒さが増してきた森の中を。
「っていうかでも、見つかるわけねえべや。一緒に来てるんかい?あの木材。」
マシンガンは、ここに来る前、兎瓦邸にて、あのけいの体を乗っ取った、不気味な月、自身がそう呼んだあの女が、ギターを叩き割ったことを、今思い出した。
「あ!」
間の抜けた声を出した。けいは、振り返った。
「どうした?」
「、、、いや、すまん、間の抜けた声を上げてしまった。」
「いや、いつもとそんな変わんねえよ。いて。」
手裏剣のように、枝が飛んできた。
「すまんが、けい。ギターはもう」
ずどん。
2頭は唖然とした。いきなり、目の前の木が、大木である、真っ二つに裂けた。と思ったら、元に戻った。何事もなかったかのように、大木は何かのショーの最中でもあるかのように、元に戻ってしまった。直立するその木に、2頭は顔を見合せた。ペンギンは、早く行こう、と興味なさげに、けいのけつにぶつかった。
「な?」
「ちょっと待てよ、そこの2人。」
顔を上げると、その大木の上先っぽに、何か、居る。
「なにかいる。」
けいは、呟いた。
「さっきは冷たくあしらって悪かった。思い出したよ、マウヅ。」
さきほどの、おかしな人魚だった。さびしかったのだろうか。
「さびしかったんけ、あいつ。」
もう、けいは怯えてはなかった。
マシンガンはこう、反応した。
「光栄だ。月。」
「その、呼び方やめてくんねえか?」
さっきも思ったが、このおかしな人魚はなぜ男口調でしゃべるのだろう。見た目は、普通に女子
であった。
「なら、なんて呼ぶのだ。求喰柚宇。」
「がはは。そう、そう呼べよ。」
けいは、ペンギンと手をつないだ。意味はなかった。もうわけのわからない展開になったら、無理矢理エンジョイしようと心に決めてあり、それを実行したに過ぎなかった。しかし、ペンギンはヒレの不自由を嘆いた。そのペンギンは、腹に切り傷が、深くはなさそうだが、なかなかの長さの裂傷を見せており、なかなかに可哀相な風体だった。
「ははは。恩返しか?マウヅ。お前らのやりそうなこったな。」
「月、頼みがあるのだがこの付近で、何と言ったかあの」
「月と呼ぶなと言ってんだろうが、シャチ!」
人魚は手を振り上げると、時間を止めた。本当に、説明のつかない感覚だった。
けいは、ただ静止を感じた。と思ったら、空に、漠然とだが、噛み殺される、と思った。
「きゃああああああああああああ」
叫んだ。マシンガンは、目を光らせた。
「だまれ、けい。ピンチのときは、あれを言え。」
焦点の合わない目のまま、けいは唱えた。
「え、、す、2、、サン!サンっTWICE!!!」
「上出来だ。」
覆いかぶさる空の色に向かって、マシンガンは尾びれを振り上げた。小さく、頼りなさすぎるヒレである。が、何かが起こった。
「うお!」
求喰柚宇は目を丸くさせた。地面から、ロケットのように噴射した三つの何かに、驚嘆の声を上げたのだ。サメだった。三匹の巨大な(おそらくは違う種類)サメが、木の上に飛び上がり、柚宇を襲ったのだ。
「はっはっは!」
感心という表現が合う、柚宇の奇声のような笑い声。瞬間、マシンガンも笑った。けいは、「は?」と言った。瞬き一つで、サメ達は消え、マシンガンも、先ほど殺される、と錯覚するほどの恐怖を自分に与えた柚宇も互いで目を、合わせながら、笑い転げ始めた。ゆっくり、表情を戻すけい。手は、ペンギンの手をにぎり始めた。
高い空は、高くそびえるビルディング、我々の造った人工建築物を優しく、包み込むかのように 見えた。こういった感覚は、大抵は、そう捕えた者の、現在の精神状態、それ以上を反映したものではない。そう見えるだけである。だが、もし、実際に空に意思があったとしたら、どうだろう。もっと、言おう。惑星に心があったとしたら?地中何万キロも奥深く、そびえたつ意思なんてものが存在する、と言ったら、「科学」はおれを大声で笑うだろうか。
もっと、言おう。神、がもし、「居たら」?話を、ストーリーに戻す。
「たぶんこの感じだと、もう一回説明した方が良さそうね、、、。」
「いや!けいちゃん!おれ、いいよ!成績も中の下くらいだし全然!けいちゃんのせいじゃないよ!っていうかおれ、もうかえ」
「特に解らなかったとこはどこ?」
スタジオの中は暑い。こともあろうか、目の前の「兎瓦けい」は、凄まじい恰好だった。いや、服装は坂口浄介と同じ制服なのだが、着こなし、いや、着崩し、違うそういうレベルではないとんでもなかった。普通にパンツが見えている。人間や常識や道徳や客観性が全く欠けてしまっている人間なのである。恥じらいが1ミクロもないので、微塵のエロスも感じない、いや、それはないが坂口は動揺した。
「(奈良の彼女こんなんだっけ?確か、もっと栃木弁きついし、こんな大胆な感じじゃなかった気が)」
兎瓦けいは、袖をまくり上げ、スカートを折り上げ、腰部分のゴムに入れている。左手はさっきから、鎖骨付近から、胸元へつっこんでセーラー服の生地を、ぱたぱたと繰り返すままである。
「、、、。」
