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かくも心地よきさすらい  作者: 北条三蔵
第4章  永久平和のひととき
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4-1. 急行

 父に追いつくべく、急ぎに無理を重ねた結果、セアンに着いたのは夜だった。

 数日間の強行軍(きょうこうぐん)のため、表情に乏しいはずのサーキィにもわかりやすく疲れが見える。

 一方カイはいつもとちっとも変わらず、すました顔をしていた。なんなのだこいつは。

「……へんぴなところだな」

 わたしはセアンを見渡し、くたびれた声で言った。

「ロウハルの端のほうですからねぇ。周囲は山か森かですし」

 答えるカイの声音にはやはり疲労の響きはない。信じがたい。

 不思議なことに、セアンは山に近いところに町の中心があった。町の真ん中には川が流れ、それを挟んで家々が建ち並んでいる。すなわちここは上流域で、町の全体が傾斜地の上にあった。

 セアンに来る途中の飛空船内で聞いた話によると、平野が広がっていそうな下流域には広大な森が広がり、人は住んでいないという。

「なんで下流に町を広げないんですかね? 遺跡は森の中にあるという話ですが、大昔の都市のもので、すっかり荒れ果てているらしいです。なので、遺跡に遠慮してるってわけじゃなさそうなんですよね」

「さて、な」

 カイの好奇心に応じる気力は今のわたしにはない。

「とにかくまずは宿だ」

 うつらうつらとしているサーキィの手を引いて、どうにか宿を探して入った。

 疲れのせいで町の風景はほとんど頭に入ってこなかったし、宿の人とろくに話をすることもなく、わたしは部屋に入って服を脱ぎ散らかし、寝床に倒れこんだ。

 すべては明日だ。明日から本気出す。明日か……ら…………。


次回 >>> 「 接 近 」

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