プロローグ
初投稿に試行錯誤中に付き、不慣れな点はご容赦下さいませ。
「どうしてこうなった……」
そう呟きながら牢獄に閉じ込められているのが私です。こんにちは、またはこんばんは?
佐倉祐樹と言います。仕事はとある建設業、重機オペレーターをしております。
確か俺は、台風による災害跡を復旧する工事の為に、増水が収まって来ている河川近くで重機に乗っていた筈でした。
それがいきなり目の前に凄まじい閃光が走ったかと思えば、着の身着のまま何やら王宮的な所に立っていたのです。
正直訳の分からない状況ですが、不幸中の幸いか何と他にも5人の若者が並んでおります。皆一様にぽかーんとしております。
そんな中、金髪碧眼の美少女が5名の若者の中で一番真ん中に居た少年の元へ歩み寄り、こう呟いたのです。
「勇者様方、どうか世界をお救い下さい……」
正直そんな馬鹿なと思いましたが、俺以外の5名……いえ、実質3名の若者、多分高校生くらいでしょうか?
制服姿のままでしたし、勇者と聞いて美少女と言っても過言ではないお嬢さんに縋り付かれ、中心の3人は気分が高揚しているのでしょう。
因みに残り2名の若者、こちらは大学生と言った所でしょうか? 務めて冷静にお嬢さんに問い掛けておりました。
いえ、冷静に見えるだけで若干声が震えている様でした。何せお嬢さんは元より俺たちの周りは剣や槍を持った兵士に囲まれておりますので。
「詳しい説明は追って致します。まずはこちらでステータス鑑定を行って頂きたいのです」
そう言われて俺を含めた全員が、ステータス鑑定を行う事になりました。尤も半強制と言った感じです。一応俺だけはヘルメットを付けていましたが、周りは全身鎧の兵士さんばかり。抵抗する事などまず不可能でしょうよ、これ……。
そんな事を思いつつも鑑定は進んでいく。最初にお嬢さんに縋られた少年は勇者、隣に居たセミロングの少女が魔法使い、体格の良い少年が竜騎士との事で周りが歓喜に包まれております。
少々抵抗がありつつも一歩引いていた大学生と思しき2人も鑑定をした所、男性が大賢者、女性が上位僧侶と言う如何にも勇者の仲間と言った感じの職業になっておりました。
当然そんな状況の中、最後の一人である俺にも期待の視線が向けられております。やめて下さい、恐らくただの一般人です……とも言えず鑑定。結果は驚くべきものでした。
「え?」
俺は自分の職業を見た瞬間、こっちでもこの職業あるのかと驚いてしまいました。何せどこからどう見ても中世ヨーロッパと言った感じの世界です。そんな世界感で重機操者などと言う職業が表示されております。
周りで固唾を飲んで見守っていたお嬢さん、兵士さんは明らかに落胆した様子でした。この国、昔から勇者召喚を行って来ていたのか、過去には俺の様な職業は存在しないと言う事です。
まぁこちらとしては何とも言えませんが、取り合えず何か期待させて申し訳ないと頭を下げました。
「い、いえ……まぁその、えー……こちらこそ、巻き込んでしまい申し訳ありません……」
と、お嬢さん、いえ彼女はこの国の王女様と言う事でしたので姫さんと呼称する事にします。何か物凄く歯切れの悪い言葉を紡いでおりました。
どうやら俺は、巻き込まれた形で召喚されたと言う事らしい、召喚は膨大な資源と対価を払い行使する秘術と言う話も聞きました。
恐らくそんな犠牲を払った召喚で、役に立たない者を呼んでしまったから、この様な状態なのだろうと推測しておりました。
ともあれ一通り説明を受けてどうしようかと考えて居た時、烈火の如く怒り出した勇者に、云われ無き罵倒や非難を浴びたのは納得が行きません。
勇者曰く、俺の様な職業は役立たずで社会のゴミ、底辺中の底辺で犯罪者予備軍で、快楽殺人をする最低最悪の生きる価値のない野郎、と言われました。話を聞いていた大賢者の青年は、勇者に問い詰めています。
俺の方はと言うと、余りの暴言にポカンとしましたが、その言葉に姫さんや周りの兵士さんの警戒度が一気に上昇しました。そのまま俺を取り囲むような形で武器を構えジリジリと間合いを詰めて来ています。
「ちょ、ちょっと待って」
「黙れ下郎!! その者を捕らえよ。牢に入れその後は陛下の判断を頂きます」
両手を上げて抵抗する意思は無いと示しながら言葉を発しましたが、最後まで喋り切る前に姫さんの号令で、俺は一気に制圧されました。
流石に殆ど生身の様な状態なので斬られたり突かれたりはしませんでしたが、気付けば俺は牢屋におりました。
全身が物凄く痛いと思われるのですが、何分痛みを感じておりません。恐らくですが、何かで後頭部に衝撃を受けた事による後遺症の様な物でしょう。
視線を身体の方に向ければ、執拗なまでに暴行を受けて全身打撲、多分これ骨何本か折れてるのでは、と思う位の状況になっていました。
良く生きてるな俺、等と思いつつ軽く一息。
「どうしてこうなった……」
思いも寄らない異世界召喚。謂れの無い誹謗中傷。そして理不尽な暴力。これは俺が何か悪いのだろうか。そう思った辺りで俺は再び意識を失った――。
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