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プロジェクト・シボ  作者: 立夏
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9

大船団プロジェクトが崩壊したのは、奢りと愛憎が招いた衝突によるところが大きかった。


だからわたしは考えた。


若く実績のない若者を集め、愛情を感じあう関係を築かせ、そしてそれをあえて引き離し、データ上最も安定した関係を築けるであろう相手との二人組にして旅立たせるのはどうだろうかと。

一期生も二期生もそして三期生も、1年の間に多くが恋をし、別離に涙し、宇宙へと旅立っていった。

彼らの多くは心の片隅にわたしにとってのハカセのような存在を飼いならしていることだろう。

その存在が心のどこかに住み着くことは、わたしのように思考をクリアにしてくれるし客観視も助けてくれるはずだ。それに生きるよすがにもなる。

いつも心の中に誰かが住み、未来でまた巡り会える日が来る可能性がわずかにでも残ればそれは彼らの生存可能性を格段に伸ばすだろうし、

お互いがそうであれば旅のパートナーとの無用な執着や関わりを避けられる。

期待しあわない二人組の航海は比較的安全なものとなるだろう。

三期生の全ての宇宙船が飛び立つところまで見終えて、わたしは動画を閉じる。


そして今から、しばらく執務を離れ、自分ひとりの時間に耽溺する。

目を閉じると、闇にいながらも魅惑的な思慕の時間がはじまる。


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