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第十四話 新たなるユニークスキル

 フィリアが正式に安芸の後継者として、高位精霊騎士になる為の修練が開始された。修練の期間は本人の努力次第だが、最短記録が安芸の打ち立てた1年と言う物。安芸は当時16歳で、既に高位精霊騎士の資格を有しており、先代もその潜在能力の高さに驚いていたそうだ。


 先代はなるべく早い段階で後継者として指名しようとしたが、運悪くモンスターの大量発生が起こり、その迎撃戦闘で負傷。傷は深く剣を握る事が難しくなった事で、正式に安芸を後継者に指名し、引退するに至った。この為、安芸は若干17歳にして最年少記録を打ち立てたのであった。


 その後一年ほど実務経験を積み、現在風の精霊都市を守護する、四大精霊騎士の一角として君臨しているのだ。


 現在、安芸は後継者が就任したら即時引退する。と公言している、本当なら後継者が出来た時点で引退、と言いたかったらしいが、幾ら何でもまだまだ精霊騎士として未熟。流石に修練期間を終えるまでは在任する、と言う意味で、就任したらと言ったのだ。


 余談ではあるが、精霊騎士の任務は過酷を極める。今までは、何とか安芸一人で仕切ってきたが、新任になるフィリア一人では荷が重過ぎる。


 経験を積めば大丈夫ではある、と言うのが安芸の考えではあるが、別に一人でやる必要もない。計画していたパワーレベリング対象は、まだ4人残って居る。彼女らも高位精霊騎士の資格を得させ、数人による交代、協力体制を確立させた方が、より安心だと言う事で、引き続きレベリングを継続していた。


 尤も、レベリング自体はフィリアと同様にあっさり済み、4人とも精霊種との契約に成功。レベルも全員100から103辺りで落ち着き、今後はフィリアと同じく、切磋琢磨しながら高位精霊騎士を目指す感じになる。


 そんなレベリングではあるが、棚ぼた的に俺も安芸もレベルが向上。俺は93から105に、安芸は172から176まで上昇している。そして俺は、レベルが100になった時に、重機召喚スキルが強化され、更に新たなスキル、超重機融合スキルを獲得した。


 超重機融合。今までは複数召喚しても、同時に扱えるのは一機までと言う制限があった。これは乗り込む時だけの制約ではなく、重機外装時も同じであった。同時に扱えるのは一機まで。だが、この超重機融合スキルは、重機外装時のみ、複数同時に装備する事が可能と言う物であった。


 つまり、右腕にブレーカーユニット、左腕にグラップルアームユニット、と言う具合に複数行使が可能になり、戦闘面に関して大幅に強化されたのである。同時に、重機召喚スキルに追加された一覧にはより攻撃的物が増えて居た。


 今までは、本当に作業用の重機、農作業用の重機しかなかったのであるが、今回解除されたのが戦闘用重車両である。ただし召喚出来るのは、キャタピラやクローラーが付いている物、アウトリガーが張り出せる物、に限定される。


 アウトリガーとは、元々は舟の安定性を高める、転覆を防止する為の装置であるが、俺が務めていた業界では、これが建設用機械に派生した物を、アウトリガーと呼称する。


「……流石に、戦車や対空ミサイル車両の操作等、一般人には無理ではないか?」


 そう、解放された中には軍隊が使用する陸戦の花形、主力戦車が。他には航空機や弾道ミサイルを迎撃する、地対空ミサイル車両等が含まれているのである。


 しかし、残念ながら俺にはこれらに乗り込み、直接操作する事は出来ない。重機、バックホーやブルドーザーなら動かせるが、流石に軍用車両の操作経験等無い。乗って乗れない事はないだろうが、十全に使えるとは思えない。


 重機召喚は、あくまで召喚スキル。操作は俺が実際に乗り、動かした事がある物に限定されるので、これらの車両は動かす事が出来なかった。まぁ一種の安全装置と言えなくもない。


 ただし、超重機融合となれば話は別だ。今までの重機外装が、勇者系ロボットアニメのキャラに置き換えれば、フュー〇ョン。超重機融合は、差し詰めグレー〇ダッシュだったり、超火〇合体だったりする感じで、戦闘車両が各部に装備されるのである。


 当然俺はその形態を試した。結論から言えば、今の俺に扱いきれる代物ではなかった。まず、馬力、いや出力と言い換えよう。出力が民生の物とは文字通り桁違いで、異世界人特融のステータスを以てしても、動かすので精一杯であった。


