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第一話 帰宅後は家族と一緒に昼ご飯の時間を過ごした。

 

 第一話



 七瀬さんとの会話を終えた俺は教室を出た後、自転車を停めてある駐輪場へと向かって行った。


 ちなみに俺が通っている公立の海皇高校は、かなり自由な校風の高校だ。


 校則もかなり緩くて、アルバイトも学業に影響が無いなら自由。通学も免許を持ってるなら原付までなら可。

 そして、髪の毛の色なんかも自由だ。

 七瀬さんは黒髪だが、茶髪に染めたりする人も少なくない。


 だが、別に不良のたまり場。みたいな物ではなく、結構……いや、かなり優秀な人を排出していて、学問の分野では東京の有名大学に現役で入学した人も多くいる。


 更にはスポーツも盛んで、野球は甲子園。サッカーは国立。バスケはインターハイ。などと、全国大会に常連の高校でもある。

 そして、その分野のプロも多く出している。


 かなりの名門校とも見えるだが『問題児』など言える人も結構居たようで『良い話と悪い話がごちゃ混ぜになった高校』という感じだ。


 そんな高校に『自転車で通えるから』なんて理由で進学を決意したのは、俺が大好きな漫画の影響が大きくある。


 まぁ、学力的にもちょうど良かったのもあるからな。

 別に勉強は苦手じゃない。

 中間テストの順位も一位は七瀬さんに譲ったものの、二位は俺が取る事が出来た。


 部活も入ってないし、友達もいないし、家に帰ってもゲームと漫画と筋トレしかやることがないから、空いた時間は勉強ばかりしていた。


『勉強ばかりしてないで構ってよお兄ちゃん』


 なんて可愛い妹にせがまれたりもしたが、学校のある日でも一日二時間程度。

 休みの日なんかは数時間レベルで勉強をしていた。

 それでも七瀬さんには勝てないんだから、あの人はすごいよな。


 そんなことを考えながら自転車を走らせていると、十五分ほどで自宅へと到着した。

 二階建ての家。三十五年ローンで三年前に父親が建てた家だ。


 父親はサービス業をしていて休みは不定期。

 母親は専業主婦。家事を一手に引き受けている。

 そして、二つ歳下に可愛い妹が居る。


 これが俺の家族構成だ。


 家の敷地に自転車を停めたあと、財布の中から合鍵を取りだして玄関の鍵を開けた。


「ただいま」


 扉を開けて中に入り、俺は中に居るであろう母さんに帰宅を知らせた。


 すると、居間の方から扉を開けて、パタパタと足音が近づいてきた。


「おかえりなさい、お兄ちゃん!!」


 そう言って満面の笑みで俺を出迎えてくれたのは、二つ下の可愛い妹。結花(ゆいか)だった。


「ただいま結花。早かったんだな」

「うん!!早くお兄ちゃんに会いたかったからね!!友達の誘いも断って直ぐに帰ってきたよ!!」

「あはは……それは友達に悪い事をしたな」


 中学三年生だけど、まだまだお兄ちゃんが大好きと言ってはばからない結花。


 そろそろ兄離れをしてもらいたいとも思うけど、されたらされたで寂しく思うだろうから、もう少しこのままでも良いかも知れないな。


 来年は俺の通う海皇高校に進学すると言っている。

 どうやら学業では無く、スポーツ推薦を狙っているようだった。


 結花は水泳が得意で、去年の全国大会でも二年生でありながら入賞を果たしている。

 順当に行けば今年は優勝候補の筆頭だ。


「でもまぁ、俺も結花の笑顔が見れて嬉しいよ」


 俺がそう言って、妹の頭を撫でると、結花は嬉しそうに目を細めていた。

 うん。めちゃくちゃ可愛いな。

 絶対に彼氏なんか作らせないぞ。


 そんなことを考えながら、俺は洗面所で手洗いとうがいを済ませたあと、自室に向かった。

 そこでカバンを置いて、制服の上着を脱いだあと居間へと足を運んだ。


 そして、台所で昼ごはんの支度をしている母さんに声をかけた。


「ただいま母さん。……お、今日はオムライスだな」

「おかえり裕也(ゆうや)。もうすぐ出来るから結花と一緒に座って待ってなさい」

「うん。わかったよ」


 料理上手な母さん。その中でも得意料理がオムライスだ。

 最近流行りのふわふわのオムライスでは無く、しっかりと焼かれた卵が特徴の昔ながらの物が南家のオムライスだ。


 そして、居間の真ん中にあるテーブルに向かうと、結花が冷えた麦茶の入ったコップを用意していてくれていた。


「はい、お兄ちゃん。喉乾いたでしょ?」

「ありがとう結花。出来た妹を持って俺は嬉しいよ」

「えへへ。もーお兄ちゃん。褒めても愛しか出てこないよ?」


 嬉しそうに満面の笑みを浮かべる結花の頭を撫でていると、台所からオムライスを二つ持った母さんがやってきた。

 そして、少しだけ呆れたような表情で言ってきた。


「ほら、兄妹でイチャイチャしてる暇があるなら私の分のオムライスを持ってきて欲しいわ」

「あはは。じゃあ俺が持ってくるよ」


 そう言って俺が椅子から立ち上がって、台所に用意された母さんの分のオムライスを持ってテーブルの元へと戻ってきた。


「ふふ。ありがとう裕也」

「いや、この位はするよ」


 椅子に座る母さんの前に、俺は丁寧にオムライスを置いた。


「わー!!今日のオムライスも美味しそうだね!!冷めないうちに食べようよ!!」

「ふふふ。ありがとう結花。今日のオムライスも美味しく出来たと自負しているわ」

「見た目でそれはわかるよな。それじゃあ結花の言うように、冷めないうちに食べようか」


 そして俺たちは『いただきます』と声を揃えたあと、母さんお手製のオムライスを口に運んだ。


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