坂口浄介が、話に集中できないのは、一重に会話内容の居心地の悪さだけでは、なかったようである。
けいは構わず続けた。
「この惑星は、3つのもので、できている。どこかの部分で、あなたたちの科学を否定してしまうかもしれないけど、そこは笑って流してくれても構わないわ。ふふ」
「求喰柚宇。会わせてほしい奴がいる。」
「誰だ? どのビオラ?」
うち溶け始めるマシンガンと人魚は、けいとペンギンをおいて地元トークのような雰囲気をかもしている。
「アルマジロウ、、、。どっか駆け落ちしに行くか。二人で。」
ペンギンはぱたぱたと、羽を動かすままである。
けいは、太宰治の小説を思い出していた。いや、中身を読んだことはなかったが、彼の感じた苦しみとは、こういうものだったかな、といっちょ前の思考を、浮かばせた。
マシンガンは、少し恥ずかしそうに声を発した。 「ゆしという名の、、、。」
柚宇は、表情を変えずに言った。
「マジ?」
スティーブはへらへらしていた。カレーであった。鍋。崖。男と女。空。昼。カメ。キッチン。コンロ。皿。カレーであった。スティーブはへらへらしたまま、仁美の後ろ姿を堪能していた。声を出さずに、エプロンええなあ、と言った。
「ちょっと、早く玉ねぎ切ってよ。」
スティーブはへらへらしていた。
「あ!その前に一つだけいい?」
坂口浄介は、初めて割り込んだ。
「後ろのネッシーしゃべったよね?これテレビ出したらいいんじゃない?」
けいは、吹いた。
「ぎゃっはははははははははははははあははっはははははははははは。」
何か可笑しいことを言ったろうか、自分は、と思った。坂口は腹を立てず、え?と息をこぼした。
「そうね。ツチノト~!明日、この3頭連れてお台場行ってきてよ、きっと有名になれる。ぐふふ!」
何がそんなにツボに入ったのか、坂口の疑いはその色を確かなものにした。
こいつ、奈良の彼女じゃねえ。
「浄介君。えっとね。ちょっと見てて。」
けいは、いや、マシンガンが月と呼んだこの女は、どこから出したのだろうダーツを3本、ばば、と片目を閉じ構えた恰好のあと、打ち放った。
「は?」
浄介の顔をかすり、後ろの3頭それぞれに突き刺されたダーツ。ばち、と音がした。ネッシーの表皮に刺さったダーツは、一瞬で黒焦げに、間もなく灰となった。
「?」
他の2頭も同様である。ぱら、と思うままの時間を過ごす、ネッシーとカメと魚爬虫類は自分たちの、行動をやめることはなかった。気にもとめてない様子のその動物たちを見ていた目をぐるりと、けいに戻し、坂口浄介は言った。
「???」
いや、何も言わなかった。瞳で状況説明を促そうとした。
「生き物じゃないよ? こいつらも。」
手を広げた。気付かなかったが、2本の触手のようなもの、いや花についているめしべやおしべに近いもの、そんな不可解な器官が、月の頭から伸びていた。髪の中で隠れて見えなかったのだろうか。違った。今、出したのだ。
「わたしたちモ、、、。」
坂口浄介は、鳥肌を立てた。
明日という曲を、頭の中で作っていたマシンガンだったが、実際早く、誰かに聴いてもらいたいと思っていた。なので、マシンガンは音楽の話をすることにした。
「けい。なあ、けいよ。」
「気持ちわ~り~なっなんだよ!わたしと、じゃなくてあの変な人魚みたいのと、一緒に喋ってろよ、ふんっ!」
「妬いておるのか?お前もメスだな兎瓦けい_。」
「無視!」
「さっきから、実は頭の中で考えていた、曲があるのだが、なあ、今すぐお前に捧げたい。」
けいは立ち止った。
なかなかに、ずぎゅんと来る台詞では、あった。シャチに言われたことは、一瞬忘れた。
「おうっ。なら、やってみ!え、歌うってこと?」
「音なのよ、全部_。」
しん、と静まり返ったスタジオの一室。不気味だった。これだけの人数で、この静けさというのは。坂口浄介は、今日初めて耳を奪われた。根っこは見えないが、説得力のあるフレーズだったのだ。
「全部、、、音?」
「おっそーっい!スティーブさん、もういいよ、あなた全然自炊したことないでしょ!いいや、もう、こっちで鍋見てて!カレーにこんだけ時間かかるって、ほんといいヒマ潰しだわったく。」
「なら、よかったじゃねえか。どうせ、他にやることもねえんだ。」
スティーブはどかない。
「ちょっと!わたしがやるって、どいてよ。もう!もう持ち方違うし!」
「まあまあまあ、まあ」
男はできない、ことは認めたくないものである。
「ところで、けいよ。なぜギターが恩返しに使われたか、疑問には思わなかったのか?」
「あ? こっちは、もう疑問だらけで何から聞いていいか、わからねー状態だったんだよ。わかっぺや、そんくらい!で? なんでギター?」
「それはな。 全部、音だからなのだ、兎瓦けい_。」
「あんたら速攻デビューできんだろ!なんなんだよそれ!」
坂口浄介は、芸能人を前にしているかのように興奮していた。
演奏を始めたのだ。話し合われていたのは、スタジオであり、当たり前のようにミュージシャンの練習するスペースである。こう使うのが、最も、正しい。では、坂口浄介が現在、突然付き合わされているこの密会にいるメンバーを紹介しよう。
