オチが完璧な面白話!
オチが完璧って言ったからって、先に最後の方読まないでくださいね?
――なんでここにいるのかは忘れた。今俺が何歳なのかも知らない。ただ魔王を倒すために。
俺の名前は……何だっけ?小説でいつも書かれてるようなあいさつをしようにも、自分の名前すらも覚えていない。
いつから忘れたのか、そもそもそんなものなんてなかったのか。でも一度、記憶喪失か医者へ行ったが特に問題はなかった。
とにかく俺は【リベンジ】というスキルを授かったらしい。このスキルを所持しているとHPが0になっても死なない。
HPが0になったら自分の拠点の宿に戻るだけ。俺自身に傷が残ったりしないが、装備や武器についた傷は元に戻らない。
もちろん壊れたものは壊れたまま。それでも、十分に強いスキルだってことは自分が一番よく知ってる。そして、恐ろしいものであることも。
俺は目的地の方へ歩きながら思い出した。
――何度目かの魔王城攻略の日。俺達のパーティーは、やっとの思い魔王城最上階へ到達し、魔王と戦った。
あの時一緒に戦った、パーティーメンバーは……もう一人たりともここにはいない。でも、もし俺が単独で魔王討伐したら彼らの耳にも入るだろう。
俺はそう信じて今までLevel上げに励んだ。時には一度Level1からやり直した。
【リベンジ】を授かる前の最初のクエストは、薬草摘みだった。そういえばクエストを始める時期は、みんな大体一緒だったんだよな。
いま思えば、それも薬草摘みがなかなか進まない原因でもあったかもしれない。とても骨が折れる作業ではあったが、摘んでる途中に魔王討伐のパーティーメンバーの1人とも出会えた。
他にも困ってる人のお手伝いをしたり、迷子猫をさがしたり…。【リベンジ】を授かってからは魔物との戦闘を行った。
最初はもちろんスライム。剣で核を素早く突く。スライムなんて余裕じゃん?と思うだろうが決して簡単ではない。
スライムの核を素早く突くことができなければ…そう、剣がどんどん溶けていくのだ。剣はあの頃のお財布では、とてもじゃないが厳しい値段だった。
剣が溶けないように必死でスライム倒しに励んだっけ?純粋に、強くなりたいと思い始めたのもこの時だったなぁ。
ぼんやりと空を見上げながらも目的地まで足は止めない。ゆっくりではあるがその場所には確実に近づいていた。
スライムがたくさん湧くスポットが見えてきた。久しぶりにここを見たが、今でもたくさんのスライムがいるようだ。
「初心に帰ってスライム狩りでもするか。」
俺はきらびやかに装飾されたロングソードを鞘から出した。チャキッという音を立てて出したそれは、柄の部分に大きな3つの宝石が嵌っていた。
柄を握ると金属のひんやりとした感覚が伝わってくる。刀身には自分の顔が映っていた。
「よし、やるか。」
急に別の生物になったかのように男の雰囲気は変わっていた。トンットンッと、軽くジャンプをしている。
ダンッ。俺は走り出した。鍛え上げたスピードと、正確無慈悲な剣捌きでスライムをあっという間に片付けていく。
トップスピードのまま、振り下していく剣は、的確に核を貫いている。初心者だったころの面影はどこにもない。
「こんなもんか。」
俺は、辺りにスライムがいなくなったので剣を鞘に収めた。しかし、今度はコカトリスの群れがやってきた。
群れとはいっても5匹くらいか。前に、結構苦労した時もあったけど、今なら余裕だ。
俺はすぐさま多重復唱を始めた。長めの詠唱を唱えている間にもコカトリスは襲ってくる。
片手では魔法陣を描きながら。もう片方で全ての攻撃をいなしつつ、隙があれば一撃をいれる。
まさに、究極の剣捌き。これ以上など想像もできない。これが人間の限界なのではないか?
そう思ってもまだまだ強くなる。こんな人間いてたまるものじゃないだろう。
よし、詠唱が終わった。あとは…
俺はコカトリス全体がどこにいるのかをさっと見渡した。よ〜し。準備完了!
気づけば放たれていた魔法がコカトリスに直撃した。速すぎる。
炎魔法、雷魔法、氷魔法、光魔法、闇魔法、それぞれ違う種類の魔法が全体に直撃した。
ん〜、終わりか〜。多重復唱したからなぁ。ま、しなくても余裕だったけどね。
剣よりも魔法の練度が低いからなぁ。若干だけど、そこを突かれないようにしないとな。
男はまた、歩き始めた。
――それからも、出てくる魔物を最速で倒していった。どんどん敵が強くなっていくが、疲れなど微塵も感じさせない戦いで突き進んでいく。
そして、ようやくやってきた。
「やっとかぁ。今回は絶対、勝てると思うけど、油断はしない。」
男は、顔をパシッと叩いて気合を入れなおし、大きく禍々しい黒いドアを開けた。
おっ、やっぱりまだいた。
「こんにちは、魔王さん。また会ったね。…今回は前とは違うぜ?」
魔王の顔は引き攣っていた。そして、呟いた。
「なんで魔王に生まれたからって…。」
今の魔王には、もう誕生した時の邪悪さはない。ただ、何度殺しても復活してくる。その度に強くなる。
そんなやつが自分の命を狙ってくる恐ろしさ、恐怖。まさに理不尽。
「ウワァァァァ――」
「――よしっ!!」
ゲーミングPCの前で、1人の少年が嬉々としてガッツポーズをしていた。少年は前人未到の単独完全攻略を果たしていた。
「さすがに単独攻略は難しかったなぁ。パーティーでは一発で討伐できたけど、さすがにLevel1から1人でやり直すと時間がかかるか。」
少年は頭の中であれこれ考えている。さすがは天才ゲーマーといったところか。
「このゲームのいいところはLevelリセットすると魔王が復活するとこだよな。」
ゲーム画面では、魔王を単独討伐した男を過去ともに1代目の魔王を倒した仲間たち、パーティーが盛大に迎えていた。
彼らはもうここにはいない。そう言ったけど死んだとは言ってない。俺が単独攻略したいと言っただけだ。
どうでしたか?
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