表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/10

第4話: 「真の仲間との邂逅、絆の誕生」

 漆黒の覇王として名を馳せるルシウスは、ある辺境の町を訪れていた。彼は仮面の下で、この地に潜む古代魔術の秘密を探っていた。


 町の酒場で情報を集めていると、突然の騒動が起きた。一人の女剣士が、酔っ払った男たちに囲まれていたのだ。


「やれやれ、こんな所で騒ぎを起こすとはな」


 ルシウスはため息をつきながら立ち上がった。しかし、次の瞬間、彼の目が見開かれた。


 女剣士は、?く間に全ての男たちを倒してしまったのだ。その剣さばきは、ルシウスが今まで見たことのないほど洗練されていた。


「なかなかやるな」


 ルシウスは思わず声をかけていた。女剣士は彼を振り返り、鋭い眼差しを向けた。


「何か用か? 漆黒の覇王様」


 その言葉に、ルシウスは驚いた。仮面を付けているにも関わらず、彼女は一目で彼の正体を見抜いたのだ。


「君は……誰だ?」


「ゼノビア・クレアモント。傭兵団の者さ」


 ゼノビアは淡々と答えた。ルシウスは興味を惹かれ、彼女を自分の仲間に誘った。


 その日から、ゼノビアはルシウスの片腕として行動を共にするようになった。彼女の剣術と、ルシウスの魔術は完璧な調和を見せ、二人は無敵の コンビ となった。


 ある日、二人は古代遺跡の調査中に、奇妙な錬金術師と出会った。


「おや、こんな所に人がいるとは珍しい」


 錬金術師は、不思議そうに二人を見つめた。


「君は……?」


 ルシウスが尋ねると、錬金術師は軽く会釈した。


「オスカー・ラヴェンダーと申します。古代の錬金術を研究している者です」


 オスカーの知識は深く、ルシウスたちの探求に大いに役立った。彼もまた、ルシウスたちの仲間となった。


 三人で行動する中、ルシウスは少しずつ心を開いていった。ある夜、彼は仲間たちに自分の過去を打ち明けた。


「私は……かつてアストリア王国の王子だった」


 ゼノビアとオスカーは驚いた表情を見せたが、すぐに理解を示した。


「そうか……だからあんなに強い魔力を持っているんだな」


 ゼノビアが言った。


「王族の血筋……興味深いですね」


 オスカーは目を輝かせた。


 ルシウスは胸の内をさらに明かした。


「私には……果たさねばならない復讐がある」


 ルシウスの言葉に、ゼノビアとオスカーは真剣な表情を浮かべた。


「復讐か……」ゼノビアが呟いた。「それが君の戦う理由なのか」


 オスカーは眉をひそめた。「復讐は人を蝕みますよ。本当にそれでいいのですか?」


 ルシウスは黙って二人を見つめた。そして、ゆっくりと仮面を外した。


「これが……本当の私だ」


 月明かりに照らされた彼の素顔には、苦悩と決意が刻まれていた。


「確かに、復讐だけが目的ではない。私は……この世界の真理を知りたいんだ。そして、誰もが平等に扱われる世界を作りたい」


 ゼノビアとオスカーは、ルシウスの言葉に深く頷いた。


「なら、私たちも力になろう」ゼノビアが剣を掲げた。「あんたの夢、一緒に叶えようじゃないか」


 オスカーも笑顔で同意した。「私の知識と技術を、あなたの目的のために使わせてください」


 ルシウスは、胸に込み上げる感情を抑えきれなかった。


「ありがとう……本当に」


 その瞬間、彼らの絆が真に結ばれた。ルシウスは、初めて本当の仲間を得たのだと実感した。


「さあ、行こう。私たちにはやるべきことがある」


 ルシウスは再び仮面をつけ、二人と共に夜の闇へと歩み出た。彼らの冒険は、まだ始まったばかりだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