ドラムス。
「もう!カレー簡単なのに鍋ほら!これ底焦がさないでよ、もう!」
しかしスティーブは、へらへらが止まらない。何をやってもダメと言われるが、まったく腹が立たない。今までの沈黙地獄より、百倍マシである。だが、スティーブは一言、厳しい言葉を放った。
「調子乗んなよ?仁美!」
だがやはり、真剣さに欠けていた。口角が上がり過ぎていた。崖の上のキッチンで、コンロと格闘する八千草仁美は、そんなに楽しんでいる様子ではないが、本当のところは解らない。
演奏を終えた。マシンガンは、どうだ、とばかりにポーズを決めて、と言ってもいつもと体勢は、変わらないうつ伏せなのだが、そういう態度が見て取れた。対するけいは、どうだろう_。けいは、かがみ込んでいた。 顔を膝の隙間に、しまい込むかのようになかなかに身体の柔らかさが窺い知れる、恰好だったが、それは今は、どうでもよかった。相変わらず、人魚は距離を取って、少し離れた別の大木の太めの、枝に乗る恰好でこっちを眺めている。ペンギンは、もうどこかへ行ってしまった。恩返しの下りは、一体どうなってしまったのだろう。 けいは、泣いていた。
「実は、話があるのだ、兎瓦けい_。わたし達の正体、そして一部始終、、、。お前が一体、何に巻き込まれているのか、ということを。」
マシンガンは、兎瓦けいがただ今号泣していることは、ちっとも意外じゃなさそうであった。
「(今頃かい、、、。ふ。)」
けいは、笑いながら、つぶやいた。
ドラムス。 レノン。恰好はふざけている。例のガチャピン少年である。フクロウをモチーフに したような、いやむしろ、そのもののような物体を頭の上に、乗っけた着ぐるみ装備の、微妙なセンスである。が、しかし打ちだすリズムは骨があった。例えるなら、アメリカ大陸___だが、土ではない、流れる川である___。しかし大胆。しなやか。喰らわせるのは、微動だにしない視界のようなリズム。腕。天才だった。
ベース。ツチノト。さっきまでレノンとかやをつけていた、ゲイ風の男である。無愛想な表情と低い鼻。厳しく閉じた口。おまけに坊主。間違っても、イケメンではないが、恰好は一番まともな様だ。いや、そんなことはない。ズボン腰部分がおかしい。なんと、カエルだ。カエルのふざけた顔が本来ベルトが巻かれているはずの、場所にお腹を覆い隠すように、陣取っている。演奏に話を戻そう。影自体は、薄い。だが、よく聴くと気付くことが、ある。
「けいよ。泣くでない。おれの話を聞くのだ。」
「うるっせえよ!お前こそ、<おれ>なのか<わたし>なのか、はっきりしろ、ばか。」
「日本語をよく知らんのだ。 悪く思うな。」
「ペラペラのくせに。魚寸前。」
「今、何と言った?」
「お前らなんか、魚寸前だと言ったんだ!(ぐす。)」
「褒め言葉だ。まあいい、話を聞け。」
「そうかよ。」
「我々は、惑星守護色期巫天と言われる存在だ。動物ではない。」
「うまいっ!。」
スティーブは、躍り上がりたい気分だった。そのまま上昇し、星にタッチし、大気圏で、ラップのリリックを考えたいぐらいの高揚を感じた。
「ぐらいうれしいよ!仁美!」
いつの間に、呼び付けになったのだろう、と思いながら、スティーブに無言でうなづく、仁美。
「ほんとうめえよ。」
ただのカレーだった。誰が作っても、大差が出るようなメニューではないが、ずっとカップ麺だったことを、考えると体験する温度、手作りという最高級のスパイスが、かもす本当の意味でのおいしさ、それはスティーブを唸らせたのだ。
「そりゃどうも。」
ありがちな話では、あるが、ベースの彼は、「実は」うまかった。形容しようのない感覚である。さあ、言葉を選ぼう。まず、目の前にねずみがいる。そのねずみは、ひどく腹が空いている。チーズを狙っている。今、自分には、自分の腕にはチーズがあり、与えたい気持ちはある。
待って欲しい。やはり、何かが違う。
とにかく、ツチノトは達人だった。正確、とか才能があるとか陳腐だが、格好いい、と言うよりかは、ベースにちゃんと歩み寄れている、ような弾き方だった。ベースを彼、とするなら、彼に背伸びをさせない、そんなベースだった。これが表現の限界である。勘弁してほしい。
ギターそしてボーカル。かや。
「ねえ、マシンガン。なんかいるよ?」
「お前はいつになったら、わたしの話をは!!!」
人魚が遠くから、手をコイコイしている。次に、右腕を自身の口に、添えた。
「来たぞ、ゆし!」
メスのシャチが、浜近くまできていた。マシンガンの呼吸が荒くなった。
「うん?ちょいマシンガン!だいじょうぶけ!?だいじだって(栃木の方言で「だいじょうぶだって」)!喰われそうになったら、わたしが助けてやっから。」
マシンガンは顔を真っ赤にさせて、ぷるぷると震えだした。
「たわけが。」
驚くべきことが起きた。
スティーブは言った。
「ん?」
レノンは、驚いた。
「あぁ!?」
けいは、言った。
「?」
