第5話: 「英雄譚、その名声世界を駆ける」
漆黒の覇王ルシウスと彼の仲間たち、剣士ゼノビアと錬金術師オスカーの名は、瞬く間に世界中に広まっていった。彼らは各地で起こる難題を解決し、人々を救っていったのだ。
ある日、彼らは海賊に襲われた港町を訪れていた。
「くそっ! また襲撃か!」
港の警備隊長が叫ぶ。海賊船が次々と港に接近していく。
その時、一陣の風と共にルシウスたちが現れた。
「我々に任せてもらおう」
ルシウスが静かに言うと、ゼノビアが剣を抜き、オスカーが錬金術の準備を始めた。
「行くぞ!」
ルシウスの号令と共に、三人は戦いに身を投じた。
ルシウスの強大な魔術が海賊船を次々と撃沈させる。ゼノビアは稲妻のような速さで敵を倒し、オスカーの錬金術が味方を守る。
あっという間に、海賊たちは撃退された。
「す、すごい……」警備隊長は驚愕の表情を浮かべた。「あなた方は……漆黒の覇王と、その仲間たち?」
ルシウスはただ黙って頷いた。
この戦いの噂は瞬く間に広まり、漆黒の覇王の名声はさらに高まった。各国の王や領主たちが、彼らの力を求めて使者を送るようになった。
ある日、彼らは休憩のため、山奥の温泉宿を訪れていた。
「ふう……たまには休むのもいいな」
ルシウスが湯に浸かりながら言った。
「そうですね。でも、これだけ名が売れると、休むのも一苦労ですよ」
オスカーが苦笑いを浮かべる。
その時、ゼノビアが慌てて飛び込んできた。
「おい、大変だ! アストリア王国が攻められているらしい!」
ルシウスの表情が一変した。
「何だって!?」
「隣国のベルガルド帝国が、突如侵攻を開始したそうだ」
ルシウスは湯から上がり、急いで準備を始めた。
「行くぞ。アストリアを……私の故郷を守らねば」
オスカーが心配そうに尋ねた。「でも、あなたはそこで追放されたんですよね? 本当に助けに行くんですか?」
ルシウスは仲間たちをまっすぐ見つめた。
「ああ。私を追放した者たちへの復讐は、別の形で果たす。だが、罪のない民を見捨てるわけにはいかない」
ゼノビアが満足げに笑った。「さすがだな。ついていくぜ、漆黒の覇王様よ」
オスカーもにっこりと笑顔を見せた。「準備はできています。いつでも出発できますよ」
ルシウスは感謝の念を込めて二人を見た。
「よし、行こう。アストリアへ――」
こうして、漆黒の覇王と仲間たちは、ルシウスの故郷へと向かう。彼らの前には、大きな試練が待ち受けていた。しかし、彼らの絆は固く、どんな困難も乗り越えられると信じていた。
アストリア王国での激闘。そして、ルシウスの真の姿が明かされる時。物語は、新たな局面へと突入していく。