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一食 堀越と宮越

「次回作、次回作」

 堀越耕平は呪文を唱えながら、吸い込まれるようにステーキ宮へ足を運ぶ。

「あ、堀越先生」

「やあ、いつもの頼むよ」

「はい」

 堀越は空いている席に着き、思考を巡らせる。案外こういう時に良いアイデアが浮かんだりもする。所謂リラックス状態にアルファ波が出やすいというアレだ。

「ウンコを高速で投げる個性とかどうです?」

「いや、汚いよね君の発想」

「ふたなりヒーロー出して下さいよ」

「出さないよ。少年ジャンプだよ? ヴィランじゃんそれ」

「個性放尿のヒーローとか」

「いや放尿した時点で捕まるじゃん。だからヴィランじゃん。だから少年誌だって。君の発想はほぼほぼ汚いな」

「ちぇー」

 宮越店員はいじけてしまう。堀越と宮越でホリミヤなのだろうか。別に堀越が攻めとかいう意味ではない。BL的な意味ではない。そもそも宮越は

「君、女性だよね?」

「当たり前だのゴムゴムの戦斧じゃないですかー」

「いや、あまりに発想が汚いから」

「あー、セクハラー」

「いや、君のがセクハラっぽかったけどね。下ネタ言ってるのほぼ君だったし」

「おっぱい揉みます?」

「そういうのはラノベだけにしてくれー」

 堀越が「オールマイトー」と助けを呼ぶと、店長が

「私が来た‼」

 と来たがすぐに職務に戻る。いや、それをやりたかっただけだ。

「堀越さん、えっちなイラスト下さい」

「いや、君ホント女性だよね?」

 と言い、堀越は紙にさらさらと描く。セクシーなデクを。

「いや、こういうんじゃないんだよー」

「まあ分かるけど、こんなとこでそんなのなかなか描けないよ」

「もっとチンコとかマンコとか」

「いや性器は駄目でしょー」

「マンコも?」

「むしろマンコが駄目でしょー」

「でもお茶子って確か女性器名……」

「おおっと、そこまでだ」

 これはまずい流れと察した堀越は、宮越の言葉を遮る。

「お茶子のおちゃこ描いて下さいよ」

 そして堀越は紙にお茶子のおちゃこがお茶子になっているお茶子を描く。

「こういうのじゃないんですよー」

「いや、分かってるけど描ける訳ないじゃん」

 宮越の変態性に呆れる堀越だが、熱心なファンがいるということは有難い。ありがとう、ヒロアカ。大好き、ヒロアカ。デクがいたから楽しかった。ドジで明るくて優しくて。そんなデクがみんな大好きだったから。これでホリミヤのお話はおしまい。

「次回こそ堀越さんがエロイラストを描くぞ!」

「描かないよ!」

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