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ヴァルミエ VS 総一郎 正と負の戦い

ヴァルミエ VS 総一郎 正と負の戦い


ニュータウンは、壊れかけていた




ビルの間を吹き抜ける風が、不吉に唸る。遠くで、怪物の吠える声。爆発音。断末魔のような都市の旋律




その中心に立つもの──ヴァルミエ。仮面の存在。




血塗られたバイオリン型の剣を携え、黒いマントをなびかせながら、沈黙の王は、街の痛みを編み上げていた。




彼の周囲は、まるで空気すら引き裂かれたかのように、「音」そのものが歪んで消えていく。




恐怖、怒り、嘆き、絶望。それらの音はヴァルミエの"糧"だった。




「ククク……いい音だ……小僧……この街の苦しみ、悲しみの旋律は……美しいと思わないか?」




ヴァルミエは、生き物のようにうねるバイオリン剣を振るい、街の破壊音を伴奏にして歪なメロディを奏でる




街は、今や彼のための楽器に成り果てていた。




──そのとき。




「やめろ。」




小さな声だった。しかし、その一言は、都市の喧噪すら割るほど、静かで、澄んでいた。




ヴァルミエは凝視する。この異常事態でも微動だにせず、仲間を逃がし怯える事無く自分より遙に格上の存在に立ち向かう、遙木 総一朗を




小柄な体躯。だが、確かにそこには純粋な光の旋律が宿っていた。




第二章|痛みを受け止める者


彼の背後には、ナズナたちがいる。守るべき仲間たち。この街の人々。そして、まだ消えていない無数の小さな未来。




彼は、心を研ぎ澄ます




怒りはない。憎しみもない。絶望も、ない。




あるのは、ただ──




「守りたい」という、まっすぐな願いだけだった。




ヴァルミエは嗤う。




「何もできない人間風情が……ましてや、怒り、憎しみ、絶望を糧とした力もお前には感じられない……そんな空っぽな器で……我にどう抗うというのか……?」




だが、総一朗の目は揺れない。




静かに、だが確かに、彼の周囲に「世界の痛み」が集い始める。




街の悲鳴。人々の涙。ナズナの恐怖。すべてが、総一朗の胸に流れ込み、そして──




剣に変わった。




--------------------------------------------------


総一郎の能力を真に知る物は皆無だった。




ナズナ自身もかつて、彼について調べたが世界の悲しみの為にとある神器に"己の身を捧げ"非人間の存在になった穏やかで優しい青年とぐらいにしか思っていない




--------------前まではそうだった----------------




彼の純真な心が因果に引き寄せられ、山奥の神器と出会い"膨大な負のエネルギーを安らぎや静寂の正のエネルギーに変換できる器となった。これに許容制限は無い。概念的にはこれ程までに素晴らしい能力は無い、純粋な光そのものなのだから。




しかし、物理的には彼は何も変わっていなかったのだ......前までは




ある時、ナズナは総一郎にせがまれて、超現実的能力を付与するチップを彼の手首に打ってあげた。彼は超能力という響きが無性にかっこよく感じ(まるで少年の様に)ナズナに頼み込んだ。




普通なら絶対渡さないが、総一郎はどう考えても悪用する器ではないのと、そのポテンシャルを評価してたからだ




「ナズナさーん、どんな能力にしましょーかねーー(ワクワク)」


「そんなの、決められないよ?初めからその人の特性に由来するんだから。君なら負を正に変える何かになるんじゃないかな?」


「なんか難しいっスね ハハっ 、でも......人の悲しみとか苦しみを助けてあげられる、守る物があるほど強くなれるとかの能力ならいいなぁーーー......」




「君らしいな.....」




故に覚醒した能力、彼に負のエネルギーが伝わるほど強くなる、これはヴァルミエの人の感情などの旋律を武器に変える能力に似てる。しかし総一郎はそのエネルギーに誰かを守りたいという信念を掛け算し、それを具現化することができる......その具現化された物質は場合によれば神器を超えてしまう




-----------------------------------------------------------


それは、血塗れでも、汚れた旋律でもない。




──痛みを、優しさに変えるための、神聖な剣。




総一朗は、その剣をゆっくりと握りしめた。




ヴァルミエは、はじめて小さく身を引いた。




(この気配……この音……何者........)




