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ナズナ VS パラサイダー ──卑怯な侵略者

── 序章:命令


巨大な黒曜石の円卓


星すら霞む重い夜、ひとりの少女が、銀糸のドレスを揺らしていた。




神代セリカ。


その暗黒の女王から、黒い管だらけの異形――パラサイダー――に命令が下る。




宇宙の未知の金属にエイリアンが覆われているような見た目だ




全長10m、背中にはタンクを背負い、体の左右には火炎放射器、大きな銃、爆弾の様な球体、大型の機能重視の剣がある




腕には人類の遙な未来を思わせるデバイスがあり、人類が戦闘のみに進化してしまった末路の様な存在で、終始毒ガスの様な緑の息をハァーハァーと吐いている。最も下劣で醜い侵略者を思わせる。




「行ってらっしゃい。ナズナのところへ。……あの子、きっと素敵に迎えてくれるわ」




パラサイダーは返事をしない。


ただ、無数の鉄管を輛ませ、黙って転移していった。




その直後、ナズナの端末にメールが届く。




件名:おひさーーー


本文:


工場跡に来てね♡


でないと、あの宇宙人、街に行っちゃうわよ?(楽しみだけど)


セリカより♡


ナズナは、氷のように涼しい目で端末を閉じた。


「……すぐに行わ」




── 第一章:工場跡の戦悍


誰もいない終わった工場、錆びた鉄の塊しかない。いったい何を作っていたのだろうか?と疑問に思う不気味さと広さだ。風が泣く中、ナズナはそっと足を踏み入れた。




――来る。




直感が告げるより早く、鋼鉄の弾丸が蜂のように要撃する。




パキィン。




空中に、青色の“氷の盾”が展開されていた。


弾丸はすべて、静かに落とされた。




ナズナは属性魔導は自由に扱える程に上達していた、一閃丸との戦いで本質を掴んだのだ。武器も防具も遠隔攻撃も様々に魔導展開できる、それも同時に。ナズナの魔導エネルギーはかつて同じ見た目の異世界の英雄に体に刻み融合させるという形で譲渡されたもので、それは魔王の片鱗から作った、非常に強力な魔導の根源だ。それが主でそれにラズナリアを用いて増幅させて魔導を使用している。




ナズナは首先のペンダントにそっと触れる。


「ラズナリア」――、一閃丸との戦闘で砕け散ったラズナリアを再構成したのだ、凝縮し魔導結晶の核。無尽蔵なエネルギーの塊。




次の瞬間、一気に間合いを詰めてきた異様な見た目の宇宙人が巨大な火炎放射器を開放した。


紅の熱流が、夜の工場を焼き払った。




「やりずらい戦い方だ……タチが悪い。」




ナズナは魔導のヴェールで全身を覆い息を整える


――そして「パラグラム」発動。




焼かれる瞬間に、元通りの自分をイメージした。不老不死になってから忠実にイメージができるので重度まで至らない損傷をパラグラムでほぼ確実に修復できる





空間は戦場だった。逃げ場も、隠れるものも、ほとんど焼き尽くされてない。


だが──ナズナは即座に判断した。




工場全体の地形。老朽度。可燃物の分布。


すべての条件を、瞬時に、頭の中でマッピングする。




相手は異星のクリーチャー、武器だけを信じ穏やかな世界を侵略して渡り歩いてきたのだろう。見た目だけでそれがわかる、全く気に食わない


やつは巨大な銃に、火炎放射器、さらには有毒ガスを併用する極めて危険な存在。


正面からの打ち合いでは、持久戦にすら持ち込めない。




(やるなら一撃。)




ナズナはすでに決めていた。




──廃油タンク群。


目標のタンク達は、工場の廃業時のデータを見るからに、内部に大量の揮発性油が残存している可能性が高い。エデンリコード構築するまでの時間はなかったが、それくらいは道中で調べられた




彼女は動いた。


廃材の陰をかすめ、沈黙する鉄骨の影を縫い、爆発のための舞台を整えにいく。




パラサイダーが気づいた。


叫び声のような電子音を発し、火炎放射器を振るった。




ズバアッ──!!




赤い炎が工場内を薙ぐ。配管が破裂し、天井が崩れる。


ナズナはギリギリのタイミングで横跳び、溶け落ちた鋼材の下をすり抜ける。




視界が赤黒く染まる。


ナズナは再度、氷の魔導を纏い自らの呼吸を冷たく保った。




(距離、3メートル──)




パラサイダーが更に火を噴射し続ける。


ナズナは左腕をひねり、即座に氷の盾を形成した。


魔導氷。


重く、緻密で、わずかな衝撃吸収性を持った自作の防御技術だ。




──パシュンッ!




火炎が氷板に衝突し、爆ぜる。


氷が蒸気を上げ、砕ける寸前に、ナズナはすでに別の動作に移っていた。




目標射程圏内に捕捉。


彼女は廃油タンクの根本へ、細心の計算を込めて誘導を始めた。




火炎流が、誘い込まれる。


タンク表面の金属が赤熱し始めた。




ナズナはパラグラムを再び起動した。


次の十秒間だけ、未来を操作する。




焼けただれるタンク。


そして爆発。




ナズナは爆心の周囲と異星人を瞬時に氷と風の魔導で大量の酸素を取り込みながら密閉した。




「────ッ!!」




爆音が走った。




更に密閉内部の他のタンクが内側から膨れ上がり、破裂。


圧縮された可燃ガスが内部で連鎖的に炸裂する




やつを内包した氷のドームの世界が赤白に弾ける。




ナズナは渾身の魔導でその空間をさらに圧縮する




(終わった……?)