いや、何も言わなかった。
坂口浄介は、言った。
「どこ!?」
仁美は目を丸くした。
「ななな!?」
求喰柚宇は、「あ。」と言った。全員が同じ場所に居た。浜に近付くメスのシャチ。ふわり、、、。突然、上空に、カメが現れた。
「失礼致しました。皆様を元の、時間に、お返し致します。」
告げると、カメは消え、今現れたはずの何人もの人間が、兎瓦けいとマシンガンの前から、その周りから、姿を消した。2人だけになった。人魚を除くと。
今居た白衣の女の人は誰だ?ガチャピンみたいなのは?変なゲイ風は?見覚えのあるけいと同じ制服の男子は?おまけに、自分そっくりの凄まじい恰好の、女は?長髪を後ろに束ねたイケメンは?口にはカレーがついていた。一体なんだったのだ、と思っていると、目の前で、水が割れた。飛沫が立った。シャチだった。
シャチとは_
「今、一瞬あたりの景色が、変わったような、、、。」
坂口浄介は、冷や汗に、その中で、表情の行き場を失くした。演奏が再度、始められた。メンバーに動揺は、見られない。気を取り直して、、、。
ギターそして、ボーカル。かや。
仁美とスティーブはカレーを食っていた。がつがつとただ食事を、押し進めた。なぜ、そんな気分になっているかはわからなかった。わからなかったが、目の前の皿を、とりあえずメタクソに、きれいにたいらげてしまいたかった。
わからなかった。一言もしゃべらなかった。今、何が起きたのだ、とどちらもふっかけなかった。食べた。もうどうにでもなれ、と思った。人類の精神力とは、強かった。
かやはミュージシャンだった。ミュージシャンとは、音を出した時にちゃんと、発した自分と客との距離が解っている人間である。主張、押し付け過ぎてはいけない。かといって、引いてはもっといけない。かといって、バランスを取ろうとする、というような受け身なニュアンスでもない。圧倒的な自信で音を放ち、50%は酔い、50%は身体で批判する。顔に出してはならない。パフォーマーであることを楽しまなくてはならない。だが、ストーリーには責任を持たなくてはならない。見ていて、浄介にとって一番居心地が良かったのは、かやである。見られ、聴かれていることを意識しながら、何も気負っていない上、部屋で独りで楽しんでいるような、身勝手さも楽しませるレベルで機能している。プロだった。特徴の話でいうと、ギターは並、声は目立ったものでなかったが、そうではない何かが、アンサンブル全体に安定を持たせていた。良いわき役である。同じくギター、ボーカル、月と呼ばれた女、彼女の名は、桂といった。 兎瓦けいと同じ名であった。こっちは、かやと真逆だった。
出現したかと思ったメスのシャチは、顔を出して空気に触れたあと、すぐに水の中に戻ってしまい、10分間現れなかった。マシンガンは話を始めた。
「兎瓦けい。おれの解っている範囲で説明しよう。まず、あの時は迷惑をかけたな。あの、校舎に現れたキリンとお前らが呼ぶ動物_。告げようあれも、我らと同じく、所謂生物ではない。」
けいは、真面目に聞き始めたが、目は腫れたままであった。
「うるせえし。」
失礼した。
「地球様。」
坂口浄介は自分の口を、瞬時に抑えた。今、無意識で意味不明の単語を口にしてしまった。誰のことだ、地球様とは。
桂。演奏の、鬼そのものだった。髪を振り上げ、マイクを責めるように、2,3秒おきに握り直し、どこに焦点を合わせているか、わからない目で音を、張り上げている。上手い、ではない。だが、賞賛に間違いはない。見惚れる。これ以上、パフォーマーが持つべき機能は存在しないだろう。
坂口は、初めて自分の親友が羨ましくなった。ギターに関しては、始まってから、全く弾いてないので、腕のほどはまったくわからない。
最後、ずっとぬいぐるみかと思っていたが、イルカも演奏に参加している。
「あ、違うあれシャチだ。」
イルカの近縁であることに変わりは、ない。マシンガンの姿をした、しかし異なる人格が宿っているそれは、名をハンダあさり、と言うらしかった。桂がそう呼んでいた。なんと、見事なふりふりダンスを披露している。切れがいい。踊りも立派な演奏である。そういうことにしておこう。
そして、坂口は、なぜ「地球様」などと、自分が口にしたのか、不気味さが脳内で駆け巡っている様子だった。
「どういうことか、な。兎瓦けいよ_。世の中、不思議なことばかりだ。そう、思わないか?わたしの意識は、お前たちと、現代を、共に生活している、お前らが鯨類と呼ぶ動物の、仲間だ。だが、なのに別種である、お前らと言葉を交わしている。おかしいと思わないか?」
「だから、もう慣れたって。」
「疑問に思え。扉は開かれんぞ?」
マシンガンは、水の中に入り始めた。瞬時に群がる、歯の生えたワカメの群れ、
「マシンガン、危ない!」
サメが三匹、現れた。
「、、っと、そうだった。」
身体を半分、水に沈み始めたマシンガンはいるべき生息地、正しいジャンルに今還ろうとしている。けいは、何か感動を覚えた。だが、話はさせた。
「うん思う、思うから、何?で?」