第三章|旋律と刃


激突は、一瞬だった。




ヴァルミエのバイオリン剣が唸り、空間を引き裂きながら、総一朗へと襲いかかる。




総一朗は、無駄な力みもなく、ただ祈るように剣を振るった。




衝突。轟音。地鳴り。




その瞬間、都市全体の音が止まった。




世界が、呼吸を忘れる。




ヴァルミエの剣は、破壊と絶望の旋律を奏で、総一朗の剣は、痛みを受け止め、光へと変換する。




力と力の均衡ではなかった。「絶望」と「祈り」の戦いだった。




ヴァルミエは叫ぶ。




第三章|旋律と刃(続き)


ヴァルミエは叫ぶ。




「なぜだ?なぜ逃げぬ?」




総一朗は応えない。




彼はただ、静かに剣を構えた。




──守りたいものがある。ただそれだけだ




総一朗の剣が振るわれるたび、周囲の空気が柔らかく波打つ。




街の恐怖に震える心が、 絶望に沈みかけた光が、総一朗のもとへと吸い寄せられていく。




彼はすべてを受け止めた。




怒りも、悲しみも、嘆きも。




──そして、それを"守る力"へと変えた。




ヴァルミエは猛然と斬り込む。 バイオリン剣が赤黒い音を放ち、世界そのものを裂こうとする。




だが、総一朗の剣は、




──すべてを赦すかのように、それを受け流した。




金属と金属がぶつかる音ではない。 それは、ひとつの祈りだった。




光が総一朗を中心に広がり、 ヴァルミエの絶望の旋律を、ひとつずつ静かに消していく。




ヴァルミエの仮面が、かすかに軋んだ。




第四章|決着、そして光


総一朗は、一歩踏み込んだ。




ヴァルミエは即座に反応する。 バイオリン剣を振りかざし、 轟くような負の旋律を叩きつける。




斬撃と共に、赤黒い衝撃波が走る。 ビルの外壁が抉れ、舗装されたアスファルトが裂けた。




しかし──




総一朗は動じない。




彼は、剣先をわずかに傾けただけだった。




バイオリン剣の一撃を受け止め、 そのまま流す。




空間を切り裂く暴力的な旋律が、 総一朗の剣に触れた瞬間、柔らかにほどけ、霧散した。




「……ッ!!」




ヴァルミエの顔がわずかに歪む。




続けざまに総一朗は踏み込む。




剣を水平に薙ぐ。 重さも速さもない、ただ自然な動き。




だが、それだけで、ヴァルミエの体勢が崩れる。




仮面に小さなひびが走った。




ヴァルミエは叫ぶ。




「貴様ァァアア!!!」




再び剣を振る。 今度は四方八方から負の音波を発する乱舞。




絶望、悲嘆、怒り── あらゆる負の感情が混じり合った圧縮波が、総一朗を包囲する。




今までなら、これを受けた者は必ず崩れ落ち、 絶望に沈み、彼の旋律の一部となった。


だが総一朗平然と立ち尽くし、ただ一度剣を振った。




その刹那。




彼の剣から広がった波紋が、 すべての負の音を打ち消した。




音のない衝撃。


静寂の中で、ヴァルミエの剣が震える。




仮面に、二本目のヒビが走った。




ヴァルミエは、今度こそ悟った。




(負の感情では──この男には届かない!!)




「ふざけるなああああああ!!!」




狂ったように突進する。




バイオリン剣を乱暴に振り回し、 空間を削りながら総一朗へ突っ込む。




だが──総一朗は、わずかに剣を返しただけだった。




カンッ。




軽やかな音。




ヴァルミエの剣は軌道を逸らされ、 体勢を崩し、よろめく。




そして。




総一朗は、静かに一歩踏み出す。




ヴァルミエ目掛けて、 まっすぐに剣を突き出した。




仮面に、三本目のヒビが走る。




砕け散る寸前。




ヴァルミエは、はじめて──震えた。




(なぜだ……なぜ……俺は……負ける……?)




総一朗は何も言わない。




ただ、優しく。 ただ、静かに。




「守りたい」と願った。




その願いだけが、ヴァルミエの絶望を超えた。




──次の瞬間。




総一朗の剣が、 ヴァルミエの仮面を貫いた。




音もなく、光もなく。




仮面は、 ──静かに、崩れ落ちた。




焦燥。理解不能。恐怖。




──異界では王と呼ばれた存在が、人間に、敗北した瞬間だった。




総一朗は、ゆっくりと剣を掲げた。




彼の剣は、もはや単なる武器ではなかった。それは、この街全体の「想い」だった。




総一朗は、一歩踏み込む。




バイオリン剣が鳴き叫ぶ。血塗られた旋律が、悲鳴を上げる。




だが総一朗の剣は、迷わない。




静かに、まっすぐに、ヴァルミエに突き刺さった。




──そのとき祈りが届いた音がした




仮面の存在は、声もなく、旋律もなく、静かに──消えた。




ヴァルミエが消えた後、空には、ただ澄んだ静寂と、微かな光の粒だけが、漂っていた。




総一朗は、剣を静かに降ろした。




「君にも光がありますように」

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