 因みにこの精一杯の状態で、なんと安芸さんはとんでもない台詞を言ってくれたのである。


「ユウキさんに届いて、私の想い……!!」


 俺の超重機融合の状態を見て、当然勇者系ロボットを連想した安芸。祈る様な姿勢でこの言葉を発した所、言葉に呼応するかの様に、爆発的に機体出力が向上。


 その反動を俺の体が受け止めきれず、超重機融合状態は解除。召喚した戦車達も、修理するなら新造した方が早い、と言う状態になり、莫大な金貨を要求されて、俺は二つの意味で撃沈した。


「ご、ごめんなさい兄さん……その、こんなことになるとは思わなくて……」


 流石に安芸のせいでは無いよ。と諭したが、安芸も無茶苦茶責任を感じており、どうしてもこれだけは譲れない。と言って修理費の一部を負担して貰うと言う形で落ち着いたのであった。


 因みに、今回壊れた戦車「だけ」の修理費で、金貨換算で約1万枚。この修理費イコール購入費でもある。


 余談ではあるが、現代兵器と言う物は総じて金食い虫。戦車や、対空車両、自走砲でさえ、購入するなら約金貨1万枚。これならまだ購入及び運用は可能である。


 しかしミサイルを使う車両に関しては、これは弾薬込みの価格であるが、使うのを躊躇うレベルであった事をここに報告して置こう。最低でも金貨20万枚以上からである。使う用途はあるかも知れないが、明らかに出費の方が高く付くので、お蔵入りである。

 

「強く、ならなきゃな」


 因みに俺が扱いきれないのは、超重機融合に於ける、戦闘車両を融合させた場合なので、通常の重機を複数融合させた場合、及び通常重機と戦闘車両混在で融合した場合は、問題なく稼働する事が出来た。


 この為今後運用するのは、先に挙げた三種類。戦車、対空車両、自走砲をメインに使う事になるが、これすらも現状ではオーバースペックであり、余程の非常事態に備えて、慣らしておくだけに留めて置いた。


「……ん? ごめん兄さん。緊急出動の連絡が入って……ちょっと一狩り行って来るよ」

「大丈夫か? 俺も手伝うが」

「ううん。気持ちだけ貰って置くね、兄さん。こう言っちゃうとアレだけど、私と兄さんが同じ戦線に投入と言う事は、なるべく避けたい。フィリア達の修練の為にも、私だけで援護するよ。精霊武装解放、来たれ風の翼ッ……行きます!!」

「分かった。気を付けてな……だが、万一があれば直ぐに俺を呼べ。ガルーダ共々全力でお前を守る」

「……ありがとう。また後でね!」


 どうやら精霊都市外縁にモンスターが現れた為に、安芸は俺との狩りを切り上げて、緊急出動していった。フィリアを筆頭とする次世代の精霊騎士達も、実戦経験を重ねる為に修練の一環で戦闘を行っているが、今回のモンスターの中には、フィリア達でも対処しきれない、強力な個体が確認されたとの事だ。


 安芸が飛び去った後には、魔力で作られた白い羽が舞い落ちる。何度見てもこの光景は飽きない。とても綺麗で心が澄んで行く気分になる。


「ガルーダ。念の為、都市外縁の精霊との連絡体制の強化。何かあったら直ぐに移動する、頼めるか?」

『任せよ。やはり過保護になるのは、お主の大事な者だからであろう?』

「当然だ。言わせんな恥ずかしい」


 レベル自体は安芸の方が上なのだが、ステータスは圧倒的に俺の方が上なのだ。実戦経験に関して言えば、この世界に身を置いた安芸の方が上であるが、だとしても俺は兄であり旦那でもある。妹であり嫁を守るのは、男の務めだ。

 

「ちょっと全力で狩りをする。行くぞガルーダ!!」

『くっくっく。心得た。さて、我も僅かながら手伝うとしよう……因みにこの先に、少々強力な個体がおる。今のお主でも苦戦するであろうが、往くか?』

「たりめーよ! 少しでも強くなって、安芸を守る。やってやるぜ!!」









 だが、この判断が間違って居た事を、この時の俺はまだ知らない。安芸が救援に向かった先には、災厄とも呼べる強力な個体が出現していたのである。





これが無限を超えた、絶対勝利の力だぁぁぁぁ!!(CV:檜山さん

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