第二章 11 『シスコンじゃないから!!』
めりりは素直な性格で、それは良いことではあるけど、ちょっと人の言葉を信じすぎる傾向があるよな。
僕のことは、信頼して貰えてる…と、思う。
その点を加味しても、めりりの素直さは、ちょっと心配になるくらいだ。
さっき、醤油のことを聞かれた時、科学技術がどうとかって説明したけど、あんなに簡単に納得していいのか??
普通、もっと疑問に思わないか?
あまりに素直な反応をされると、僕の方がたじろいでしまう。
嘘はついていないけど、まだ言えてないことがたくさんあるから。
僕は今まで、誰かと深く関わったり、知り合うことをなるべく避けていた。
なぜなら、誰もがあっという間に僕の前を通り過ぎてしまうから。
人や場所に執着しても無駄だと思っていた。
ひとりで生きてきて、それが当たり前だったし、特に感情が揺さぶられることもなかったけど。
めりりといると、調子が狂う。
危なっかしいし、何をしでかすかわからないし。
目を離すのがとにかく心配だ。
見た目は成人…っていっても、大人というより、まだ少女だよなぁ、どう見ても。
で、中身は生まれたてのヒヨコ並。
だから僕が兄役として、ちゃんと見守ってあげないと!
ん?待てよ?
もしかしてこれは束縛か?
それとも、めりりの世界で大流行の、なんちゃらハラスメントとか言うやつか?
構いすぎ?いや、そんなことは断じて無い!!!
と思うが…
いや、どうだろう???
長年、人付き合いを避けてた弊害か、他者との付き合い方の方法とか距離感がよくわからん!!
まだ同居2日目なのに、ウザいとか、ダサいとか、しつこいとか、鬱陶しいとか思われていたらどうしよう?
スサノオ大嫌い!もう、こんな所出ていくから!なんて言われたら…!
それは困る!面倒だから。
それは嫌だ!…ん?嫌?嫌って何だよ?!
シスコンじゃあるまいし!!
これは償いでもあるし?仕事の一環でもあるし?
何より、自分なりの責任の取り方だ!うん。
でもなぁ…めりりは時々泣きそうな、切なそうな表情をするんだよなぁ。
そっと目を伏せて、キュッと唇を結んで。
元の世界を思い出しているのだろうか。
そういう時はどうすればいい?
そっと寄り添う?
いっそ頭ポンポンとか…それは流石にダメだろう。
さっきもそんな感じだったから、思わず自動翻訳機能が〜なんて話しかけちゃったし、僕達の設定とか、思いつくままに喋ったけど…
若干、怪訝そうな顔をしてたよな…何故だ?
でも、まぁ、あの設定は中々いい感じじゃないか?可憐な少女めりりが、実は元貴族のご令嬢とか。我ながらぴったりの設定だよな!
ほら、深窓の令嬢設定なら、多少世間知らずでも理由をつけやすいし?
あ〜でも、めりりは…めっちゃ活発なんだよな。身軽だし、よく動くし。
さっきなんて家具の上によじ登ってて…あれは衝撃的だったな。
一瞬、猿かと思ったし!
いや、冷静にならねば。
設定は、辺境の貴族の末娘これでいく!
めりりもすっごく褒めてくれてたし!
そんなこんなで、めりりも落ち着いたようだし、僕のへんてこ話もネタが尽きたから、お開き〜ってことにしたんだけど。
今度は何やら地図とにらめっこしているぞ。
今日は色々あって疲れただろうから、早く寝ればいいのに。
えーと、何だっけ?女性は『夜更かしはお肌の大敵!』とか言うんだろ?
怪我は魔法で治せるけど、肌荒れには多分効かない…と思う。
やったことないからわからんが。
まさか、僕の仕事が終わるのを待ってるとか?!
…んなことないか。
めりりにはランチの時に話したけど、天使は食事も休息も基本必要ない。
なぜなら、宇宙エネルギーを糧にして生きてるから。
そりゃ大怪我でもした時は、食事や睡眠を摂ることで回復速度が若干早くなるけど。
そもそも、僕、24時間戦える男(天使)よ?
めりりの寝不足が心配だ…
仕事、サクッと終わらせるか。