彼女は呼吸を静かに整え、煙煞えんさつに包まれた視界を探った。




だが。




「――チィッ」




ナズナの目が鋭く細まった。




煙の向こうから、黒い影が、のろりと、しかし確実に立ち上がってきた。




パラサイダー。


片腕を失いながらも、残った火炎放射器を肩越しに構え直している。さすがに歴戦の侵略を繰り返してきたであろう個体は一筋縄ではいかない




機械仕掛けの呼吸音。


異様な粘性を持った空気。




ナズナは即座に判断を下す。


この距離、このタイミングなら──「次」を取れる。




彼女は、左手にかけていたペンダントを握った。


「ラズナリア」──超密度の魔導剣ペンダント。




ナズナの魔力が流れ込み、ペンダントが赤い輝きを放つ。




──起動。




彼女は疾駆した。


煙を切り裂き、光を纏い、雷光でできた槍を強く握り、ひと筋の流星のように。




パラサイダーが火炎を放つ。


だが、ナズナのパラグラムはすでに発動していた。




移動距離を無理矢理パラグラムで設定すると着地地点への現実に極限に近付くため、移行の際に超速移動が可能になる。いわゆる瞬間移動だ




相手が放った火炎を、一つの輝きが切り裂き貫く




ナズナの剣閃が、炎を追い越す




──ザシュッ!!




赤い残光を引いて、光の槍がパラサイダーの胴体を切り裂いた。




金属音と、異様な悲鳴。




パラサイダーの身体が二つに裂け、重力に引かれて倒れた。




燃え残った鋼材が、彼を包み込むように崩れ落ちる。




ナズナは呼吸を殺し、しばらくその場を動かなかった。


音も、風も、ない。




──勝った。




だが、油断はしない。




彼女は光の槍を構えたまま、残骸に近づき、確実にパラサイダーの中枢を貫くべく、もう一撃、光の槍を振り上げた






――その刻、空間が爆ぜた。




爆弾だ、それに毒ガス




ナズナはすぐさま危険を察知して、後ろに飛びのいて自分の周りを魔導の風で密閉した。




パラサイダーはその隙をみて、腕のデバイスを触る、周囲の空間が歪みだす。足元に巨大な爆弾を置きながら




逃げる気だ。それにあの爆弾、こいつの文明の技術ならどの範囲に影響を及ぼすか全く不明だ、今から逃げ切れる衝撃の範囲では無いかもしれないし周囲には住宅街もある。




クソ......卑怯だ。侵略者が何をするかなんて想像はしていたが、甘かった。




クソクソクソ!!!!!!終わりなのか.......何かないのか?????




ナズナは今までに無いほどの恐ろしい並列思考で様々な思考を巡らせた




しかし........




「だめだ......」




ナズナは一瞬終わりをイメージしてしまう




諦めかけたその時だった




――巨大な“炎の手”が、パラサイダーを鷲掴みにした。




「――全く、卑怯で醜い」




低く、重い声。




その声の主は、かつて様々な依頼を受けるもっと前、私が対峙した異界の存在-----火炎の王だった




火炎の王が、姿を現していた。




漆黒に燃える体は宙に浮き。


炎で具現化した大きな片手でパラサイダーを握り潰すと、爆弾や地面もろともすべてを圧縮して、圧倒的神炎で焼き尽くした。




ナズナは、呆然とその光景を見上げた。


前回――自分と戦ったあの王が、まるで大人が小石を払い落とすような無造作さで、パラサイダーを処理している。




彼が何故ここにいるのかはわからないが、一つだけ分かった事は前回の対峙は限りなく手加減されていたことだった。目の前の異界の存在は遙に我々とは別次元だ




火炎の王は、ナズナを見下ろし、重々しく言った。




「……ずっと見ていたぞ、いにしえの娘。お主と戦う前は、我は静黙を好んでおったが、あの戦闘で血が滾ってしまったではないか? フハハっ」




「お主を追えば愉快な事に出会えそうじゃったからのう 暇潰しじゃ 訳のわからんものが数多集っているではないか 全く愉快じゃ」




「終わらせるには惜しい、我に相応しい相手がでるまではのう フハハっ」




 珍しく助太刀じゃ まぁ感謝せぃ我に それだけじゃ もっと強くなれ娘 




お前がこれから相手する異形達はそこの卑怯な雑魚とは比にならんぞ? 世にも恐ろしい世界じゃ フハッ せいぜい楽しみにしとるぞ、いにしえの娘 




でわな.........




あ、そうじゃ我の天火あまほほこお主盗んでるであろう。手癖の悪い巫女じゃ




 


まぁよい餞別じゃ 考えて使え あれは強烈じゃぞ  今度こそ でわな




そう言って、勝手に出現し、勝手に焼き尽くし、勝手に喋りつくした挙句に楽しそうに消えていった




「全く、なんなんだよ.........どいつもこいつも」




「でも、助かった」




ナズナは考える気力は今は無かった。へたり込んで動けなくなる前にすぐにその場から退散した

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