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第六十話 魔界侵攻作戦

明日からまた、夜投稿に戻ります。

 俺が、クレーン機能付き超弩級戦艦(戦艦ヤエザクラ)の話をして数日後、遂に魔界侵攻作戦が発動された。参加人員は、俺と側近を含む新生勇者パーティ、ヴァルと側近のみ。


 念の為、四大高位精霊騎士は待機。俺の危惧にもある、魔界からのカウンターに備えて待機迎撃して貰う事にした。


 その代わりと言っては怒られるが、随伴員として、精霊首都シンフォニアから複数名のエルフ、ドワーフ連合のエンジニア。水の精霊都市から、精霊騎士マリンの副官と海人族の軍人数名。


 非戦闘員の参戦にはリスクがあるが、魔王城は魔界中心部。海上要塞と言っても過言では無いと言う事から、戦艦ヤエザクラの人員として配置する事となった。


 マリンから借り受けた副官と軍人は、これらの非戦闘員の護衛任務に当たる。秘かにマリンが鍛え上げたこの軍人たちは、純粋な実力で言えば高位精霊騎士に近いとも言われるので、護衛には最適だろう


「最悪の場合、ヤエに自律制御を任せて戦闘すれば彼らを守る事も出来るしな」


 補給物資は俺の持つ重機召喚スキルから不整地運搬車を呼び出し、可能な限り水、食料等の物資を満載して出動となった。勿論保存食だけでなく、生鮮食品も準備してある。


 幸い、不整地運搬車に搭載したままスキルに格納すれば、時間経過が一切しない、超巨大なアイテムボックスとしての運用が可能なのだ。これにより、生野菜、生肉等も積載出来たので、少なくとも栄養失調による人員の脱落などは無い筈だ。


「……では、これより魔界へと侵攻する。人魔の闘争の歴史に終止符を打つ為に。皆の命を俺にくれ」


 出撃前の訓示を終え、最後の一言を言い放つ。一拍置いた後に、参加者、聴衆からの大歓声が返って来る。そう、長く続いた人魔の戦い。


 本当に終止符を打てるならと、精霊首都シンフォニアを始めとして多くの国々が賛同をしてくれた。誰もが望む、無益な争いの無い世界の為に。俺達は突き進む。例えこの手が、返り血で血濡れとなろうとも。


「出撃!!」


 俺の叫び声と共に、人魔連合が魔界転移門へと突入する。精霊都市間の転移門を潜った時と同じく、眩い光に幻惑されると、地上とは景観に差が無い大地へと足を踏み入れていた。


 そう、ここが魔界と呼ばれる地。地獄の様なイメージ、地底、闇の空間と言われている魔界ではあるが、実際は地上と大差の無い場所である。


 かつて魔界に侵攻したが、初代を含む勇者パーティ以外は、決死で脱出したと伝えられている。故に、進んで足を踏み入れなかったし、魔族と対峙するのも難しかった事から研究が進んでいない結果であった。


「周囲警戒を怠るな! 点呼、人員欠けは無いか?」


 数瞬の間に確認が終わる。俺も突入に際して戦闘車両を超重機融合させた状態だ。各種センサー、レーダーにも異常は見られない。


「重機召喚、来い! レオパルド2PSO! 89式歩兵戦闘車! M2及びM3ブラッドレー! 最後に、来いAAV7!」


 気合を入れてスキル使用し、俺は戦闘用車両の連続召喚を行う。俺は安芸とノーラ共に、レオパルド2PSOの上部に乗り移る。俺が騎乗する戦車、レオパルド2PSOは市街戦も考慮されたもので、特徴的なのが排土板を装備する事だ。


 その他に呼び出したのが、自衛隊、及び米軍で使用される、歩兵戦闘車と言う物だ。全て装甲が施されており、戦闘可能で兵員の輸送にも使われる重車両だ。


 続いてマコト君が筆頭となり、新生勇者パーティも周囲の警戒を行いつつ89式歩兵戦闘車に搭乗。M2とM3ブラッドレーの各車両にエルフドワーフ連合、マリン配下の軍人などの非戦闘員を始めとするエンジニアを格納する。


 同時にノーラが簡易防壁としてガイアフォートレスを発動し、基本的な装甲防御力に加えて、魔力による追加防壁を展開。これで防御はより強固な物となった。


 そして最後に呼び出したのが、AAV7と呼ばれる水陸両用車両。装甲、兵員搭載能力を有する装甲車両である。対してヴァルも警戒をしながらAAV7へと搭乗。こちらはバモスさんが対魔法、対物理の障壁を維持しつつ搭乗する形になった。


「念の為護衛車両も出すか。重機召喚、来い! 87式自走高射機関砲! ゲパルト対空自走砲!」


 俺が呼び出した中で、戦闘用車両は基本的にレオパルド2PSOによる主砲のみ。地対地攻撃ならいいが、対空攻撃能力は少々心許ない。一応89式歩兵戦闘車とM2、M3歩兵戦闘車も攻撃力はあるが、所詮は補助程度の物。


 なので対空防御力が低い点を、この二種類の対空機関砲でカバーする事にした。87式高射機関砲も、ゲパルトもキャタピラを装備しているから、重機として扱われている。助かるけど、本当に良いのかこれ?


