第4話: 「真の仲間との邂逅、絆の誕生」
漆黒の覇王として名を馳せるルシウスは、ある辺境の町を訪れていた。彼は仮面の下で、この地に潜む古代魔術の秘密を探っていた。
町の酒場で情報を集めていると、突然の騒動が起きた。一人の女剣士が、酔っ払った男たちに囲まれていたのだ。
「やれやれ、こんな所で騒ぎを起こすとはな」
ルシウスはため息をつきながら立ち上がった。しかし、次の瞬間、彼の目が見開かれた。
女剣士は、?く間に全ての男たちを倒してしまったのだ。その剣さばきは、ルシウスが今まで見たことのないほど洗練されていた。
「なかなかやるな」
ルシウスは思わず声をかけていた。女剣士は彼を振り返り、鋭い眼差しを向けた。
「何か用か? 漆黒の覇王様」
その言葉に、ルシウスは驚いた。仮面を付けているにも関わらず、彼女は一目で彼の正体を見抜いたのだ。
「君は……誰だ?」
「ゼノビア・クレアモント。傭兵団の者さ」
ゼノビアは淡々と答えた。ルシウスは興味を惹かれ、彼女を自分の仲間に誘った。
その日から、ゼノビアはルシウスの片腕として行動を共にするようになった。彼女の剣術と、ルシウスの魔術は完璧な調和を見せ、二人は無敵の コンビ となった。
ある日、二人は古代遺跡の調査中に、奇妙な錬金術師と出会った。
「おや、こんな所に人がいるとは珍しい」
錬金術師は、不思議そうに二人を見つめた。
「君は……?」
ルシウスが尋ねると、錬金術師は軽く会釈した。
「オスカー・ラヴェンダーと申します。古代の錬金術を研究している者です」
オスカーの知識は深く、ルシウスたちの探求に大いに役立った。彼もまた、ルシウスたちの仲間となった。
三人で行動する中、ルシウスは少しずつ心を開いていった。ある夜、彼は仲間たちに自分の過去を打ち明けた。
「私は……かつてアストリア王国の王子だった」
ゼノビアとオスカーは驚いた表情を見せたが、すぐに理解を示した。
「そうか……だからあんなに強い魔力を持っているんだな」
ゼノビアが言った。
「王族の血筋……興味深いですね」
オスカーは目を輝かせた。
ルシウスは胸の内をさらに明かした。
「私には……果たさねばならない復讐がある」
ルシウスの言葉に、ゼノビアとオスカーは真剣な表情を浮かべた。
「復讐か……」ゼノビアが呟いた。「それが君の戦う理由なのか」
オスカーは眉をひそめた。「復讐は人を蝕みますよ。本当にそれでいいのですか?」
ルシウスは黙って二人を見つめた。そして、ゆっくりと仮面を外した。
「これが……本当の私だ」
月明かりに照らされた彼の素顔には、苦悩と決意が刻まれていた。
「確かに、復讐だけが目的ではない。私は……この世界の真理を知りたいんだ。そして、誰もが平等に扱われる世界を作りたい」
ゼノビアとオスカーは、ルシウスの言葉に深く頷いた。
「なら、私たちも力になろう」ゼノビアが剣を掲げた。「あんたの夢、一緒に叶えようじゃないか」
オスカーも笑顔で同意した。「私の知識と技術を、あなたの目的のために使わせてください」
ルシウスは、胸に込み上げる感情を抑えきれなかった。
「ありがとう……本当に」
その瞬間、彼らの絆が真に結ばれた。ルシウスは、初めて本当の仲間を得たのだと実感した。
「さあ、行こう。私たちにはやるべきことがある」
ルシウスは再び仮面をつけ、二人と共に夜の闇へと歩み出た。彼らの冒険は、まだ始まったばかりだった。