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呪いの姫は祝いの王子に愛される  作者: 七賀ごふん
囲いの鳥

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4/28

#4



一族はリザベルさんに無関心だ。未だ誰も何も言ってこないから、地下牢へ様子を見に行った者は皆無だろう。

今回得た莫大な報酬で贅沢三昧をしている。人を呪い、殺すことすら良しとして。自分達さえ良ければいいと本気で思っている。


そんな中で育ったから、俺も同じなんだ。本当は、彼らと一緒に退治されるべき存在。

でも、どうせ殺されるなら……この青年にお願いしたい。

「今日もお疲れ様です……と」

彼の方に向き直り、顔を寄せた。綺麗にしているから良い香りがする。でも、男らしい匂いもする。

相反する誘惑に、やがて身体は火照っていった。息が苦しくて、むずむずする。


はあ……。


また一糸纏わぬ姿で、彼に抱き着ついた。最初は控えめにしてたけど、やがて力いっぱい抱き締める。

やばい。やばい。どうしよう。

リザベルの胸に顔をうずめ、綺麗な唇に吸いつく。

男であること以前に、ずっと大切にしていた宝物への愛着が生まれてるのかもしれない。

彼の腹の上にまたがり、唇に触れた。

やば過ぎる。

最低、じゃ済まない。今すぐやめなきゃと思うのに。

気付けば涙を流しながら、彼の綺麗な頬にキスをしていた。


「……触って……っ」


不意に、そんな言葉が口から溢れた。

触るはずないのに。そのとき、わずかに彼の右手の指先が動いた気がした。


「?」


でも見間違いだろう。じっと確認したものの、その後は何の反応もなかった。

目覚めるわけないか。涙をぬぐい、もう一度彼の額にキスする。

もし自分が本当の王子なら、眠ってる彼を起こせるのに。


現実はもっと惨めで、醜い。

ユノは泣き疲れ、あられもない恰好のまま、リザベルの傍で眠ってしまった。


気持ちいい。

こんなの初めてだ。人の肌の温もりが、こんなにも心地いいなんて。

視界は徐々に閉じていった。黒い幕が完全に下ろされたとき、意識も波に攫われてしまった。


『……ユノ』


何も見えない。

けど、かすかに聞こえる声。


『可愛い』


掠れた声で囁くそれは、暗然とした世界でいつまでも反響していた。





「……ん」


眠るまでは長いが、意識を手放せば夜は一瞬だ。

窓の隙間から射し込む朝日に顔を顰める。ユノは鳥達のさえずりで目を覚ました。


……。

寝ちゃったのか。ぐっと背伸びしたものの、寝るまでにしていたことを思い出して飛び起きる。

やばい。裸のまま寝たんだった……!!


戦慄しながら自分の姿を確認する。すると、しっかりシャツとズボンを着ていた。

「あれ?」

隣を見ると、リザベルもちゃんと着衣していた。

おかしいな。そのまま寝た気がしたけど、服着せたんだっけ?

ぼうっとしたまま欠伸をする。色々限界だったから、記憶が飛んでるのかもしれない。ひとまず慌てて入浴し、部屋を換気した。


「……ゴホン!」


しかし、罪悪感が半端ない。

意識のない相手を自慰に使うなんて。もうどんな凄惨な最期を迎えても文句言えない。

墓場まで持ってく秘密になるし、この青年に対して一生償っていかなければならない。自己嫌悪に苛まれつつ、いつもの百倍丁寧にリザベルの衣服を整えた。




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