表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/10

第9話: 「次元の歪み、世界存亡の危機」

 アストリア王国の危機は去ったかに見えた。しかし、ルシウスの鋭い直感が、さらなる脅威の存在を感じ取っていた。


「この国には、まだ根本的な問題が残されている」


 ルシウスの言葉に、イリスが頷く。


「そうですね。表面的な平和だけでは、真の安定は得られません」


 その時、激しい地鳴りが響き渡った。


「な、何だ!?」


 アルフレッドが叫ぶ。城の窓から見える風景が、徐々に歪んでいく。


「まさか……『次元の歪み』!?」


 オスカーが驚愕の声を上げる。古代魔術の禁忌、世界の根幹を揺るがす現象だ。


「やはり来たか……」


 ルシウスは、静かに杖を構えた。


「兄上、これは一体?」


「簡単に言えば、世界の崩壊だ。長年の魔力の乱用と、人々の負の感情が積み重なってできた歪み。これを治めなければ、この国どころか、世界が消滅する」


 アルフレッドは青ざめた。そんな危機が迫っていたなんて……。


「私に任せてください」


 ルシウスは、城の最上階へと向かった。そこから見える景色は、まさに終末的だった。空が裂け、大地が割れ、あちこちに次元の亀裂が走っている。


「さあ、行くぞ」


 ルシウスは、古代魔術の詠唱を始めた。その言葉は、誰も聞いたことのない響きを持っていた。


「『創世の調和』!」


 膨大な魔力が、ルシウスから放出される。漆黒の光が世界を包み込み、歪んだ空間を少しずつ修復していく。


 しかし、それだけでは足りなかった。


「みんな、力を貸してくれ!」


 ルシウスの呼びかけに、イリス、ゼノビア、オスカーが応える。さらに、アルフレッドやメラニーも加わった。


 そして、驚くべきことに、王国中の人々の思いが、ルシウスの魔法に呼応し始めた。希望、感謝、そして未来への願い。それらの想いが、魔法の力となってルシウスに集まる。


「ありがとう、みんな……」


 ルシウスの魔法が、さらなる高みへと到達する。漆黒の光は、今や祝福の輝きとなって世界を包み込んだ。


 やがて、光が収まると、そこには元通りの風景が広がっていた。しかし、何かが決定的に変わっていた。人々の心に、新たな希望の灯がともったのだ。


「やりました、兄上!」


 アルフレッドが、喜びの声を上げる。


 ルシウスは、疲れた様子で微笑んだ。


「ああ。でも、これは終わりじゃない。新しい始まりだ」


 こうして、アストリア王国は真の意味で救われた。そして、ルシウスを中心とした新たな国づくりが、始まろうとしていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