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ピーナッツみたいに

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ピーナッツみたいに生きていこう


君と一緒にピーナッツみたいに


燦燦と輝く太陽光を浴びて


海から流れる南風に煽られて


君と一緒にピーナッツみたいに 

 


君は知っていただろうか


落花生ピーナッツは夏の産物だということ


君は知っていただろうか


黄色い花が咲き終わり


土の中に潜り込み


君が知っている落花生ピーナッツになることを



桜咲く春の頃


君はよく言っていた


「花は散るために咲くのよね」と


桜は東風にしだかれ舞い散った


「咲いてるうちが華なのね」と


君は僕に目もくれず


ただゆるく降る花びらの中に居る


その時、僕は何も知らなかった


その時、僕は何も分からなかった


散る桜の花びらに


君が立っていた本当の理由を


君が見上げた黒幹の


寒々とした哀しさを


凛と立つ君の憂いに魅せられて


散ったら喰べてしまいたいと思っていた……



誰の意に介さず季節は巡るもの


幸せを心底感じる刹那にも


切り取って囲う事など、出来はしない


誰にも平等に時間は過ぎていく


例外なく、僕にも君にも


しかし与えられたその時間


公平に、とはいかないらしい



僕はその日、初めて知らされた


君を蝕んでいく君の宿痾しゅくあ


僕はすぐに理解した


あの日立っていた桜の下で


君が言っていたあの言葉は


「花は散るために咲くのよね――」



ピーナッツみたいに生きていこう


君と一緒にピーナッツみたいに


ね? 偶にはいいでしょう


散ってみるのも


僕の左手と君の右手


繋いで一緒に生きていこう


ね? 遇にはそれでもいいでしょう


二人一緒に咲き乱れるのも


そしたらさ


黄色い花を分け合って


盛り土の中に潜り込み


落花生のようになればいい


一つの殻に閉じこもり


静かに


静かに……



落花生のように


生きていたい


君と一緒に


落花生のように

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