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俺は冒険者として初めての依頼を受け、ギイヤと共に砂漠を超えた先にある森に来ていた。

ギイヤから聞いた話では、今から討伐するのは四足歩行の鋭いいくつかの被害報告が出たそうだ。


俺はギイヤに冒険者として誘われてから、討伐用の装備を一式借りてきている。適性があるかを含めてこれで判断するようだ。


「緊張すんなって!難しく考えずに狩るだけだよ。」


ギイヤは俺が緊張しているのを見て、気を遣ってくれたようだ。


だが、俺はそれでも不安が拭えない。初めての討伐と生き物を殺さないといけないというプレッシャーが重くのしかかる。そんな不安を抱えたまま森の中を進んでいると看板が目に入った。


[猛犬注意]


どうやらここが目的地らしい


「着いたぞ。奴らは群れで行動するから囲まれないように注意しよう。」


俺たちは周囲を警戒しながら森の奥に進む。しばらくしてけもの道から音がした。俺とギイヤはすかさず音のしたほうを見る。

オオカミのような生き物がそこにはいた。

間違いない、目的のワンワだ。


俺は怖気ついていた。だが、ギイヤの行動は早かった。


ワンワの首にはギイヤの投げナイフが刺さっていた。


「落ち着いて、一匹ずつ処理すれば大丈夫だから。」


倒したワンワの後ろから、その仲間と思われるワンワが2匹出てくる。


俺とギイヤはそれぞれが一匹ずつ当たる。


俺は借り物のショートソードを構える。そこからは無我夢中で戦った。いくつかの傷を負いながらも、俺はワンワを仕留めることに成功した。


ギイヤはワンワを既に仕留めていて、俺の戦い方を見ていたようだ。


「全然戦えるじゃん!この調子であと7匹狩ろう。」


俺は戦い終えて一息ついたとともに思った。

生き物を殺すのにはもっと抵抗があるかと思ったんだがなあ…


少し休憩して、俺たちは狩りを再開した。それから3匹の群れを2回、同じように討伐した。残す一匹を探し始めて、一匹くらい誤差ではないかと思ったが、最低討伐数を狩らないと信用にかかわるらしい。


警戒しながら歩いていた矢先、ギイヤがふと足を止めた。俺はギイヤの視線を追ったところ、そこには今まで対峙したワンワより一回り大きい個体がいた。しかも3匹で。


「まずい、強個体(オーバード)だ。」


ギイヤが焦っているのを見て、俺も焦る。


いきなり、でかいワンワが吠えると同時に風が巻き起こる。

こいつら魔法を使うのか!?


開戦の合図のように後ろの2匹も風を纏って突進してくる。


ギイヤも風を纏いナイフを投げつける。

魔法の使えない俺は盾を構えるしかなかった。


「逃げるぞ!こいつらは手強い。体勢を立て直す。」


ギイヤが叫びナイフでけん制しながらもと来たほうへ走る。俺も盾を下ろして奴らに背を向け走り出す。


奴らが追ってきていないか?振り返る…と、様子がおかしい。でかいワンワ達は固まっていた。

よくわからんが距離をとるチャンスだ。そのまま引き離そうとすると…


「んっけつ」


喋った!?と唐突に先ほどよりも早く俺を追いかけてきた。3匹で。


「気をつけろ!こいつらは、おけつワンワといって、気に入った人間の臀部(ケツ)を死ぬまで追いかけてくるぞ!」


「なんだよそれ!?」


俺は必死で走った。だが闇雲に逃げている訳ではない。臀部(ケツ)を追いかけてくるのなら、壁にまで行けばいい。通ってきた道は覚えている。追いつかれる前に、そして体力が尽きる前に、崩れたがけにたどり着いた。崖に背をつけ奴らと向かい合うが、3匹に囲まれたままのまずい状況だ。襲い掛かる3匹の攻撃を盾を使って必死でいなす。


「ナイス耐え!」


追いかけてきたギイヤが投げナイフで1匹ずつ仕留めていく。

あっという間に2匹が倒れる。残った1匹が怒り狂ったように風を纏って俺に突進してくる。おれは左手に構えた盾を向かってくるそいつに、思い切りたたきつけてやった。


左手に重い衝撃が走る、だがうまくいったようだ。おけつワンワは頭を打った衝撃でよろめいていた。

すかさず飛んできたナイフがとどめを刺す。


「やるじゃん!お前タンクの才能あるよ!」


ギイヤが笑顔で俺をほめてくれる。


「もしかして臀部(ケツ)を追いかけまわされたの馬鹿にしてる?」


「ふふっ」


俺たちは馬鹿みたいに笑いあった。

それからギルドにかえって報告を終えた俺たちは、予想以上のゼニを得てウキウキだった。

強個体(オーバード)の討伐には追加で報酬があるみたいだ。


その日はギイヤと酒場で大騒ぎしてぐっすり眠った。


シールドバッシュを取得した

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