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光の女王 ルミエール

光の女王ルミエールと最果ての人ラスナ


――魔導の世界、天光の塔・最上層。




◆ 光の女王・ルミエール 自己紹介


私はルミエール。光を統べる王女であり、魔導世界の守護者。


この世界にある、あらゆる光は、私の元から生まれ、そして循環している。




光の宮廷には千の鏡と万の星が集まり、私はそこから世界のすべてを見守ってきた。




今、世界が変わろうとしている。闇は打ち払われ、光を求める声が前よりずっと多く聞こえている。


……そう、たとえば“ナズナ”という異分子もその変化の潮流の一つ。




私の光は、闇を照らし、混沌を調整し


すべての迷える者達を、正しき未来へ導くためのもの──そのためなら、私だって動く。


責任? それもある。でも、それだけじゃない。




……私がそうしたいの




天光の塔。その名が示す通り、この塔は“天の光”を集め、世界中に循環させる巨大な塔である。


塔の中は純白と黄金の光に満たされ、床は光の結晶で舗装され、壁は過去と未来の記憶を織り込んだ透明な紋章文で彩られている。




ここに立つ者は、ただの王ではない。




光の女王──ルミエール。




真っ直ぐな意思を込めた瞳は、万象の流れすら照らすようだった。




「……世界が、変わり始めてる。」




静かに紡いだその言葉に、空間が呼応するように震えた。




塔の大扉が音もなく開き、漆黒の外套を纏った一人の女性が現れる。




魔導の世界を統べた者、琥珀の英雄や最果ての人として彼女の名は知られている。


その存在は神話と伝承の間に確かに刻まれていた。




最果ての人、ラスナ。




「ふむ。ルミエール陛下、遅ればせながら、魔導の勇者ラスナ、ここに見参致しました。」




落ち着いた声。だがその奥には、いかなる災厄をも斬り伏せた者だけが持つ静かな圧があった。又、どこかの老体の国王の様に喋るが、その見た目は長くて綺麗な黒髪、緑の宝石のような瞳、端正な顔立ちのスラっとした女性だ




ルミエールは振り返り、少しむくれたように口を尖らせる。




「来るのが遅い、遅刻ばっかりで勇者らしくない。待ちくたびれたわ!」




「くく、これは手厳しいな。だが、“最果て”はそう簡単に越えてこられる場所ではないゆえに。」




「その他人行儀の喋り方やめて!前みたいにもっと....こう....」




ルミエールは口ごもる




「わかった、ルミエール。そう拗ねるでない。しかしなんじゃ、そなた変わっとらんの?ハハッ まだ可愛らしい姫君みたいじゃ」




ルミエールはプンプン膨れ上がりながら足踏みをしだし、ラスナの足を踏んずけて睨む。ラスナも勘弁してくれという風にウインクする




「……まあ、来てくれてよかった。あなたには、どうしても話しておきたいことがあるの。」




ルミエールの瞳は真剣だった。


その熱に触れたラスナは、黙って彼女の隣に立った。




「話せ。私にできることならば。」




「“魔王の成れの果て”が、倒されたの。」




「……ほう?」




「直接倒したのは、異世界の存在。しかも魔を持たない種族の“ナズナ”という、女の子よ」




ラスナの目が細められる。




「魔を持たぬ種族で、その名は……我の妹姫と同じではないか!んん......間違いない.....あの世界でそんな芸当のできる気配のあるやつらなんぞ限られておるからな.........やりおったか........やはり世界とは全く奇妙じゃ ハハっ」




「ん!?ラスナ.....なんで、ナズナの事を知っているの??」




「いや、まあ....その.....色々あっての、会いに行って少し話して、魔導を授けただけじゃ。これ程までに使いこなすとは、あっぱれじゃ。姉として鼻が高い」




「そうね.....さすが、あなたの....ってちがーーーーう!!!あの世界の存在に魔導を教えちゃうなんて信じらんない!ホントあなたって人は」




「まぁ良いではないか、そう怒るな。もしや、あやつ、とんでもない存在になるやもしれんぞ?先行投資じゃ」




ラスナは自分の事の様に満足げに語り、ニンマリ笑った。それを横目にルミエールは呆れた顔をする、幾度となく繰り広げられてきたのだろう、こういうやり取りは二人のいい意味での相性の良さが伺える




ルミエールも思う、確かに魔導を授けただけで魔王の成れの果てを倒してしまうなんてのは規格外過ぎる、それも短期間なら尋常では無い。この世界では何世代もの人達が知識を積み重ねて、それを用いて束になって、戦っても相手にすらならないのに




