表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プロジェクト・シボ  作者: 立夏
6/9

6

執務室で、プロジェクトシボの3期生の出発を眺めていた。1人の若者の頬を涙が伝う。


でもわたしは何も感じない。


わたしがプロジェクトシボを計画したのは、それまでの宇宙探査がことごとく失敗に終わったからだ。

巨額の費用をかけた大船団は行方知れずで連絡は途絶えたままだ。

その計画は途中からわたしには制御できなくなっていた。

自我が強い専門家によるチームは様々な衝突を起こし、それによりイレギュラーな要素が大きくなりすぎてしまった。

いくつかの悲劇や暴走をへて、わたしは小さなコントロールしやすいチームによる探査の有効性に気づいた。

謙虚で理想に燃え御しやすい若者によるこのプロジェクトは、今までもよりもいい数字を弾きだしてくれた。


わたしはハカセの秘書だった。

ハカセの手足のように裏方仕事をしていたわたしだったが事故で脳と左手を損傷し、能力が格段におちた。ハカセは苦しむわたしに一つの提案をした。

それは、人工知能を大脳皮質に埋め込み、処理能力をあげる方法だった。

この手の実験は政府によって禁じられてきたしハカセ自身が人類への脅威になるとして禁じていた。にもかかわらずハカセはわたしのためにかなりの裏技を駆使しトップシークレットの手術に踏み切った。わたしはもちろん同意した。


手術も慣れることも苦労と言うほどでもなかったが未だになれないのはその切り替えだ。

人工知能を切り離すスイッチを外耳につけているがこれをオンオフする時に神経細胞に劇烈な痛みが発生する。

しかしハカセは必要な時以外はスイッチを切ることを求めた。


あの、最後の日までは。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