第一章 7 『めりり爆誕!!!』
正直言って、こんなの荒唐無稽な話だ。
このイケメン、もとい、スサノオが自称天使なのも、パラレルワールドの存在も、そこに自分がいることも。
全てが理解の範疇を超えているし、なぜ私なのか、なぜ今なのかもわからない。
でも不思議なことに、この世界の存在やスサノオの話を、ありえない!とは思えなかった。
それは、ここがまさに、私がいつもハラハラドキドキしながら旅をしていたラノベやアニメやゲーの中の世界そのものだったから。
もしもこんな世界あったら、そこで思い切り自由に生きてみたい!と、望んでいたから。
まぁ、でもまさか、私が本当にパラレルワールドに転移するなんて。
この世界がどんなものなのか、これからどうなってしまうのか、不安がないと言えば嘘になる。
ラノベやアニメの主人公のように、私はこの世界に馴染めるのだろうか?
ここがパラレルワールドという異世界であること。
これは、納得した。
そうなると、今、一番気になること…
このパラレルワールドに私が居るという事は、元の世界の私は今、どうなっているのだろう?
私「スサノオさん、ひとつ聞いてもいい?」
スサノオ「あ、あぁ、もちろん。答えられる範囲でなら何でも答えるよ。あと、これから僕のことは呼び捨てでいい。」
私「わかった。じゃあ単刀直入に聞くね。あの、元の世界の私って…どうなった?」
スサノオ「あ、うん…すまない。そのことを先にちゃんと話さないといけなかったね。
君はね、覚えてないかもしれないけど、事故にあったんだ。一瞬の出来事でね。君の身体は守れなかったんだ。
ごめん。
魂はとりあえず無傷だったからここに連れてきた。
元の世界の君は、事故で天に召されたということになっているよ。」
私「えーと、なっているって、どういうこと?
普通、命が尽きたら、あの世っぽい所に行くんじゃないの?初めてだからわかんないけど。」
スサノオ「うん、まぁ、普通なら君の言う通りなんだけど…」
急に歯切れが悪くなったスサノオは、困った顔をしてこう続けた。
スサノオ「わからないんだ。
本来君の魂は、ずっと先の未来に旅立つ予定だったから。
あの時、突然肉体と分離された魂は行きどころがなくて、永遠に彷徨ってしまう可能性があって。
急遽ここに転移させたってわけ。
だから、君は、正しくは、天に召されてはいない。
君のようなケースは僕の知る限り初めてで、今、原因を調べているよ。」
私「うーん…、よくわからないけど。
つまり、私の魂が事故で肉体から離れたのはイレギュラーで。
そのせいで、あの世じゃなくてここに転移して。
何故か、私は、特別に、この世界で生き直せるってこと??
それとも、元々イレギュラーな存在の私は、原因がわかったらお役御免で抹殺されちゃうとか?」
スサノオ「え?は???いやいや、抹殺なんてとんでもない!!!
こんなことになって、君には本当に申し訳なく思ってるんだ。
だから、君がここの世界での生活を望むのなら、最大限サポートをするから!!!
もし、君が嫌でなかったら…の話だけど。」
あまりに必死に話すスサノオの顔をみていたら、なぜだか急に笑いが込み上げてきた。
私が抹殺されちゃう心配もなさそうだし、安心したわ。
しかし…どんな表情をしていてもイケメンはイケメンなんだなぁ。
至近距離のイケメンなんて滅多に拝めないし、眼福でしかないわ。
私「じゃあ、もし私が、この世界を拒否して、元の世界で生を終わらせたいって言ったらどうなるの?」
スサノオ「それは…他の魂と同じく天に召される。
天とは、君たちの言うところのあの世だね。そしていつの日か、何者かに生まれ変わることになるだろうね。」
そうなんだ…
あの世か。きっと、両親も、じいちゃん、ばあちゃんもいるんだろうな。
それも悪くない。悪くないけど…
私、まだ、何もしていない。
何もやり遂げてない。
これじゃ土産話のひとつもないじゃない!!!
私「決めた!私はこの世界で生きる!冒険する!
まだ、終われないもの!!!
だから、スサノオ、これからよろしくね。」
スサノオ「えっ?ホントに?!いいの??
あぁーーー良かった…!!
君の決断を歓迎するよ!こちらこそ、改めてよろしく!
ところで、君の名前は?何て呼べばいい?」
私「え??あ、ごめんなさい!私、そういえば名乗ってなかったね。」
う〜ん…名前かぁ…どうしよう?
初めましての世界で、冒険するんだよね。
本名は使いたくないな。これは両親から私へのプレゼントだから、大切にとっておきたい。
だったら、リボーン○○○とか???
いやいやいや、これはダメだ。全然違う!
第一、リボーンって何よ???
中二病でもコレはないわ。
う〜ん…よし!決めた!!あれしかない!
私「私は…私の名前は今日からめりり。
あちらの地球では主婦をしていました。
ラノベやアニメ、コミックやRPGのゲームが大好物です。
改めてよろしくお願いします。」
私の自己紹介に、スサノオが吹き出した。
今日、ここ、パラレルワールドに
めりりが爆誕した!!!
一体どうなることやら。




