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それでも俺は帰りたい~最強勇者は重度の帰りたい病~  作者: 夙多史
八章 さりとて俺は病気しない
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第五十六話 なんでだろう?

 しょうらいのゆめ

        1ねん4くみ いまき たく


 ぼくは、いつかインフルエンザになってみたいです。

 ぼくはいままで、うまれてからいちども、ビョーキになったことがありません。

 ともだちがかぜをひいて、がっこうをやすんだり、はやくかえったりするのをみると、すごくうらやましいっておもいます。しんせきのショウくんとルイくんもおなじことをいっています。


「ちょっと……拓くん?」


 だから、ぼくもビョーキになりたいです。とくに、インフルエンザはがっこうをいっしゅうかんもやすめるからすごいとおもいました。


「思わなくていいのよ!?」


 インフルエンザはうつるってきいたから、インフルエンザになったともだちのおうちに、まいにちおみまいにいきました。


「動機!?」


 ともだちのおかあさんに『うつるからダメよ』ってなんどいわれても、ぼくはあきらめずにおみまいをつづけました。


「すごい熱意!?」


 でも、ぼくはインフルエンザになれませんでした。

 うつるっていうのは、きっと『としでんせつ』です。

 おとうさんもおじいちゃんもインフルエンザどころかビョーキにもなったことがないらしいので、インフルエンザそのものが『ぞくせつ』かもしれません。


「違うわよ!? お友達なってたんでしょ!? ていうか難しい言葉知ってるわね!?」


 ぼくのかぞくは、おかあさんしか、ビョーキになったけいけんがありません。ぼくも、おとうさんも、いもうとたちも、みんなけんこうです。


「いいことね。健康はいいことよ」


 びょういんって、なんであるのかな?


「どこに疑問持ってるの!?」


 けんこうなのにびょういんにいかないといけないことがあって、いみがわかりません。かえりたいです。

 ふけんこうでもびょういんにはいきたくありません。チューシャはこわくないけど、せっかくなったビョーキがなおるとおもうとゼツボウするからです。

 だから、ぼくはびょういんにはぜったいにいきません。


「拓くん!? ねえ!? 拓くん!?」


 そうおもっていたけど、ぼくはきづきました。


 びょういんは、ビョーキのひとがいっぱいいます。

 だからインフルエンザがはやってるときに、うつるかなとおもって、びょういんにいちにちじゅういたことがあります。うつりませんでした。


「頑丈すぎるでしょこの子!?」


 うわさによると、インフルエンザはすごくつらくて、くるしいそうです。


「そうね。だから罹りたいなんて言っちゃ――」


 でも、『かえれないことよりつらいことはない』っておとうさんがいっていました。


「拓くんのお父さん!? 保護者面談!?」


 だれだってそうおもいます。ぼくもそうおもいます。

 かえれないくらいなら、オフトゥンのなかでビョーキとたたかっているほうがマシなはずです。むしろオフトゥンさえあればビョーキなんてこわくありません。うぇるかむ。どんとこい。おともだちになれます。


「ねえ!? なに言ってるの拓くん!?」


 だから、ぼくはしょうらいのどこかで、いっかいはインフルエンザになって、がっこうやかいしゃをやすむことがゆめです。 


「それ将来の夢違う!?」


 おわり。

 さくぶんのろうどくとかこうかいしょけいです。かえりたいです。


「うん、拓くん、ちょっとこっち来なさい」


 このあと、めちゃくちゃせんせいにおこられた。

 なんでだろう?

 

 かえりたい。

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