ルミエールは天井を見上げ切り替える。


そこには、いくつもの世界の星図が軌道を描いて回っていた。




「世界が、潮目を迎えてる。今がチャンスかもしれない。新しい光が必要なの。私は……全てを光で埋め尽くしたい。」




「ふむ。」




ラスナは腕を組み、少しだけ目を伏せる。




「それは……闇の否定か?」




「そうかもね......でも、"何かが"信じる光を間違ってると決めつけたりはしない。ただ……これ以上、無垢な世界や命が飲まれていくのを私は許容できない。」




ラスナは目を細めた。




「ナズナは反応してる。あの子は無意識に過去の声を感じ取ってる。それに導かれるように、様々な障壁とぶつかり、その度に遙に過去より強くなっていってる


まるでいつか来たる試練に適応するためかのように


そして、このタイミングで──セレノヴァが、あの世界の近くをうろついている。」




ラスナの表情がほんの一瞬だけ強張った。




「あやつ……まだ、彷徨っているか。」




「ええ。あなたの手を振り切って逃げたあの時から、姿は見えないけど……


気配だけは、薄く、断続的に感じるの。しかも、あの世界の近くで。」




「人間界か……あそこは非力な上に、とても恵まれた世界。干渉するにはうってつけだ。」




ルミエールは頷く。




「あなたが居たからこの世界は防げたけど、セレノヴァはただの竜じゃない。大抵の存在は敵うわけの無い存在よ


もし出現すれば、ナズナの世界は……持たない。」




ラスナは腕を組んだまま、ゆっくりと天井を見た。




「それと......もう一つ」




ルミエールはさらなる脅威を語るのを少し躊躇する




「……イシュファール。」




空間が一瞬、わずかに揺れた。




「気配だけ。でも確実に、奴は何かを始めてる。


しかも、今回は“魔術”を介してではなく……もっと原始的な、世界構造そのものを弄る方法で。」




「……あやつが動き出すのは不吉じゃな。」




「きっと、イシュファールも感じ取ってるんだわ、全ての世界の潮流が変わり始めている事、ナズナと同じく過去の声を聴く者として、それと過去の世界の終焉の理由を知る者として」




ラスナは、微かに息を吐いた。




「……確かに、“仕切り直し”の波だな。


それに抗えるかどうか、それが試されているのかもしれんな。」




ルミエールは目を強く見開き、言った。




「だから動くのよ。ナズナ一人に背負わせるには、あまりにも重すぎる。


それらの脅威以外にも沢山の未知の闇が潜んでいる。今後、私達の世界も、いや、全ての世界自体が無事な保証は無いの。だから、他人の振りなんてできないわ........」




二人の間に少し沈黙が流れる




―――もう、決めたの、私はあの世界へ行くは




ラスナは、しばし無言だった。


やがて、唇を開く。




「……ナズナ。彼女は変化の中心にいるのだな?」




ルミエールは、目を伏せて言った。




「そう、全ての世界が光に進むための因果の中心」




ラスナの目はいつの間にかとても鋭くなっており、覚悟を決めたような顔でこう言った




「……ならば、私も同行しよう。」




その言葉に、ルミエールの表情が一気に明るくなる。




「本当に?」




「ああ。だが──」




ラスナは少し顔を近づけて、意地悪く笑った。




「お主、我も絶対に一緒に来てくれるって考えてたじゃろ?」




「ち、違うわよっ!? ただ……まぁちょっとひとりじゃ心細い事もあるかなーって……」




「ふむふむ、“心細い”と。“気高き光の女王”様が、こんな愛らしい姫だったなんて。これはこれは──貴重な資料だ。」




「こらぁああああ!!」




ルミエールが光の杖を振ると、空間がぷるんと震え、ラスナの足元に小さな光の爆弾がぽんっと落ちた。




爆発は……しなかった。




「……ふむ、威嚇か。可愛いもんだ。」




「もうっ……! ほんと、あんたって……!」




ルミエールは頬を真っ赤にしながら、くるりと背を向ける。




「とにかく、行くわよ。人間界へ。ナズナに会って、世界を救うの。」




「了解した。」




ラスナは微笑み、手をひらりと動かす。


すると空間が割れ、眩い光の通路が現れる。




その先は──まだ何者の手にも染まっていない“人間界”だった。




「さあ、行こうか。“光の女王”と“最果ての人”の再臨だ。」




「え.....ちょ.....今から!?...準備は????えーーーー!!!」




「……怖くなったっか??? ハハハっ!!!」




「黙れぇぇぇえっ!!って、あああぁぁぁーーー」




空間の裂け目へ、ルミエールはラスナに抱きかかえられ飛び込んで行った。




──光の女王と、最果ての強者が、世界の均衡を救いに行く。

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