第7話: 「追放王子の凱旋、真実の顕現」
ルシウスの帰還は、アストリア王国に激震を走らせた。かつて無能と蔑まれ、追放された王子が、今や世界的な大魔術師として戻ってきたのだ。
「兄上……本当に、申し訳ありませんでした」
アルフレッドが、涙ながらに謝罪する。ルシウスは静かに弟を見つめた。
「過ぎたことだ。今は国を守ることに集中しよう」
ルシウスの言葉に、アルフレッドは感謝の念を込めて頷いた。
城壁の上。ルシウスは、遠くに見える敵軍を見つめていた。
「随分と、大軍だな」
傍らで、イリスが呟く。
「ああ。しかし……」
ルシウスは、静かに詠唱を始めた。その瞬間、空が暗転し、巨大な魔法陣が出現する。
「『漆黒極光』」
轟音と共に、漆黒の光線が敵陣を薙ぎ払った。一瞬で、敵軍の半数が消し飛んでいた。
「な、何てことだ……」
アルフレッドが絶句する。これが、兄の真の力……。
混乱する敵軍に、ルシウスは容赦なく攻撃を加えていく。ゼノビアとオスカーも、それぞれの特技を活かして戦場を制していった。
わずか半日で、侵攻してきた敵軍は壊滅した。
勝利の余韻さめやらぬ中、ルシウスは王城に呼び出された。そこには、老王とかつての重臣たちが集まっていた。
「ルシウス。お前の功績は計り知れない。我々の過ちを……許してはくれまいか」
老王が、頭を下げる。ルシウスは、静かに答えた。
「陛下。私は、この国の人々を守るために戻ってきたのです。個人的な恨みなど、どうでもいいことです」
その言葉に、会場は静まり返った。
「ただし……」
ルシウスは、鋭い眼差しで一同を見回した。
「これからは、実力で評価する社会にしましょう。才能ある者が正当に扱われる国に」
その夜、アストリア王国は、ルシウスを「救国の英雄」として称えた。かつて追放された王子の凱旋。それは、新たな時代の幕開けだった。