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それでも俺は帰りたい~最強勇者は重度の帰りたい病~  作者: 夙多史
十三章 わたしたち人は働く生き物です!
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第百一話 あの人はあの人で規格外ですからね

 一体、なにが起こってるですか?


「エヴリエルよ、これは一体どうなっているのだ?」


 わたしと一緒に遠巻きで様子を窺っていたレイバー様も困惑していたです。そんなのわたしが知りたいですよ。


「勇者様……オフトゥヌスが王女様たちと戦闘を始めたです」

「そんなものは見ればわかる。わからないのは理由だ。ネムリアの奴、なにか王国に目をつけられるようなことをやったのか?」

「ど、どうですかね……」


 お供はサイラス将軍となぜかヘクターくんだけで、他の兵士さんたちはいないですね。ということは、王女様は個人的な理由でここにいるようです。教会がなにかやったというより、王女様たちもわたしと同じで勇者様目当てだと思うです。


「なっはっは! ネムリアめ! さては教会の運営に失敗したな? 寝てばかりだからそうなるのだ! 我々のように健全に働いていればこうはならぬ!」

「まったくですね!」


 勇者様もまともにお仕事していたら王女様とガチバトルなんてしなくてよかったはずです。もういっそ建労神教会に強制入信させてやるのもよさそうですね。

 とか言ってる間に勇者様たちが移動していくです。王女様が大剣を振るう度に周りの壁や地面が破壊されてるですが、大丈夫ですアレ? サイラス将軍も悲鳴を上げてるです。


「し、しかし、あの王女は何者だ? この暴れっぷり、ただの人間とは思えんぞ。それに王女から感じる力は……」

「あの人はあの人で規格外ですからね」


 けっこう離れてるはずですのに、勇者様と王女様が激突した衝撃波はわたしたちのところまで飛んでくるです。まさしく嵐の中心って感じです。これ以上近づくのは危険――


「あの王女、ネムリアまでたたっ斬ってしまわないだろうか?」

「おや? 心配ですか?」

「は、はぁ!? まさかこの我がそんなことあああああるわけななななかろうが!? 寝てばかりのひ弱なネムリアなど一撃掠っただけで弾け飛ぶだろうな! わ、我はそんな汚い物が見たくないだけだ! なっはっは! 我々のボランティアでせっかく綺麗になった王都を奴の血で汚されてはかなわん!」

「めっちゃ早口ですね」


 言い逃れの内容がいろいろ苦しいです。


「だ、だから、仕方なーくこの我が奴らに手を貸してやってもいいかなーとか思ったり思わなかったりいや助けるわけじゃなくてだな王都の景観を――」

「あ、勇者様がネムリア様を逃がしたです」

「よしエヴリエル、ネムリアを追うぞ!」

「王都の景観は? 今もめちゃくちゃにぶっ壊してるですが。主に王女様が」

「そんなものどうでもよい!」

「ですよねー」


 でも、ネムリア様を追うとしたらこの嵐を突っ切らないといけないです。わたしは勇者様に用があるですからぶっちゃけそっちは無視してもいいですが、レイバー様もなんだかんだ放っておけなくなってきたですし、仕方ないですね。

 わたしは神樹の杖を握り、小さく呪文を唱えたです。


「一応風の防御膜を張っておいたです。隙を見て突っ切るです」

「なっはっは、ナイスアシストだエヴリエル!」


 わたしたちはこそこそと隠れつつ戦場の横を通り過ぎようとした――その瞬間、勇者様が王女様の大振りの一撃を受け止めたです。


 王都の底が抜けたです。


「ほぎゃああああああああっ!?」

「レイバー様!?」


 爆音。衝撃。凄まじい威力の()()だけでわたしの風の防御はあっさり剝がされてしまったです。わたしはなんとか風の魔法を唱えて軽減したですが、レイバー様は空の果てまで吹き飛んでしまったです。いや比喩ではなく。

 キランとお星様になるレイバー様。地下に落ちた勇者様たちも気になるですが……流石に、放置はできないですね。


「覚えてろです、勇者様!」


 わたしは捨て台詞を吐くと、レイバー様が吹っ飛んでいった方角へと救助に向かったです。


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