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始まりの話
下級神は憂いていた。
姉神と兄神は大きな力で信仰を集め、父神はその信仰に力を高めますますの寵愛を注いでいた。神の庭は信仰と愛で満ちていた。
しかし、下級神は憂いていた。
姉神、兄神ほどの力を持たず信仰も集められない自分。父神の寵愛は分け隔てなく、姉神も兄神も差別する素振りすらない。だから、これは自分の我儘でしかないのだろう。それでも悩まずにはいられなかった。
ある時、姉神は下級神に箱庭を与えた。箱庭作りは姉神の得意とすることであったが、きっと下級神の悩みにも役に立ってくれると考えたからだ。
作られたばかりの箱庭には生ある者はまだ僅かしかなかった。命がなければ当然信仰もない。しかし、下級神といえど時間をかけて祝福を与えれば命を育む事はできる。祝福された命は信仰を持ち、真摯な信仰は命に祝福を齎す。後は卵が先でも鶏が先でも同じ事だ。
姉神に感謝し、下級神は箱庭を作る事にした。






