第2話: 「古代遺跡、眠れる才能の目覚め」
灼熱の砂漠が広がる荒野の中、一人の青年が歩みを進めていた。かつてアストリア王国の第一王子だったルシウス・ヴァン・アストリアである。追放されてから数ヶ月、彼は自分の存在意義を求めて旅を続けていた。
ルシウスは喉の渇きを感じながら、地平線に浮かぶ奇妙な形の岩山を見つめていた。
「あれは……遺跡?」
好奇心に駆られ、彼は岩山に向かって歩き始めた。近づくにつれ、それが古代の魔術文明の遺跡であることが分かってきた。
遺跡の入り口に立つと、ルシウスは不思議な力を感じた。まるで何かに呼ばれているかのような感覚だった。
「ここに、私の運命を変える何かがある……そんな気がする」
彼は躊躇することなく、遺跡の中へと足を踏み入れた。
内部は薄暗く、壁には見たこともない魔法陣が刻まれていた。ルシウスは慎重に進みながら、それらを観察した。
突然、彼の足元が崩れ、深い穴に落ちてしまう。
「うわっ!」
落下の衝撃で気を失いかけたルシウスだったが、なんとか意識を保った。目を開けると、そこは広大な地下空間だった。
中央には巨大な水晶が鎮座し、幻想的な光を放っていた。ルシウスはその美しさに魅了されながら、ゆっくりと近づいていった。
水晶に手を触れた瞬間、激しい光が彼を包み込んだ。
「な、なんだ……これは!?」
ルシウスの体内で、今まで眠っていた力が一気に目覚め始めた。それは彼の血筋に眠る、古代魔術の力だった。
光が収まると、ルシウスは新たな感覚に包まれていた。体中に魔力が満ち溢れ、周囲の魔法陣が鮮明に見えるようになっていた。
「これが……私の真の力?」
彼は自分の手のひらを見つめ、そこに魔力を集中させた。すると、見たこともない複雑な魔法陣が浮かび上がった。
「信じられない……こんな高度な魔術が、まるで本能のように」
ルシウスは自分の newfound power に戸惑いながらも、その可能性に胸を躍らせた。
しばらくして、彼は遺跡から出ることに成功した。外の世界は、彼が入った時と同じように静かだったが、ルシウスの内側は大きく変化していた。
「もう、あの頃の私ではない」
彼は決意に満ちた表情で遠くを見つめた。
「この力で、きっと全てを取り戻す。そして……」
ルシウスの瞳に、復讐の炎が灯った。彼の新たな人生が、今始まろうとしていた。