第二十話
第二十話
夏休み三日目。
朝食の時間を終えた俺は、自室でアルバイトの支度を進めていた。
今日はアルバイトが終わったあとに、結花と七瀬さんが『話し合い』をすることになっている。
結花は今日から三日間の休み期間を経て、最後の大会に挑むことになる。
大切な三日間の休み。俺としてはのんびり過ごしてもらいたいとは思ってたんだけどな。
そして、支度を終えた俺が部屋から出ると、外では結花が俺を待っていた。
「お兄ちゃんのアルバイトが終わる時間辺りになったら、そっちに行くからね。それまでは家で宿題をやってるよ」
「へぇ、偉いじゃん。夏休みの後半にヒーヒー言いながらやるのがいつもの事なのに」
「あはは……だって今年は『お兄ちゃんとたくさん時間を過ごしたい』って思ってるからね。気兼ねなく遊びたいもん」
「ははは。そうか。なら頑張らないとな」
俺がそう言って結花の頭を撫でると、少しだけくすぐったそうにしながらも、嫌がりはしなかった。
「じゃあ行ってくるよ」
「うん。行ってらっしゃいお兄ちゃん」
部屋の前で結花と別れを済ませたあと、玄関に向かうと、丁度出社時間だった父さんとそれを見送る母さんが居た。
『行ってらっしゃいのキス』をしてる最中だったので、邪魔をしないでおいた。
「それじゃあ行ってくるよ」
父さんの出社前の『儀式』みたいなものを済ませた母さんそう言うと「祐也にもチューしてあげようか?」なんて気持ちの悪いことを言われたので「勘弁してくれ。そういうのは父さんだけにしてくれ」と返しておいた。
そして、俺は自転車を飛ばしてアルバイト先へと向かった。
特に問題も無く目的地へと到着した俺は、駐輪場に自転車を停めて店の中へと入る。
「おはようございます!!」
そう言って中へ声をかけると、奥からパタパタと瑠衣ちゃんがやって来た。
「おはようございます。祐也先輩!!」
「おはよう、瑠衣ちゃん。今日も元気だね」
「はい!!朝から先輩に会えるのが楽しみでしたから」
「ははは。そう言ってくれると嬉しいよ」
そして、俺は瑠衣ちゃんに今日の勉強会が出来なくなったことを伝えることにした。
「あと、今日の勉強会なんだけどさ。俺の勝手で申し訳ないんだけど、中止にさせてもらいたいんだよね」
俺がそう話しを切りだすと、瑠衣ちゃんは少しだけ寂しそうな顔をしながら理由を聞いてきた。
「そうなんですか……その、理由を聞いてもいいですか?祐也先輩が理由も無く約束を破る人には思えないので」
「えっと……昨日お店に来てた七瀬さんが居ただろ?七瀬さんと結花がここで話し合いをする流れになってね」
「あぁ……その場に祐也先輩が立ち会うことになったんですね」
「ははは。そうなんだよね。お昼過ぎになりそうだから、俺のその場に居ることにした。なんか喧嘩になりそうだったし」
「あはは……そうですね。結花はプライドが高いですし」




