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存在していなかった学校

──── そのメッセージは、ナズナのSNSのDMに届いた。


送り主は不明。アカウントはすでに削除済み。


残されたのは、一本のキャッシュリンクと、たった一言のテキストだった。




「僕がいた学校を、調べてください。」


リンク先の動画は既に削除されていた。だが、ナズナは過去のネットワーク層からキャッシュデータを逆追跡し、再生に成功する。




そこには、ありふれた教室のように見える空間。けれど、違和感は最初から潜んでいた。教師は同じセリフを繰り返す。生徒の顔はマネキンみたいで、どこか“描かれたように”見えた。廊下は延々と続き、窓からは“作られた明るさ”だけが差し込んでいる。




──── ナズナは調査を開始した。


最初に向かったのは、かつてその学校が“存在していた”とされる区域だった。だが、そこには何もなかった。ただの雑草と鉄条網、建設予定地の看板すらない。それは「廃墟」ではなく、「存在していた痕跡すらない空白」だった。




周囲の住民に聞き込みをしたが、口を揃えてこう答えるだけだった。




「そこはずっと更地だったよ。何十年も、何も建ってない。」


不思議な事に建築台帳にも、教育機関データベースにも、該当する設立申請や登記履歴は存在しなかった。その空間に、「学校があった」という法的証拠も構造的履歴も、一切残されていなかったのだ。




だが、それでも調べるとSNSでこの学校について話している子供が確かにいた。「確かに通っていた」と証言しているが誰にもまともに取り合ってもらってはいなかった。その語り口は生々しく、記憶の改竄や催眠では説明がつかないほど、鮮明だった。




「何ヵ月もいたんですよ。ホームルームもあって、席も決まってて……


毎日、誰かと話してた。先生の声も覚えてます。制服だって、確かに着てた。……あれ? どこに……」


証言はある。だが、物証はない。校章も写真も、卒業証書も、教科書すら見つからない。




──── ナズナは仮説を立てた。


ナズナは過去に聞いたことがある事案を思い出した




これは「異常存在を封じ込めるための空間」かもしれない。


──人間によく似た“なにか”を、閉じ込めるためのシミュレーション。


学校という空間は、社会的に“反復と秩序”が強化された場である。時間割、授業、休み時間、号令──それらは個人の変化を最小限に抑え、“同一性”を育てる。




その構造を利用すれば、特定の存在──たとえば、“この世界に属さない”何者かを、日常という幻に繰り返し囚え続けることができる。




それは学び舎ではなく“現実に溢れた異物”を、記憶という檻に幽閉する結界......そこに現実の子供たちが紛れ込んでしまったのかもしれない


ナズナはそう考える......答えを出す必要は無いのだ、依頼人も報酬も無いのだから




──── そして、最後に。


“Classroom_404”──それは、誰にも思い出されないまま、


いまもどこかで“終わらない授業”を繰り返しているのかもしれない。


いや、違う。抜け出した生徒もいるなら、そのバグホールがあるはず、それか特定の条件プログラムか......抜け出してはいけない存在がきづかないといいが........

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