「ああ。」
自分を囲む、サメ三匹(身体をほぼ全身浅瀬に乗り上げている。)、大きさは、マシンガンの数倍はある、いやおそらく5,6mは、ある見るからに凶暴そうなサメが、不可思議にも今、ミニサイズのシャチを守っているのだ。囲い込むような形で、ワカメをマシンガンに触れさせまいと、まさに壁と化している。マシンガンは気にも留めず、しゃべり始めた。
「さっき全ては音だと言った。そこから話そう。」
ペンギンがよちよちと森林から、現れた。意外なタイミングで、意外な場所から現れた。さっきと同じ個体らしい、腹に傷が、見えている。
坂口浄介は、考えていた_。何を、だろう彼自身解らない。本当になぜ、さっき、「地球様」などと口にしたのだ。なぜ。音が、止んだ。響き渡る、クラッシュシンバルの残響音。桂は、マイクを通さず、坂口浄介に一言、発した。
「カミオカまや様のことよ。」
マシンガンは、海からけいに話しかけている。The Rolling Stonesも、彼の喉奥から、かかっている。波間が、沸き立ち、マシンガンの周りで、3つの水柱が立った。
「自治医大。小山。鹿沼。」
けいは、つぶやいた。今、4頭は、再び集っている。沸いて出た、とはこのことだろう。ところで、夕陽が眩しい。
「水は居心地がいいな、お前ら。」
3頭は、答えない。もぞもぞと、塩水の(感触と呼べるものかはわからないが)質感を楽しんでいるように、見えた。気のせいだろうか、身体が全員大きくなり始めている。けいは、自身の目をぬぐった。視界は特に、洗われはしなかった。やはり、大きくなっている。サメ三匹が消えた。襲いかかるワカメの群れ。自治医大だったシャチは、今体長9m。鋼のような筋肉により、制御、形成された尾、先の水かきで、向かい来るすべてのワカメを薙ぎ払った。ひるがえした水の着地点で、大きな飛沫が舞った。それは、4頭を覆い隠した。
マシンガンの声がする。The Rolling Stonesが止み始める。
「兎瓦けい。」
「はい。」
けいは、真面目な顔で返した。
「我らは<オルカ>_。確か、キリンのときにも、我が口にした内容だな。」
大雨のようだった水しぶき、ぼたぼたと、今すべてが海面に、帰郷し巨大な鯨類、その姿が明らかになった。何mもある動物が、浅瀬でひしめき合っている。なかなかに圧巻だった。けいは、マシンガンの声を聞きながら、またべつのことを考え始めている。なにか、聞きたくない。知りたく、ない。
「この惑星は、ある一つの法則で成り立っている。真実とは、そう何個もあるものではない。Simple is guestとはお前らの言葉だな。」
「それを言うなら、bestだべ?」
マシンガンはなかったことにした。けいは、ちょっと安心した。マシンガンは続けた。けいは、聞くまいとごにょごにょ、一人でしゃべり始めた。
けい「あのとき、私を追いかけたシャチ、あのシャチ、私知ってる、、、」
マシンガン「反発×重力×音=時間。これが、この惑星たった一つの真実だ。」
けい「どこで。どこで私は見たんだべ。いや、会ったんだべ、、、。」
マシンガン「例えば、あのキリンが出現した経緯を考えて、照らし合わせてみよう。この公式にだ。」
けい「あ!水族館だ。水族館で昔会った、あの具合の悪そうなシャチ。絶対あいつだ。」
マシンガン「我々が言う<オレンジ>とは動物のことだ。なぜ、学校にオレンジ<<属、鬼女>>失礼、我々独自の分類だ。キリンが現れたのか。」
けい「昔、あいつの、顔についてた傷、あとでお母さんに聞いたんだけど、私、そこを舐めてあげたんだ。」
けいは、またぽたぽたと、泣き始めた。
マシンガン「確かめたわけではないが、あの学校のどこかに、キリンのお前らが魂と呼ぶもの、これが存在していたのだ。魂とは、知らぬかもしれぬな、酸素、炭素、そしてプロテインのことだ。総じてそれは上で言う反発を担当する、物質だ。小山が口にしたKansmarssとは反発のことだ。キリン、おそらく違う地であの時間、生きていたキリンのKansmarssが、何かの経緯で、お前の学校付近に入り込んだのだ。ついてこいよ?話を続けるぞ。」
けい「、、、ち。 うるせえなあ。」
けいは、全く聞いていなかった。
マシンガン「おそらくはフンか何かだろう。魂は、魂だ。まだ、キリンが出現するには至らない。キリンが姿を現すには、この魂がもう一つの物質と触れ合う必要性がある。それが体だ。」
けい「、、、。ちなっちゃん元気かな。最近、彼氏にフラれそうになったんだーって話しよ。」
マシンガン「体とは、鉄、塩素、マグネシウムのことだ。上の公式の中にある、音の担当だ。キリンの魂が、この三つのいずれかと融合し、動物<キリン>を、遠い地から、日本に全く同じ個体を呼び寄せたのだ。そばにいた仲間はびっくりしただろうな。突然仲間が消えてしまったのだから。もちろん、何もせず、魂が体と融合するはずはない。そこで、ギターだ。お前の知るあの、あれだ。」
けい「、、、うるせえ。ああ、もうやだ。帰りたい。聞きたくない。ふつうがいい。お母さん。」
