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プロジェクト・シボ  作者: 立夏
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4

いよいよ、プロジェクトシボのミッションに旅立つ日が近づいていた。

ハナの同期は誰一人脱落せず皆が組み合わせ発表を心待ちにしていた。

ハナは根拠はないもののKとペアで旅立てることを確信していた。

Kの大きくて柔らかい左手を握ったまま、トレーニングルームで行われる発表を待った。


ところが、ハナと旅立つのはKではなかった。

ハナはNJと三日後に旅立つことが発表された。


ハナは呆然とし、そしてミッションを統括するY82に理由を問いただした。

「なぜですか?このパートナーはどうやって決められているのか教えてください。

納得できません。わたしとKはとても相性がよくペアミッションも何度もこなしています。

逆にNJとはグループで組んだことはありますが、ペアミッションは一度もしていません。

不安ですし適当と思えません」


Y82は答えた。

「決めているのは私達じゃなくてリーダーチトセ。

これは彼女のプロジェクトで、彼女がすべてのトレーニングデータや心理データを分析し、

パートナーを決めていて、私達にはどうしようもない。

プロジェクトを降りる自由はあるけど当初の誓約の通り、

降りるならあなたの育成にかけられたプロジェクト費用を全額支払ってもらうことになる」


そんな資金はあるはずもなかった。

いつまでもここでの訓練が続けばよかったのに。

もうマザーアースでのあの惨めな暮らしには戻りたくはなかった。

Kとは別の人生を生きる可能性があることを自ら見ないふりをしていたために、

心の準備はまるでできておらず、混乱し絶望し、涙すら出なかった。


しかし、Kは違った。

「リーダーチトセの決めたことなら従うしかない。これはぼくたちの運命なんだよ」

Kはそう言った。


Kの冷静さが辛かった。

自分より憤り嘆いてくれたらよかったのに。


そうすれば慰めるほうにまわれたのに。


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