5
ギイヤと冒険者をして1月経った。
俺とギイヤは順調に依頼をこなし、ギルドからの信頼を得て次のステップに進もうとしていた。
地下遺跡の探索である。
ここ最近、ポキンチの街に吹く風が弱くなっている異常が続いていた。
この街は風と共に生きている。風からエネルギーを得て発展してきた街だ。
ギルドはこの異常を緊急事態とみて、地下遺跡に眠る風のクリスタルの調査を目的に、冒険者に召集をかけた。その報酬金が高額なため、街の外からも冒険者が集まってきている。
「パーティを組もう。地下遺跡の探索には4人くらいで挑みたい。」
ギイヤの提案で新たにメンバーを探すことにした。幸いなことにソロの冒険者も何人か別の街からやってきているようだ。俺たちが声を掛けるタイミングをうかがっていると、
「ヌーブさーん!ギイヤさーん!ちょっとこちらに来てください!」
ギルド受付のアンズさんに呼ばれたので行ってみると、アンズさんの前に一人の紳士が立っていた。
「紹介します。こちらヤマト教授。重力魔法のスペシャリストよ。」
「ヤマトです。地下遺跡の調査に興味があって先日この街に来ました。もしよければ私とパーティを組みませんか?」
ギイヤと俺がメンバーを探していると聞いてアンズさんが気を利かせてくれたようだ。アンズさんには頭が上がらないな。
こうして俺たちは新たなメンバー、ヤマトさんを迎えパーティOVVを結束した。ちなみに4人目は見つからなかった。
------------------------------------------------------------------------------------------
俺たち3人は地下遺跡の入り口に集まっていた。
「なあ、お前声かけてみろよ」
「やだよ、おまえがいけよ」
なんとソロの冒険者がいたのだ。見たところ待ち合わせをしているようではないので、パーティに入らないか声を掛けようとしていた。しかし、どうにも近寄りがたい雰囲気を漂わせていた。
「しょうがない、行ってくるよ。」
こういう時にヤマトさんは頼りになる。
「「お願いします!!」」
「調子いいなあ、もう…」
しぶしぶといった様子でヤマトさんが声を掛けに行く。
しばらくしてヤマトさんが帰ってくる。
「どうだった?」
「今回だけなら、パーティを組んでもいいみたい。」
その男は俺たちに近づいて名乗った。
「XOです。慣れあうつもりはないんで。」
ちょっと棘がありそうなタイプだが、無事4人目を迎えた俺たちは遺跡探索へと向かった。