マシンガン「時間が、すべての合計だ、と公式は述べている。だが、実はこの時間は左辺のあるものと全く同一の、具象なのだ。音だ。式を変換しよう。反発×重力×音=音 または 反発×重力×時間=時間 と、いうことだ。聴く音。これはこの世のすべてを統括する。」
けい「、、、。、、、。っせえ、、、。 っせえ。」
マシンガン「キリンの魂とそばにあった体の基となる物質。この二つは、ある、特殊な音によって結びつけられた。我々はそれを、リズムと呼ぶ。」
けい「せえ。」
「カミオカまや様が地球様よ。」
坂口浄介は深い眠りについた。
マシンガンは言った。
「少し休むか?」
けいは答えた。
「せっかく聞いてたんだから、早く終わらしてよ。」
うそをついた。内容など何一つ記憶にとどめてはいない。マシンガンは言った。
「ETIATIAGXNまたは、ETIAGXN。意味は、音だ。」
は、とけいは顔上げた。なぜだろう。聞こうと思った。
「Kansmarss とEtiagxnを結びつけた、ギターにより発すられた音。これが、Jettoesを生み出した。重力だ。そして、お前らの言う、、、」
「「こころ」」
けいとマシンガンは同じ言葉を口にした。けいは、すでに無意識のような思考レベルであった。
「そういうことだ。人類。」
マシンガンは更に話を続けた。
「スティーブさんはさあ。」
洗い場で、ごしょごしょと食器を洗っているスティーブの背中に、声をかけた。
「普段、何してるヒト、、、なの?あ、ラッパーって言ったっけ。」
「ラッパーだ。」
スティーブは、表情を変えずに言葉を放った。自分の職に誇りを持っているらしかった。
「ラッパーって難しい?」
「そうだなあ、、、。リズムとメッセージの神になれるガキのごっこだな。最高に」
スティーブは振り向いた。
「クールな!God, what I live for all what I am supposed to do! 」
いきなり英語を喋り始めた。
仁美は答えた。
「Is that it?」
「心と重力はイコールであり、兎瓦けい。知っていたか、この目に見える全てのものは<心>なのだ。」
「うん。」
「我は心、その担当なのだ。Jettoesその発生は、リズムを伴う。」
「うん。」
「キリンの魂と体は、ギターから発せられたリズムを飲み込み、心、キリンという姿を丸ごと召喚せしめたのだ。心は姿。」
「こころは、、、すがた。」
「そうだ。ただ疑問なのが、あの時、けい、お前は何も願っていなかったのに、ギターは勝手にキリンの発生を促した。それがおかしいのだ。いや、最初の犬公の件からおかしかった。」
「うん。」
「リズムは、その持ち主が心で願って初めて、効力をスタートさせる。言うまでもなく、ギターの持ち主はお前だ。」
「うん。」
「誰か、居たのだ。まあ、正体は割れて いるのだが。」
「うん?」
「坂口浄介くん。 わたしとちょっと楽しいことしよっか~。」
「突然失礼致します。」
カメだった。仁美とスティーブは、同時に声を上げそうになったがこらえ、表情をすぐに戻し、スティーブは「よう。」と言い、仁美は「こんにち、、は」と言った。
「通告です。わたしのサポート、ねくたが、ええ、先にスティーブさんには会ってますよね?」
「会ってねえよ?え、ああー!あのシャチのこと?お前が使えるって言った。」
「そのシャチでございます。ねくた、と申します。」
「あの者が来ます。よろしくお願いします。」
カメは消えた。忙しいらしかった。
「へ?」
「まあ、いい。説明を続けるとだな、うーん。」
珍しく、疲れているようだった。けいはしかし距離を詰めた。
「それで?」
「ああ。それでだ。魂、心、体は、ちなみに目に見えるのは、大抵心だけだ。Jettoesだ。Kansmarss、Etiagxnは多くの場合、視覚で確認するのは難しい。音であるEtiagxnはしかし、聴覚で認識できる。反発のKansmarssは、感触つまり触覚だ。視覚できるのは心だ。ふぅー。それで、、、。」
「ちょっとー疲れてんじゃない?私が残り説明するよ?」
小山が隣りで、心配そうな声を上げた。
「頼む。」
「うん。えっとでね、けいちゃん。」
「はい。」
「そんな怖い顔しないでよ。」
「はい。」
「ラッパーラッパーそうそう。聴いてみる?おれのラップ。」
「いや、いいです。」
風が吹いた。
「公園でサバの血から、出てきたシャチ、これの説明をするわね?」
「はい。」
「怖い顔しないでって。」
「はい。」
「(笑。。。)えっと。あのシャチ、けいちゃん知ってるわね?」
「はい。」
「まあ、それは私たちの突っ込むところじゃないわ。」
「、、、。」
「あれもキリンと似たような原理よ。あのサバを捕食したシャチの魂が、あの切り身の中に入ってたの。」
「、、、。シャチが一回噛んだものを、スーパーで売られてたってことけ?」
「うん、おかしい?」
「どう考えても。そんなん傷んでるに決まってっぺ。」
「じゃあ、いろいろおかしいわね。まあ、いいわ。続ける。」