「うし、今までの中で最大の召喚数。気を引き締めて行くぜ。重機並列操作、遠隔操作起動。前進!」


 そうして進撃する人魔連合。出撃前に打ち合わせや討論を重ねて、魔王場までの最短ルートをヴァルと選定して進む。空間転移での移動に関してだが、これは行わなくて正解であった。


 先んじて転移門を過ぎた辺りで実験した結果だが、超魔導サツキさんが転送魔法を起動し、離れた所に大きめの岩を飛ばしてみた所……大きめの岩は確かに移動したが、再度現れた瞬間に木っ端微塵に砕け散った。


 この事を大賢者マコト君、ヴァルの側近であるバモスさんとで解析鑑定した結果、転移系の魔法に改変が加えられており、転移完了直後に爆発する仕組みを発見したのだ。


「バモスさん、解除を試みようと思いますが……」

「いえ、止めておきましょう。ユウキ様に倣う感じですが、何か嫌な予感が致します」


 魔界の住人、魔人族でも高位の存在であるアークデーモン級の魔人バモスさんからして、危険だからやめようと言う提言があったので、転移による移動は見送られる事となったのである。


 完全に解析出来なかったので、部分的に解析した結果だったが……なんでも常時転移魔法陣が改変されているそうで、下手に弄るとその時点で魔法陣が爆発する、魔界のモンスターの大発生等が起こると推測出来るとの事だ。


「しかし、ユウキさんの勘は凄いですね。一体どうして転移が阻害されてると思ったんです?」


 移動の最中にそんな疑問を思い質問してくるマコト君。俺は搭乗しても運転出来ないので、戦車の上部で遠隔操作のスキルで車両群を操作して居る。


 この会話は通信用のペンダントによるものだ。嫌な予感がしたとしか言えないが、仮に説明するなら。


「ああ、勇者ヒグレショウ。こいつが言ってたんだよ。兄貴が凄腕のハッキング技術がどうたらと。で、現世でも逃げ続けているってな」

「は、ハッキングですか……しかし、それと転移の阻害に何が……いえ、まさか? そう言う事ですか?」


 本当に勘の鋭い青年だ。俺達が転移しているのも事実。安芸の様な転生者が居るのも事実。ならば、安芸を襲った残りの二名も、この世界に何らかの形で来ている、関わっている可能性に気付かない訳は無いか。


「何とも言えん。が、あると思って掛かるべきだろう。可能性のレベルではあるが、常時転移魔法陣の改竄を続けていると言う辺りで、なんとなくな」

「……ユウキさん。聞かせて下さい。もし、本当に相手が、安芸さんを殺害した犯人であるなら、どうするんですか?」

「そう、だな……日本人の感覚からすれば、会心更生させて罪を償わせると言いたい所だが――」


 一般論として罪を償わせると言う発想が出てくるが、遺族からすれば暴論に等しい話だ。結局当事者以外が言って居るだけで、俺は……。


「――俺個人としては、殺すと思う。どうあっても、遺族感情が許さないよ。軽蔑するならそれでいい。俺は俺の意志を貫くだけだ」

「いえ、失礼な質問をしました。正直司法を学ぶ者としては看過出来ませんが、貴方にはその権利がある」


 しかし、否定されるかと思えば肯定された事に内心驚きを隠せない。確かに俺には、あの殺人犯に報復する権利がある。


 まさかと言う所ではあるが、それを弁護士を目指す者から言われるとは思いもしなかったな。


「正直に言うと、勇者も精神破綻者でした。なので、これは俺の勘です。恐らく、残りの犯人も同類でしょう。対話で解決出来るなら、警察も裁判所もいりませんよ」

「かもしれんな……済まんなマコト君。君が目指すべき道に対して反する事を――」

「違いますよ。確かに俺は弁護士志望です。ですが、加害者を救済する弁護士にはなりたくありません。明確に証拠が出揃って居る者を、被害者の気持ちを無視したくはありません」


 そんな強い意志と言葉で語るマコト君に、俺はその背を強く押された気がする。そう、迷う事は無い。目には目、歯には歯。死には死をくれてやるだけだ。その時。


「ユウキ、気を付けろ! 俺の魔力感知に、大型の飛行型モンスターが引っ掛かった。そちらでは確認出来ないか?」


 と、俺達の会話にAAV7に搭乗したヴァルからの連絡が入った。俺は超重機融合状態でのセンサーを確認するが、ヴァルの言う反応が見つけられない。


「済まない、探知出来ない……いや待て、コントロールパネル展開。87式自走高射機関砲、レーダー同調……居た! こいつは……」


 実は戦車、歩兵戦闘車と言う物は索敵範囲が狭い。偵察車でもあるM3であっても、対空索敵能力は低い。なので俺は、AAV7に居るヴァルへ対空レーダーが探知した反応を送る。高度、方角、魔力。全てを統合して返された答えは――。


