4-5. 再見
「うわったったったっ」
前のめりに倒れそうになって、どうにか地面に手を突いて事なきを得た。
と同時に、耳に人のにぎわいの音がわっと届いた。
しかしここに来るまで人っ子一人出会わなかった。われらのほかには誰もいないはずだ。わたしは急いで体を起こした。
信じられない光景があった。
人が数多歩いている。家が軒を連ねている。そして今しがたつまずいた橋はどこも朽ちておらず、路面も手すりも原形を立派に維持していた。森に呑まれていくだけであるはずの荒れ果てた遺跡は嘘のように消え、華やかな都市がそこにはあった。
何が起こったんだ??
頭の中は完全に混乱していた。そこへ、背後から声をかけられた。
「サーラさま」
「ぅわっ」
誰の声かわからず、わたしは激しく狼狽した。腰の刃物に手をやりつつ飛びのいて、振り向きざま身構えた。
「サーラさん、ぼくたちですよ」
そこには、カイとサーキィが立っていた。
「ふたりとも! 無事だったか!」
わたしは思わずふたりに抱きついた。よかった。ほんとうによかった。目頭が熱くなるのを感じた。止めようと思っても、涙があふれてしかたなかった。
「サーラさま くるしい」
「胸が当たってますよ」
「くだらぬことを言うな」
そう言いながらもわたしは笑顔になっていた。サーキィの抑揚の少ない話しぶりも、カイのたわけた軽口も、たまらなくうれしかった。
次回 >>> 「 過 去 」




