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神代セリカへの崇拝 少女Aの証言

―― 私の世界が壊れた日


私には、もう希望なんてなかった。




貧しい家に生まれた私は、両親の稼ぎだけでは家族が食べていけずに、学業の傍ら必死にバイトをして家族を支えていた。


誰にも頼れなくて、笑われるのも、バカにされるのも、全部、耐えて。




それでも、弟や妹達もかわいいし両親はいつも"ありがとう”と言ってくれるので、わたしは大変であるが幸せを感じていた、又、進学などの希望も持っていた。




それなのに。




私は、だまされた。




優しい言葉を信じた私がバカだった。


下衆な男の言葉に惑わされ、売られてしまい引き返せない傷を負った。




一生消えない、そんなものを。




夕暮れの街で、私はうずくまりながら涙が出なくなるほど泣いた、こんな状況なのに誰にも相談できず、人の往来の片隅でただ一人、声を押し殺して泣いていた。




人通りのない裏通り。


この世に希望なんてない、すべてが甘い作り話と思ってた。




そのとき──




「どうしたの?」




声をかけてきたのは、一人の少女だった。




美しく、儚く、それでいて、この世のものとは思えない優しい声と存在感を持つ人。




──神代セリカ。




―― セリカとの出会い


彼女は、そっと手を差し伸べてくれた。




私は怯えた。


また、誰かに騙されるんじゃないかって。




でも、セリカさんの瞳は、誰よりも優しかった。




私は、どのみち誰に話そうが何も変わらないのだから、この神秘的な存在に託したくなった。




そして、すべてを話した




「ねえ、教えてくれる?


あなたにこんなことをした奴、どこにいるの?」




私は首を振った。




セリカさんまで巻き込みたくなかった。




こんな綺麗な存在を下衆男に近づけたくなかった。私の悲しみを誰にも味わって欲しくなかった。




でも、彼女は微笑んだ。




「大丈夫よ。私に任せて。」




……私は、負けた。その言葉には根拠のない絶対を感じるからだ




私は、震えながら、その男のいる場所を案内した。




―― 「未来」を見せる人


男は一見、普通の大学生だった。




いい大学に通い、金持ちの家に生まれ、遊びとストレス発散だけのために、"私達弱者"を食い物にした。




セリカさんは、その男に近づいた。




「あなたは、きっと、これからも全部うまくこなしていくのでしょうね。」




男はニヤつきながら肩をすくめた。




「へえ、わかってんじゃん。」




セリカさんは続けた。




「たくさん楽しんで、人を道具みたいに一時的な快楽の踏み台にして、遊び惚けて……。


それでもいい会社に就職して、綺麗で優しい奥さんを貰って、子供もできて、出世して、それなりに成長しましたよと良い物語の様に語り、他人に説教なんかしちゃったりして、それで年老いて、孫たちに囲まれて、幸せそうに死ぬ。」




そういいながら、セリカさんはゆっくりと彼に近付いた




「ああ? どうした、遊びたくなったのか? 俺と? ギャハハハッ」




男が下品に笑い、セリカさんに顔を近づけた。




その瞬間だった




セリカさんは、人差し指を出し、男の額に、そっと当てた。




沈黙..........




数秒後、男は、阿鼻叫喚と言わんばかりの絶叫をした。




意味もわからず、悲鳴を上げ、地面に転がり、放心し、また叫んだ。




数分後、ようやく正気を取り戻した男が震えながら叫んだ。




「な、なにしやがったぁぁぁああ!!!!!!!」




「クソォォォォ!!!!!幻覚なんか見せやがって!!!どうやりやがったクソ女!!!!???」




セリカさんは、静かに答えた。




「いいえ、現実よ。


──今のはあなたの死後を見せただけ」




「私は死後がみえるの。人に見せる事もできるわ」




男が唖然とする




「別に怖い事をしたんじゃないのよ?ただ、ありのままの未来を見せただけ。それが怖いなら、あなたの行いの自己責任じゃない?」




「そうそう、今のはね、ほんのあらすじよ。実際はもっとリアルで痛みも伴うし、比にならない程にね♡」




「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!いやいやいやいやいやだぁぁぁぁぁ」




男は顔を真っ青にして逃げ去った。




「下品な馬鹿。自分が恐ろしい時だけ過剰に騒ぐのよね、"ああいうやつは"」




―― セリカの理想


私は、セリカさんを見上げた。




まるで、天女みたいだった。




彼女は、私の髪をそっと撫でながら言った。




「あなたは、綺麗よ。何も気にする必要はないわ。」




「……でも……!」




「あなたは、普通に頑張って暮らしてただけ、悪意に巻き込まれただけ。自分から不幸に飛び込んで、被害者ヅラをするような人種でもないじゃない」




私は泣いてしまった、目の前の高貴な存在に全てを肯定されたような気がして。




「私は、貧乏で、賢くも無いし、見た目が良い訳でもないんです。せめてもの誇りみたいなものも"あいつ"のせいで汚されてしまって......」




「大丈夫。


この世界の成功なんて、ほとんど意味を持たないの。」




「どれだけ成功しても、どれだけ金や地位があっても、それは綺麗なことの証明にはならない。」




「自分は優れていると思い込んだケダモノ達はそれを勘違いしてるのよ。」




セリカさんは、優しく笑った。




「私の夢は──平等よ。」




「この世の片隅で咲いている、美しい花たちのために。」




「陽の当たらない存在たちのために、理想の世界を作るの。」




「ケダモノたちには、ケダモノたちの世界を。」




「私は、全員、救ってあげるわ。」




「私は、優しいのよ。」




―― そして、私は


私は、涙を流しながら、心から思った。




──この人に、ついていきたい。




神代セリカ。




私の女神。




私を救ってくれた、たったひとつの光。

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