「ダークドラゴン、数5。どうする、迎撃には少々距離があるが……」

「問題ない。序と言っちゃアレだが、ここで対空兵器の能力を確かめたいのもある。俺達は既に魔界へと進撃してるんだ、相手も迎撃の戦力位出すだろう」


 俺達は既に魔界、魔王を討つべくこの地に進撃して来ている。流石に初っ端からダークドラゴンを迎撃に出すとは思って居なかったけど。


「分かった。ユウキ、お前に任せるが……念の為俺達も迎撃準備はして置く」

「了解だ。頼んだぜ、ヴァル!」


 グッドラック、と言う感じでヴァルとの通信を切ると、俺は重機召喚スキルから戦闘用車両を選んだ。俺が選んだのは、ロシア軍が誇る長距離対空ミサイル車両。東側陣営の代表的対空ミサイル車両、S-300PMUだ。


「よし、こいつで」

「ちょ、ちょっと兄さん!? ミサイルは、現代兵器は馬鹿みたいに運用資金が」


 当然そんなミサイルを搭載する車両を出せば、現代日本に生きた安芸ならこういう反応をするよな。一応重機召喚スキルの答えとしては、まだ安価な方だと言う事だ。


「安心しろ、こいつは輸出対応型で中国へ出された奴って事になって居る。重機召喚スキルが対応してくれたんだろう、米国のTHAADや空自のペトリオットPAC3に比べりゃ安いもんだ」


 まぁ、それでもクソ高価なのは間違いないがな。幾ら導入価格を抑えた所で、弾頭自体はロシア正規品。中国のコピーミサイルなら多少価格は抑えられるだろうが、信用性が足りないから使いたくはない。


「……国庫からは出せないからね」

「問題ない。俺の資産から出す……ま、一応裏技を使わせて貰うがな」


 そう、最近気が付いたのだが、実はこの高価なミサイル系兵器の補給、補充に関しては裏技が存在する。簡単な話、補給しなければ弾薬代は掛からないと言う物だ。


 重機召喚スキルが自由意志を持っている事から、様々な方向から検証した結果、戦闘車両系の補給のみを手動で行い、補給するか否かを決めれば無補給で済ませる事が可能だと安芸に伝えた。


「……都合良過ぎぃ」

「結局最終的には補給しなきゃだから、本当に一時凌ぎだよ……遠隔操作完了、対空ミサイル全弾発射! 目標各個に追尾、残る一匹は接近次第対空射撃だ」


 S-300PMUに装弾されているミサイルは4発。敵は5体のダークドラゴン。ミサイル1本で個別目標を攻撃。落とせれば僥倖。落とせなくても凄まじいダメージを出せると予想している。


「……ああ、お金が飛んでいく」


 頬を引き攣らせている安芸ちゃん。しかし物凄く的確な例えだな。まぁ、このミサイルが高価とは言え、それの数十倍の価値を持つ航空機を撃墜出来るなら安い物だ。


「現代航空機は、一機当たり100億とかするんだぜ? それを、数千万から数億で落とせるなら安いもんだろ?」

「ダークドラゴンは航空機じゃないし、お金を掛けて作ってるものでもないよ!? さ、採算取れるのかしら……」


 若干ヒステリックになりつつ、安芸が自分の両腕を抱え込む様な恰好で、プルプルと小刻みに震えている。何時ぞやのフィリアの様に、ガムテープの様な口。可愛いな。


「まぁ、俺の予想通りなら粉微塵だな」

「…………はぁ、もういいわ」


 と言う言葉と共に諦め顔になった安芸。そんな状況を余所に、音速の二倍近い速度で迫る対空ミサイルが、ダークドラゴンに着弾した。遠目に見る四つの火の玉が落ちる光景。残りの一匹は何があったのかと混乱している様子。


「予想以上の結果だな。あれか、きたねー花火だ。とでも言うべきか? さて、後一匹はヴァルに任せるが良いか?」


 あれだ、米粒サイズに見える人々を見て、目がやられるあの大佐、みたいな感じで言うのが良いのだろうか?


「お、おう。もう少し接近したら核撃魔法で撃ち落とす……しかし、何なんだ今のは。あれが使えるなら魔法何て――」


 恐らくヴァルには理解出来ない攻撃だったのか、少々引き気味である。また、確かにミサイルは有効なんだが、同時に凄まじい欠点がある。


「悪いな、アレは張り子のトラ。魔界にも貨幣価値の概念があると思うが、アレ一発で金貨換算で最低でも数十万枚からするんだよ。乱射は出来ない」

「……なんか、ごめん」


 俺の回答に、純粋に謝罪をするヴァルだった。まぁ無理も無いだろう。因みに、最後の一匹となったダークドラゴンは、こちらに接近する前に撤退して行った。


 魔界でも最強に近い竜が、一瞬にして四体も、敵を認識する前に葬られたのだ。余程知性が低くない限りは正しい選択だろう。






毎度、閲覧ありがとう御座います。当方は今日で連休が終わり、です。

執筆も、昨日のしょうもない失敗で、未だ背筋が痛いです(´・ω・`)

取り合えず、痛みを誤魔化しつつなんとか書いて行きますので、引き続きよろしくですよ(*'▽')

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