「はい。」
「サバの中にある、塩分これを<体>にし、シャチの魂がそれと結びつき、公園にシャチを、同じ個体を呼び起こしたのよ。キリンにしてもそうだけど、体が、実際の動物と違う成分を使っているから、厳密には動物じゃないの。」
「、、、????」
「だいじょうぶ?」
「でも、同じ個体なんだべ?」
「魂はね?ただ、体は公園で、サバの中から生まれたものを使っている。シャチじゃあないでしょう?サバは。だから、実際には存在しないはずの動物。でも魂はあなたの知っている彼。」
「うん。」
「、、、そしてね。ギターのリズムが、魂と体の化合を生み出し、公園の水たまりにシャチの心(姿)を生み出した。心は、その個体の欲望をつかさどる。重力とは、自身にそれを引き寄せる性質と同じように、ね。私が担当してるKansmarss反発は、わたしたちの感情や意志の大部分をコントロールしている。心、とはちょっと残酷なようだけど、欲しがる気持ち、それだけを指すの。意識は魂の中にあるの。」
「べつに。残酷でもなんでもねえよ?」
「そう?人類は心を崇拝している、と聞いたから。」
「わからんくもないけど、みんな本当はそんな余裕はないよ。」
「そっか。うん。でね?暗くなっちゃったけども。えー。私、小山はね。その反発を担当している。この意味が解る?私たちの意識、感情は、他者を拒絶、反発することから成り立っている。」
「その方が、残酷かもしれねえな。」
「ね。でね。聞いてね、けいちゃん。話を戻すと、はっきり言ってね。敵がいるのよ、私たちには。」
「坂口くん、起きて。」
浜辺であった。振り返ると、標識には大洗と書いてある。地名のようだ。坂口浄介は今、来たこともない場所で目を覚ましている。
「なにい??」
坂口浄介を、取り囲むように、さっきまで一緒にスタジオで話し合いを、していたメンバーが自分の顔を覗き込んでいた。皆、安心したようだった。
「よかったー。」
ふう、と安心するように桂は息を吐いた。何か、人物の印象がさっきと変わっている。手には、フランクフルトを持っていた。
レノンは言った。
「にしても、あれだよな。」
かやが答える、ツチノトも同時に答えた。
「「何が?」」
レノンは、微妙に驚いて、口から言葉を吐いた。悪い、顔だった。
「あのシャチども。古代で元気かねえ。。。」
「レノン。かや。ツチノト。桂。木村優美。求喰柚宇。ハンダあさり。カミオカジョウスケ。そして<地球>もとい<鈴音>、カミオカまや。」
「うん。」
「この9人が、我々の敵よ。」
むしゃむしゃとフランクフルトを食べながら、桂は言った。
「浄介くん?」
いきなり覆いかぶさってきた。
「へ!?」
肩に、光る目とともに体重を、丸ごと、坂口浄介に預け坂口の腰に馬乗りになるような状態になった、桂。言った。浄介は、表情とは裏腹に喜んだ。
「あなたの名前ね。わたしたち惑星守護色期巫天全員の総元締め、リーダーの名前と同じなのよ。」
「あい??」
聞いていなかったことを、浄介は心の中で詫びた。
「ところで、ギター。あれは普通のギターじゃない。」
「はは、知ってる知ってる。」
「あれはこの時代のあるシャチの声を、型取ったものなの。名をゆし。」
「ゆしは、メスのシャチ。」
けいは、あることに気付いた。ある、音に気付いた。遠くで、波が騒がしい。生き物に荒らされている。けいは、あ、と言った。けいは、美しいものを見た。
「ゆし。」
小山はその犯人の名を口にした。弧を描く、その真の意味は宇宙の真理に似る。笑うがいい。しかし、そのシャチがおこした飛沫は、感覚を超えて美しかった。けいは、シャチに見とれた。
「これが、野生のシャチ。」
けいは、見惚れた。しかし
「こらああああああああああ!!!!!!!!!この馬鹿娘えええええ!!!」
けいは、後ろに飛び退いた。小山がいきなり、ゆしに向かって叫び散らしたのだ。けいは、気でもふれたのか、と思った。
「いや、聴けよ。おれのラップ。どうせ、ヒマだろ?」
「まあ、それに対し、言い逃れはできないわね。いいわよ、じゃあ。」
「よし。」
スティーブは、パンツから、変な機械を取りだした。
かち。
「だからね~、浄介くぅん。」
桂は、犯罪すれすれだった。
「早くこっち来て挨拶しろや!この馬鹿シャチビッチが!ゆし!来なさい、今すぐ!かっこつけてんじゃない!」
けいは、びびっている。なんなのだ、さっきまでの温厚で譲歩的な小山では、ない。ゆしが返事をした。
「っせえな、おいたさんは、いっつも。」
透き通る、鏡のような声が響いた。マシンガンは顔を真っ赤にさせている。けいは、惚れているのだ、と気付いた。しかしなぜ、ことごとく奴らの言葉を認識できるのだろう。
けいはそれを聞いた。小山は応えた。
「それは、あなたもこの惑星の住人に近付いているからよ?」
「OK、che,che. yo, turn iT UP... yo,yo.」
なんか変な人がいる。と仁美は思った。しかしその印象は次の瞬間に、変わった。
「I just...
「はい、こちらが、ゆし。あのギターの正体。過去からあなたの時代まで、駆け上がり、恩返しをあなたに実践させようとした正体よ。わたしたち4頭はあくまで、サポート。ほら!!!!あんたもなんか言う。」
「すっげ、ETIAGXNだ。初めて見た。すげえ。」
ゆしは、返事を促されながら、驚きに目を丸くしている様子だ。大きさは、小山達の半分ほどである。細く伸びるしっぽを、含めなければ、長さは、けいとあまり変わらない。けいは、現代のシャチと違うんだな、と思った。かわいい。と息を呑んだ。しかし、疑問に思ったことがった。
「ねえ、マシンガン。Etiagxn?てさっき音のことだって。」
「人類のことだ。」
けいは驚いた。その言葉を聴く前から驚いていた気がした。不思議な感覚に襲われた。マシンガンは、顔を真っ赤にさせたままけいにもう一言発した。
「お前らがこの世界を救う救世主だ。人類よ。全てを形容する音、それと同じ名を神は、お前らに与えたのだ。兎瓦」
ためた。
「けいよ。」
マシンガンは決まったと思った。
「わたしたちは、、、音?」
けいは、反芻した。何度も。そして、ゆしは、珍しそうに、兎瓦けいを、二度と忘れない記憶の中に収めようとしていた。
「よろしく、けいちゃんっ。」
ぷふ。ゆしを天に噴気を放った。虹ができた。
女の子は、タクシーに乗っていた。
目を泳がせて、何か大変なものに追われでも、しているような、そんな「危機感」と、顔に書いてあるような、形相である。
運転手に、指示を、どこか、来たこともない異国にて、案内を求めているような口調で、とりあえず、リードを試みる。
「先で、信号で、いうと3つ目を、過ぎた、左っかわにある_。確か、そうだと思います。はい。いや、そうです。 左だと思います。いや、ちょっと読めないもので。あ、はい、どうぞどうぞ。」
やはり、年齢は高校生ぐらいのようである。惑星守護色期巫天たちと、近い年齢ということになる。
目的地に着いた。ここは栃木県、宇都宮市。建物の前で、下ろされたその、女の子は、せかせかと、建物の中に入って行った。
「すいません、すいません! あのえっと、、、。ハリウッドって何県です、でしたか?」
案内と書かれたデスクに座る、30歳ほどの女性は、は?と言った。
「、、、あ。」
どうやら、真面目に聞いたらしいとわかると、その女性は、女の子にこう返した。
「、、、ハリウッドですと、、、。えっと、まず宇都宮線で、東京まで出てもらいまして、、、。ええ、成田空港行きの、、、。」
その女性も、ひとがいいようだった。
「あ、すいません間違いました!じゃあ違います何かを間違いました。すいません。」
はあ、と混乱真っ最中の、デスクカウンターの女性は、次の言葉を待った。
「、、、あの、わたしここに引っ越してくることになった者なんですけども!」
応対する女性は、気が楽になった。
「住民票の登録で、よろしいですね?」
「はい。えっと、はい。そんな感じです。」
女の子は、若干、髪が短いこともあって、場合によっては、少年にも見えなくはなかったが、スカートをはいていた。目は黒目がちで、さっきから、ちらちらと辺りをしきりに、見渡している。特筆すべきは頭である。どう見ても、岩石を頭に乗せている。そして巨大な耳あてをしている。季節は、ただいま、夏である。
不思議であった。
「ご職業は?」
「はい、地球です。」
時が、止まった。見れば、周りの職員も、何か異変を感じ、こちらにしきりに視線を、配らせてくる。
「何をなさっている方なの? お嬢さん。」
「まず三人の月、桂、木村優美、求喰柚宇を管理してます。あ、すいません。えっと、見た目、の話でいうと。今は、確か柚宇は、マーメイドキョンシー! 時代は<アシュラゴロシ>。桂ちゃんは変な感じ(笑)今は確か女子高生の体、借りてるんじゃなかったっけなーっ。最後が、木村優美ちゃん!ワシ頭に、乗っけためちゃくちゃ可愛い子だよ。この子がいるのも<アシュラゴロシ>!あ、先に言った桂ちゃんは、この時代<チキュウガエシ>、にもう来てるはずよ?」
「はい!もういいですよ。ではね。」
「あ!!だからですね。うんと、時代って3つアルでしょ? 今、こっちも忙しくしててね?なんかJETTOESたち、あ、あなた達の言葉で言う鯨類だったわよね?あいつらも大して働かないし!」
地球様は、挙動不審だつた。
「おっけ、、、。 住所は?」
もう、対応する女性の言葉づかいも、崩れ始めている。地球様はこう、お答え二ナリマシタ。
「地球全域ですっ。」




